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インタビュー

永江祐貴   (ながえ・ゆうき)

8月10日からスタートした新ドラマ『山田くんと7人の魔女』は、『ヤンキー君とメガネちゃん』で一躍注目を浴びた吉河美希の同名マンガが原作。特殊な能力を持つ7人の魔女が潜んでいると言われる高校が舞台となり、その魔女の謎を追うために生徒らが“超常現象研究部”を結成。学校の落ちこぼれ・山田竜(山田裕典)、優等生の白石うらら(西内まりや)、生徒会長の山崎春馬(徳山秀典)も交えて魔女探しをする。次第に山田は魔女とキスをすることで魔女の持つ能力をコピー出来ることがわかり、それぞれの思惑を達成するために、魔女探しと魔女の能力のコピーを企てる……。そんな夢のあるストーリーのドラマに、永江祐貴が原作にはないオリジナルの役・猪瀬潤として登場している。本作にどのように挑んでいるのか、そして永江の高校時代はどんな様子だったのか、質問をぶつけた。

撮影/吉田将史 文/今津三奈

プロフィール 永江祐貴(ながえ・ゆうき)


1990年11月15日生まれ。京都府出身。2010年ドラマ『ギルティ 悪魔と契約した女』で俳優デビュー。12年には『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』で映画初出演を果たしたほか、話題のドラマ『黒の女教師』『結婚しない』にも出演した。今年は『ダブルス〜二人の刑事』『酔いどれ小藤次』『山田くんと7人の魔女』と3作品のドラマに出演。今後の活躍が期待される。
オフィシャルサイト
http://www.nagaeyuuki.com/

――原作の連載がスタートした時から読んでいてファンだそうですね。作品の魅力を教えて下さい。

「前作の『ヤンキー君とメガネちゃん』も読んでいたので、間違いなく面白いんだろうという先入観を持って読んだら面白くて。1話ですぐにキスをして入れ替わるというシーンが出てきたんですが、そのインパクトも大きかったので、1話を読み終えた時に、“これは実写化されるんじゃないか”と思いました。だから今回このお話を頂いて、一方的に縁を感じています」


――実写化するんじゃないかと思った時、自分だったらこの役をやりたいなど考えながら読んだのでしょうか。

「当時はまだそういうことは考えていませんでした。ただ漠然と、映像化したら面白いだろうという程度で」


――永江さんが演じる猪瀬潤役は原作にはないオリジナルの役ですが、ドラマ出演のお話を頂いた時、役は決まっていたんですか?

「最初は知らなかったんですが、途中でオリジナルキャラクターだと聞きました。原作は全部読んでいたので、どの役なんだろうと思っていたんです。原作にはないキャラをやらせて頂けるということで、まず役作りをどうしようか、かなり悩みました」


――オリジナルだからこその自由と難しさがあると思いますが、ご自身で考えた役柄のキャラクター、監督からの指示など教えて下さい。

「台本を読んで、猪瀬は生徒会の書記をしているのですが、生徒会が凄く独特な空気感を持っている設定で、多分、校長先生よりも権力のある組織なんじゃないかと想像しました。そういう特殊な一員の中でも、生徒会長の右腕のような存在でいようと考えて。生徒会副会長にはおちゃらけキャラの宮村虎之介(井出卓也)がいますし、秘書の飛鳥美琴(小林涼子)もいますので、キャラが被らないことも意識しました。生徒会長を物凄く尊敬しているので、彼への忠実さを表現出来ればと思っています」


――その表現は態度で? 言葉で?

「態度が中心になります。例えば会長が資料を取る時に率先して動いて見せたり。これまでの猪瀬は生徒会長の座を狙っていませんでしたが、今後、自分も会長の跡を継ぎたいという思いが芽生えてきます。その心境の変化もお見せしたいと思っています」


――魔女の存在や、キスをすることで魔女能力をコピー出来るという、日常では体験出来ないことをお芝居で表現するのは難しいと思います。また、今回はキスをすることでキスをした相手と体が入れ替わりますから、お芝居の幅が要求されそうです。

「今までは、キスシーンも入れ替わりのシーンもなかったので、ブレずに自分の役をやればよかったんですが、実はこれから撮影するシーンで、とある方と入れ替わるシーンを撮影するんです。感情の起伏が激しい芝居になるので、振り切って演じようと思っています。作品自体がコメディータッチで、普段はありえないことでも、作品の中では正当化される部分があると思うので、そこはあまり気にしていませんし、変にリアリティーを求めずに演じたいと思います」


――入れ替わる部分は、モノマネの要素も出てきますね。

「はい。なので現場に行った時はみなさんの様子をじっくり見るようにしています。例えば山本さんは、普段から手振りなどが大きくて山田っぽい動きをされているんです。こういう時はどうしているのかな…と常に観察しています」


――『山田くん~』の撮影に入る前はどんな準備をされたのでしょうか?

「オリジナルキャラクターなので参考になる人物はいませんが、原作を読みこみ、生徒会の雰囲気、空気感を掴めるようにと努めました。それから、ほかの学園ドラマをたくさん観ました。色々な個性的なキャラクターがあって、そのキャラクターによって演じ方が全部違うので、自分の引き出しを増やす意味で、最近のものから少し前の作品まで色々と観ましたね。どんな役になっても対応出来るようにと思って」


――観た中で印象的だった作品、役柄、お芝居はありましたか?

「『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』の生田斗真さんは山田と通ずる部分があるなと思って観ました。表現の仕方が大げさなんですけど、それが笑えて、しかもすっと入ってくる。それが印象的でした」


――その山田を取り巻く役柄としては、周りのお芝居も気になりますね。

「もちろん周りの人も観察しました。ハチャメチャな芝居をする時に、周りはどんな芝居をしているのか、勉強しました」


――永江さんは現場に入る前にかなり役を作りこむとお聞きしましたが、今回もかなり作りこんでいるんですか?

「まず自分でいくつか考えて、その中で一番だと思う芝居をテストでやってみて、監督に観て頂いています」


――ご自身のプランは監督のイメージと一緒ですか? 

「言い回しに関してはアドバイスを頂くことはありませんが、動きに関してはご指摘頂くことが多いです。もっと大きなアクションがあってもいいとか、ここは歩き回ってもいいんじゃないかとか」


――今回はコメディータッチの強い作品です。これまでそういうお芝居はなかったと思いますが、肌に合いますか? 

「難しいですね。空気感が大事だなとつくづく思います。相手との空気感やその場の空気感、テンポを瞬時に読めないと、ダメですね」


――以前、映画『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』で取材をさせて頂いた時、同世代の役者さんと共演したことで刺激を受け切磋琢磨したとおっしゃってました。今回も同世代の方がたくさん出演されてますが、どんな様子ですか。

「いい意味で『大奥』の時と同じで、作品のために、自分のために頑張ろうという意欲が強い人達ばかりです。そこに自分も入り、勝ち負けを決めることではないんですが、負けたくない気持ちはあります」


――どんな場面でそれを感じたのでしょうか? 具体的に教えて下さい。

「ドライが終わったあと、前室で本番に向けて意見を出し合ったり、動いてみたりしています。そんな場面の時に、予想もしていない動きがあると凄いと思うし、負けられない!と思いますね。5人のシーンなら、5人集まって前室でテストをやって。本番前ギリギリまで確認し合います。それぐらい意識の高い現場です」


――そういう時、どなたがリーダーシップを取られていますか?

「山本さん、井出さんが『やろうよ』と声をかけて下さることが多いです」


――今回は高校生の役です。永江さんの学生時代は部活一辺倒だったとそうですが、部活以外の高校生活も教えて下さい。

「家に帰るのも部活で遅く、朝も物凄く早かったので、家に帰って好きなドラマを見ることがあったものの、基本的には次の日の部活に備えて体を休め、体のケアばかりしていました。休みの日は友達と映画を観に行ったりすることもありましたけど、やっぱり部活ばかりでしたね…」


――授業中は?

「僕の学校はちょっと変わっていて、3年間クラス替えがなく、みんな仲が良かったです。全員部活に入っているスポーツクラスだったんですが、授業中の態度からテストの点数まで全て顧問の先生に報告がいくシステムだったので、何か告げ口されるのが怖くて(笑)。不真面目な態度だと『お前、何部だ!』と部を聞かれるんです。バスケ部は、文武両道が理念でもあったので、勉強もしっかりやっていました。とはいえ、たまには寝てしまうこともありましたけど(笑)」


――では息抜きは何をしていたんですか?

「週に2日だけ屋外での練習があって、ボールを使わないため、その時は比較的、練習が楽で早く終わるので、帰り道に友達とごはんを食べるのが一番の息抜きでしたね。色んな愚痴を言い合ってスッキリして。そして明日からまた頑張ろう! と」


――愚痴の内容は部活のことですか?

「そうですね。あまり大きな声で言えませんが、顧問の先生のことや練習内容だったり(笑)」


――永江さんは、今回の生徒会のような役についたり、部活で役につくことはありましたか?

「中学の時は生徒会に入り、体育委員長をやっていました。体育委員長とは、体育の授業でやりたいことや、体育祭で取り入れたい種目を検討したり、体育にまつわる意見を全校生徒から聞き、それを集計して担当の先生に意見するんです。その結果を全校生徒の前で、『こういう話がありましたが、予算上出来ませんでした』など報告したりしていました。高校の時はバスケ部の副キャプテンでした。立候補ではなく、顧問の先生が決めたことなので引き受けただけですけど」


――そういう役に向いている、信頼出来るということで推薦を受けたんですね。

「う~ん、練習も真面目にやっていましたし、信頼されていたのかな(照)。顧問の先生とそういう話をしたことがないのでわかりませんが、『お前が副キャプテンだ』と言われたので、『はい。やらせて下さい』という感じでした」


――今年は『ダブルス?二人の刑事』『酔いどれ小藤次』に続いて『山田くん~』があり、ドラマの出演が続きました。以前から役者として常に吸収して成長したいと考えているとおっしゃってますが、どんなことに取り組みましたか?

「『酔いどれ~』は二度目の時代劇でした。一度目よりは二度目のほうが気持ちが楽なのは当然ですが、江戸弁でのお芝居だったので、セリフの言い回しなどをかなり予習しました。役に対して出来る準備は全部やりたいと思いますし、それは色んな現場で先輩を見て思ったことでもあるので、これからも自分で出来る準備を全部やって役に臨みたいと思います。


――ご自身の出る作品は、何度も繰り返しご覧になって、研究し、反省すると以前おっしゃってましたが、今も変わりませんか?

「今回も同じように見ています。こうすればよかったと感じる部分もありますが、それはこれからもずっと思っていくことではないでしょうか。反省するところは反省して、これはこれでよかったなど、糧にしています」


――今年大学を卒業し、これまでの夏は部活しかしていなかったので、いざ無くなるとどう過ごしたらいいかわからないとHPで書かれてましたが、どんな夏でしたか?

「学園ドラマをやらせて頂いているので、自然と学生時代のままの雰囲気があります。部活がないと何をしたらいいかわからないと書きましが、それは遊びのことで、実際はそんなこともなく(笑)、仕事もありますし、そのための準備もありますし、充実した毎日で時間を有効に使っています。息抜きもしっかり出来てますし」


――お仕事の合間の息抜きはなんですか?

「友人と飲みに行くことが多いです。食べたり飲んだりすることが一番発散出来ます。高校の時もそうでしたし、今もそれは変わりません。食べながら、飲みながら話すことが一番です」


――雑談で話すことで考えが整理されていくこともありますものね。

「悩み事があっても、相談に乗ってもらったり、周りの意見を聞くことで自分を客観的に見ることが出来るので、話すことは大事だなと思います。ひとりで考え込んでしまうといい方向に転ばないですし」


――自分にとってつらいアドバイスもすんなり受け入れられるほうですか?

「はい。それは大丈夫です」


――今、お芝居の幅を広げるために取り組んでいることはありますか?

「定期的にボイストレーニングに通っています。発声の仕方だったり、小さな声でも響く声を出す訓練とか。お芝居には凄く大事なことですし、声を武器にしたくて」


――自らトレーニングを受けようと考えたのですか?

「周りのアドバイスもありましたが、自分に必要だと思っていました」


――実際に役立った場面はありましたか?

「周りから声が変わったと言って頂きましたし、お芝居に関しては滑舌が少しよくなったと思います。まだ勉強中なので実感できる部分は少ないんですが、そういって頂くようになりました」


――今年もあと4カ月です。直近の目標や、長いスパンで考えていることがあったら教えて下さい。

「ボイストレーニングのほかに体も鍛えています。こういうことは積み重ねが大事なので、すぐに結果が出るものではありませんが、少しでも形になればと思います。このまま続けて、来年、再来年にやっててよかったなと思えるように、今出来る努力はしたいんです。人がやっていない時に自分は何をするのか。努力するのみです。僕は特に人よりも出来ないことが多いので、追いつけ、追い越せと出来るように頑張ります」


『山田くんと7人の魔女』

原作/吉河美希『山田くんと7人の魔女』(講談社 週刊少年マガジン連載中)
企画/清水一幸
企画協力/鹿内植
プロデュース/栁川由紀子(共同テレビ)
脚本/小川真
演出/星護(共同テレビ) 髙丸雅隆(共同テレビ)
制作/フジテレビ
制作著作/共同テレビ
出演/西内まりや 山本裕典 トリンドル玲奈 井出卓也 大野いと 間宮祥太朗 美山加恋 松井愛莉 小島藤子 永江祐貴 小林涼子 徳山秀典 ほか

フジテレビ系にて、毎週土曜よる11時10~放送中 ※一部地域を除く
http://www.fujitv.co.jp/yamadamajo/

成績優秀の白石うらら(西内まりや)と学校一の問題児の山田竜(山本裕典)がひょんなことから偶然キスをしてしまい、それをきっかけに心と体が入れ替わってしまう。そんな中、超常現象研究部の部室で『魔女伝説』ノートが見つかり、校内に特殊能力を持った7人の魔女が存在することが判明し、校内に潜む魔女探しが始まる。同時にキスをすることで、魔女の能力をコピー出来ることもわかり、それぞれの思惑を果たすために男女関係なくキスをするが…。

2024年04月
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