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インタビュー

安西慎太郎   (あんざい・しんたろう)

現在放送中のドラマ『アリスの棘』は、主人公の医師・水野明日美(上野樹里)による、病院内での復讐劇が緊張感たっぷりに描かれるサスペスドラマだ。そんな今作で、オダギリジョー演じる西門優介の15年前の姿を演じている安西慎太郎。これまで舞台作品に多く出演してきた彼にとって、この作品がドラマ初出演作になるという。そんな安西に緊張しながら臨んでいるというドラマ撮影の様子や、これからの俳優としての目標について話を聞いた。

撮影/吉田将史 文/渡邊美樹

プロフィール 安西慎太郎(あんざい・しんたろう)


1993年12月16日生まれ、神奈川県出身。『コーパス・クリスティ 聖骸』『合唱ブラボー!~ブラボー大作戦~』など、舞台作品に出演。ミュージカル『テニスの王子様』青学vs四天宝寺では四天宝寺中部長の白石蔵ノ介役を演じ、7月12日から全国5都市での公演がスタートするミュージカル『テニスの王子様』全国大会 青学vs立海にも出演。また、ニチバン「ケアリーヴ®~ケアリーファイヴ篇」のCMにも出演中。
公式ブログ http://ameblo.jp/anzai-shintaro/

――今回、『アリスの棘』に出演されていますが、これまでドラマの経験というのはあまりなかったと思います。

「はい。初めてです」


――オダギリジョーさん演じる西門優介の若いころを演じてらっしゃいますが、撮影現場では、上野樹里さんやオダギリさんと一緒になることはあまりないのでしょうか?

「そうですね。何回かご挨拶をさせて頂いたくらいです。自分の撮影の時に現場に行くという感じなので、同じシーンが無い上野さん達の撮影を見る機会はあまり無いですね」


――現場では、どうでしょうか? 緊張などされたり…。

「緊張します(笑)。正直します」


――まだ慣れませんか?

「そうですね。少しずつ慣れてきた部分もありますが、半分緊張もありますね」


――色んな方と共演されますしね。

「はい。初めての撮影が1話の桜の木の下のシーンだったんですけど。凄く緊張しつつも、共演者の方とたくさん色んな話が出来ました。ドラマの撮影以外の話とかも明るく出来ました」


――おそらく、現場で一番ご一緒する機会が多いのは、幼いころの明日美を演じる菊池和澄さんだと思いますが…。

「そうですね。彼女は15歳ですけど、でもとてもしっかりしていて、僕がお芝居の話をするとそれに返してくれたりして。なので、仲良くなりました」


――現場で、実際に演じてみて楽しい部分、大変だなって感じるところなどありますか?

「緊張も大きいんですけど、これまで舞台を中心にやらせて頂いていたので、声のボリュームとかの違いを感じます。あと、こうやって話をしていることとか、日々やっていることを切り取ることが映像だと思うんですけど、舞台だとお客さんに観てもらっているので、お客さんを意識した演技をするっていう違いも凄くありますね。なので、舞台とは違って、自然に演じるということが本当に最初は難しくて…。そこで、日々の生活が、凄くドラマの中で活きるなと思いました」


――そうですね、同じ“演じる”でも舞台と映像では違いますね。ドラマ、舞台と両方経験してみて自分にはどっちの方があってるとか向いているとか、感じることはありますか?

「一緒に出来ないというか、完全に別のものという感じがしますね。ドラマも舞台もまた違ったよさがあって」


――共演者の方から教えてもらったこととか、アドバイスをもらったことはありますか?

「現場に岩城滉一さんがいらっしゃった時、僕は緊張して正座してガチガチになっていたんです。そしたら、それを見た岩城さんが『緊張なんてしなくていいからー!』って言って下さいました。『とにかく役者はリラックスして心も開放して、脱力した状態で現場に望まないと出来ないよ』と、アドバイスを頂きました。ま、正座は変わらなかったんですけど(笑)、ちょっと心も落ち着いて肩の力も抜けたんです」


――でも、そんな大御所の方がいらっしゃったら、それは緊張してしまいますよね。

「はい。(笑)でも、舞台でも緊張しちゃうと相手の言葉が入ってこなくなる時があるので、そうなると相手の言葉に素直にリアクションが出来なくなってしまうんです。だから、リラックスすることって、改めて大事だなと思いました」


――今回は、監督と演技の話などされましたか?

「とにかく自然にやるっていうことを言われましたね。オダギリさんが凄くナチュラルにどのシーンも演じられているので、『凄くナチュラルに!』って言われました。でも、僕は緊張しちゃうので…。だから、それがさっきのリラックスすることにも繋がると思うんですが、リラックスすることで言葉も頭に入ってきて、リアルなリアクションにもなりますし。リラックスすることがいい意味で、脱力することが僕の中ではナチュラルに演技するってことなのかなって思いました」


――では、今回、客観的にこのドラマの台本を読んだ時にどんな感想を持たれましたか?

「医療系のドラマで復讐劇でもある作品なので、どうやって復讐するのか凄く気になりました。復讐の仕方もちょっと斬新で、毎回カードを送って予告してっていうのが凄いなと。それと、僕はオダギリさん演じる西門の15年前を演じるので、西門と明日美の関係がどうなっていくのかな? という部分も気になりましたね」


――確かに、そうですね。安西さんは西門を演じるにあたって、15年後の姿を演じるオダギリさんと演技のすり合わせというか、何かここは揃えようという部分などあったのでしょうか?

「特に、こうしましょうって話し合ったことはないんですが、僕はオダギリさんのこれまでやってこられた作品を見て、オダギリさんがどんな演技をするのかを研究しました」


――研究の成果は?

「発揮してるといいなと思ってますが…(笑)」


――具体的にどんなことを意識しましたか?

「そうですね、自分の感情をあまり表に出さないというか。あからさまにではなくて、心の中だけで思って、言葉を発している感じが凄くするなと思って、そこは意識しました」


――そして、西門は新聞記者だとか、妹を亡くしているとか、そういう役柄を演じるにあたって備えたことはありますか?

「新聞記者役というのを最初に聞いて、カメラを撮る機会があるだろうと思ったので、カメラの使い方を自分なりに色々試してます。家にあるカメラで、家中撮ったりしてます(笑)。カメラを構える形というか、ちゃんとカメラマンに見えるように練習してます」


――そうなんですね。若いころの西門は、凄く純粋なキャラクターだという印象がありますが、安西さんご自身では西門をどんなキャラクターだと考えてますか?

「まず、新聞記者というだけあって、仕事が出来る人かなと思うんです。あとは、人間が好きというか、小山内先生含め、明日美ちゃん、妹もそうですけど、その人達のことが好きで、そういう気持ちが大切だって言うのが若いころの西門にはあって。だから、演じる上で、15年後“あ、あの事件がきっかけでこうなってしまったんだな”っていう、西門の変化がわかるように、敢えて昔と今の西門のキャラクターを似せないようにしようと思いました」


――確かに、昔と今の西門のキャラクターにはかなりの差がありますね。現在の西門は明日美の復讐に力を貸すという判断をしますが、もしも安西さんだったら、どうしますか?

「僕だったら、止めますね。ひどいことをされて、復讐したいって思う気持ちは理解出来るんですけど、復讐してまたそれが自分に返ってきたらどうするの? って思います。そういう気持ちを抱くことはダメじゃないですけど、それを実行してしまうっていうのは、やめて! って、僕は思っちゃいますね」


――この作品はシリアスで、マイナスな感情表現が多い作品だと思うんですが、そういう演技をしてみていかがですか?

「普段の僕は、楽観的というか…(笑)。こういうシリアスな感情にはあまりならないので、タイプの違うキャラクターを演じることが出来て凄く勉強になります」


――では、これからのドラマの見どころを教えてください。

「復讐劇ということで、誰もが結末が気になるところだと思うんですけど。最後に明日美が最大の敵を倒せるのかっていうのと、明日美が復讐出来るのか出来ないのかを含め、明日美の最終的な気持ちがどうなるのか見てほしいと思います。あとは、西門役をやらせてもらっているので、オダギリさん演じる西門と明日美がどうなるのか。僕自身もドキドキして見ます!」


――そうですね、展開が読めないところが、今後注目するポイントですね。では、安西さんご自身についてお伺いしたいのですが、そもそものデビューのきっかけはなんだったのでしょう?

「高校の時に、演劇をやっていて。僕、俳優になりたいて思う前までは、子供が好きだったので保育士になりたいって思っていたんです。だけど、高3の春くらいに、友達の家に遊びに行った時に、ジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオが出演してる『ギルバート・グレイプ』っていう作品のDVDを見たんです。『何これ? 見てみよう』っていう軽い感じで見たら…。僕、今までDVDを見て号泣をすることってあんまりなかったんですが、泣きましたね。そして、ディカプリオさんが演じている障害のある子供の役が凄くてビックリしました。それで、この人、何歳なんだろう? って、調べてみたらその時の僕と同じくらいの年齢で。賞も獲っていて、こんな人が世の中に存在したんだなって、僕もこの人みたいになりたい! って、思って俳優を目指そうと思いました」


――そこからなんですね! 日本の作品じゃなくて、ハリウッドの作品からって、凄いですね。

「そうですね(笑)。こんな役者になってみたいなって」


――憧れる俳優は日本の俳優よりも海外の方の方が多いんですか?

「日本の俳優さんだと、内野聖陽さんが好きですね」


――それはなぜですか?

「『JIN-仁-』を見るまで内野さんの作品をあまり意識的に見たことがなかったんですけど、『JIN-仁-』を見た時に、“坂本龍馬ってこういう人だ!”って思ったんですよ。凄く芝居に説得力があって。そこで、本当に凄いな! って感動したんです。海外の方だと、ディカプリオさんもそうですけど、クリスチャン・ベールさんもかっこいいですよね。とにかく、役作りが半端じゃないので。『マシニスト』っていう作品でも、一年間寝てないっていう役で普段とのギャップがもの凄いですし、本当に別人が演じているみたいで」


――なるほど。そういう、心身ともに役に捧げるみたいな、そういう役者さんに憧れるところがあるんですね。

「そうですね」


――では、今後どんな作品に出てみたい、こんな役を演じてみたいっていうのはありますか?

「僕、学園ドラマをやってみたいんです。学園ドラマって特に学生の時に見ると、やっぱり心打たれるし、身近でわかる、わかるっていう気持ちにもなって見てましたし。だから、今度は自分が演じる側になって、視聴者に“わかる、そうだよね”って、共感してもらえるようになりたいです」


――これから、どんな役者になりたいか、目標などはありますか?

「僕は、今名前を挙げた役者さんを見てこの夢が生まれて、俳優の道を選んだんですが、僕が初めてその役者さんを見て抱いた気持ちを、今度は僕を見て色んな人に感じて頂けたらと思ってます。それは役者を目指している人だけじゃなくて、違う職業の方でも、違う国の方でも。僕を見て、驚きとかを感じて頂けるような、そんな俳優になりたいなって思います」


『アリスの棘』

脚本/髙橋麻紀 池田奈津子
出演/上野樹里 中村蒼 オダギリジョー 田中直樹 尾美としのり 中村梅雀 藤原紀香(特別出演) 六平直政 岩城滉一 栗山千明 國村隼 ほか
毎週金曜夜10時~放送中
http://www.tbs.co.jp/alice2014/

2024年03月
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