様々な分野で活躍する三浦涼介に、今年、新たなフィールドが加わった。アメーバのブログサイトでブログを書く若手俳優による、歌・ダンス・芝居などに取り組むユニット『Pure Boys』に、追加メンバーとしての参加し始めたのだ。愛くるしい顔立ちと人懐っこいキャラクター、抜群のスタイル、芸術肌のセンスも持ち合わせ、大勢の中にいると、必ず目がいく存在感のある俳優……。今年の締めは、12月26日(土)公開の映画『書の道』。書道と出会った青年たちが、自らの殻を破り、道を切り開いていく青春ムービーに挑戦した。
── 映画『書の道』の企画を聞いた時の感想を教えてください。
僕は"書"というものがすんなり入ってきました。昔から習字が好きで抵抗が無かったし、文字に興味があったんです。小さな頃は、"この字が好き"と思うと、同じ字を何度も書き続けていたし、丸字や角ばった字が流行ったりすると、それを真似して書いたりして。習字に関しては、お手本を上手に真似することが出来て、学校の先生に褒められたりしてました。母親の字が綺麗なので、その血なのかもしれません。そのせいか、『書の道』と聞いてすぐにイメージすることが出来ました。
── 何度も書いたり、丸字や角ばった字を真似して書くって、文字をデザインとして捉えていたのでしょうか?
丸字ブームのときに書く文字は丸字ばかりで、あとから見て"なんでこんな字を書いていたんだろう"と思ったりするんですが(笑)、自分がいいなと思ったり、流行ったりしているものがとことん気になる性格なので、その時の自分にとって大事だったんだと思います。
── 最近の字はどんな感じですか?
色んな文字を書いてみて、今は安定しています(笑)。自分で言うのもなんですが、結構綺麗な字だと思います。
(マネージャー)筆圧も強めで、しっかりとした字なんです。取材でアンケートを頼まれると、大抵の人に「三浦さんって字がお上手ですね」と言われます。
── 絵を描くことが趣味ですし、美的感覚として綺麗に書きたいという意識があるのかもしれませんね。
そうですね。得意とか上手いではなく、興味があるからこそ、もっとこうしたい、もっとこうなったらどうなるんだろうという気持ちが湧くんです。今まで自分の好きなように書き続け、その時々を感じながらやってきた結果、"面白いね"と言って頂けていると思います。演技も同じで、その時々のつらいこと、悲しいこと、楽しいことをたくさん経験してこそ、いい芝居が出来ると感じています。
── 最近はパソコンや携帯の普及によって字を書く機会が減り、字を綺麗に書こうという意識が低くなってきています。だからこそ、三浦さんの字は目立ちますね。
ありがたいことに、僕は兄弟の中でも一番上手いし、自信があります。ふたりの兄は習字を習いに行っていたんですが、僕は習っていなくて。でも、兄弟の中で僕が一番上手いんです(笑)
── 作品の中で、グルグルと渦巻きを書く練習をするシーンもありましたね
作品に入る前に書道の先生に稽古をして頂いたんですが、バランス感覚や、身体を使って筆を動かすために必要な動きだそうです。僕もあれは初体験だったので、不思議な感覚でしたが、書き手の動きが文字になり、その人の味になるんだなと思いました。
── 書にはその時の気持ちが出ると言いますしね。
そうそう、そうなんですよね。面白いですよね。この作品に出演させて頂くひとつに、そこに意味があると思ったんです。演技も、いくら稽古をしてもその日の流れなどで、毎日全く同じものにはならないですよね。書道も芝居と同じで、同じ書は二度と書けない、その少し違うものになるのが面白いところだと先生も仰ってました。僕ら役者と共通するものがたくさんあって、凄く楽しい現場でした。
── そうなると、書は上手い、下手ではないですね。
客観的に書いている姿や書を見たら、"この人、上手いな、下手だな"と思うのかもしれませんが、僕には上手い下手ではなくて、全て個性として見えるし、伝わってくるものがあります。面白かったのは、柳下大君が僕達のキャラクターを見た雰囲気で、それぞれに「書の道」と書いてくれたんです。それが見事に全部違っていたんですが、人柄が伝わってきたんです。本当にびっくりしました。今まで文字=書をそんなふうに見たことがなかったのですが、見方が変わりました。
── 毎日同じ人の字を見続けたら、その人の感情も読み取れるようになりそうですね。
そうですよね。手紙を書くこと、文字で伝えるということを、もっと意識したいと思いました。元々手紙を書いたりすることが好きなので、来年の年賀状は楽しみたいと思っています。
── 同世代の男の子の群像劇でしたが、現場の様子はいかがでしたか。
とにかく撮影スケジュールがハードで、正味1週間も経たないうちに撮り終えたと思います。毎日朝の3時、4時まで撮影して、少しだけ休憩して、また朝5時 30分からスタートという日もあったりして(笑)。大広間でみんな一緒に寝泊まりして、家族風呂のようなお風呂にみんなで入ったりして、3カ月間一緒にいるよりも濃い1週間だったと思います。僕は基本的にあまり眠れないタイプなので、なぜかみんなを起こす係になっていたんですが、そういうことも含めてたまらなく楽しかったです。
── 作品の中でもいい仲間だというのが伝わってきましたよ。
個性的なメンバーで、僕にとって大切な人達になりました。スケジュールはきつかったし、眠かったけど、チームワークの良さや楽しさが演技の中でも出せたかなと思ってます。本当に凄く楽しかったです。
── 今回、三浦さんが演じた立浪陽介という役は、由緒ある書道流派の息子だけど、チャラチャラしている…という設定でしたが、演じてみていかがでしたか?
陽介について僕なりに色々と考えた結果、ああ見えて凄く繊細な人だと思ったんです。反発している人ほど弱く、本当は強がっているだけだと。それならば見た目から攻めたいと思ったので、監督さん、衣裳さんなどに相談して、周りから乗せて頂きました。そうすることによって、自分が役に近づくより、役が自分に近づいてきた感じがしました。実は僕は不器用なところがあって、自由にやるのが苦手で、演じる役のプロフィールをしっかり作らないと出来ないんです。この人の家族構成はこういう人で、今までの人生でこんなことがあって…というものをしっかり決めて、想像を膨らませてお芝居をするんです。今回も色んなストーリーを考えましたね。
── "書道と習字は違う"というセリフがありましたが、『書の道』を通じて色んなことが学べそうですね。
習字は、正解となるお手本があって、それを真似て書くもので、学校の授業はまさに"習字"ですよね。でも僕はそれが大嫌いだったんです。以前、美術の授業で自画像を描いたき、顔を虹色にしたことがあったんですが、それを見た先生に"何で虹色なの?"と言われたことがあって。ここではこう書かなきゃいけないというルールを、凄く残念に思ったことがありました。でも、一人ひとり同じである必要はなく、違っていていいんですよね。その人達の感じたまま、進むべき道に進むというのが大切なことだと感じました。そこから始まり、色んなことを経て集まった仲間達がいて、まわりには支えてくれる人がいて。そういった人間味溢れるものが『書の道』には詰まっています。
── 先程、"自由にやるのが苦手…"というお話がありましたが、顔を虹色にしたのは自由な発想ですよね。本当は得意なのでは?
不思議ですね(笑)。ただ、演じる役と自由に描く絵は大きな違いがあります。役には役が存在する世界があり、その世界観の中で役の意味があるんですよね。僕が描く絵は、自分の世界であり、色、好きなにおい、形を表現するにあたって、全てが自由なんです。監督さん、演出家さんの想いがある中で表現するのが僕ら俳優の仕事で、その中での自由な部分でいいものが出せれば最高だけど、僕はまだまだそんなレベルじゃないから、色んな経験をして教えて頂いているところなんです。
── 映画、ドラマ、舞台のほか、今年からピュアボーイズの一員になり、アメスタでトークもして、どんどん仕事の幅が広がってきていますね。
元々歌って踊ることが大好きでこの世界に入ったんです。役者に対して悩んだりした時期もあったんですが、今はやり続けてよかったなと本当に思っています。僕に来たオファーは僕にとって意味があると思うし、そこで自分がやりたいと思ったことにも意味があり、いずれ必要なものになると思うんです。新しい世界に行くことで、新たな一面を引き出したいし、新たな引き出しも作りたいし、仲間から引き出してもらってもいます。凄くありがたいことですよね。
── それぞれ表現方法が違いますが、何が一番得意ですか?
自分に何が合っているのか、まだ決められないんです。ダンスは小学生の頃からやっているので、もしかしたら役者の仕事よりも上手くやれるかもしれませんが、周りから、"今回の涼介、よかったよ"と言われる作品ほど自分としては苦労した意外な作品だったりするんです。逆に自分でいいと思っている作品は、あまり反響がなくて…(笑)。それはきっと、自分が気持ちよく楽しんでいるだけで、何も伝わっていなかったりするのかもしれません。だからこそ、苦手なものに挑戦する意味があると思っています。つらいものほど終わったあと、やってよかったと思いますしね。
── 以前プラスアクトのインビューで、自分でこうしたいと思ったことがどんどん実現していくと仰ってました。確か、舞台を5本やりたいと言ったらその通り5本出来たり、念願の『のだめカンタービレ』への出演もスペシャルで実現したり…。ここでまた何か発言したら叶うかもしれませんが…(笑)
そうですねーーー(笑)。僕ね、今、アーティストさんのPV に出てみたいんです。PVのメインは歌なんですが、その世界観の中で演じてみたいんです。僕は小学生の頃から安室奈美恵さんが大好きで、安室さんに会いたくてこの世界に入ったし、歌とダンスが好きになったのも、彼女を見てやりたいと思ったんです。今は縁あって仲良くして頂いているんですが、安室さんのPV に出るのは目標のひとつです。ご本人には恥ずかしくて言えないですけど。
── 来年はどんな年にしたいですか?
毎年残り一カ月頃になると、来年の目標を上げるんです。でも今はマイナスな意味ではなく、先のことを考えるというよりも、今やっていることを来年から先にかけて生かすことを考えたいと思っていています。大変ありがたいことに、経験したり、表現出来る場所に巡り合えているので。今後は違う部分を発見して、それを表現出来たらいいなと思っています。これからもどうぞ宜しくお願い致します!