スーパー戦隊シリーズの第35作品として、過去のヒーロー達も多数登場する『海賊戦隊ゴーカイジャー』。6月には劇場映画の公開を控え、広い層からの支持を得ている。海賊戦隊ゴーカイジャーのリーダーにしてゴーカイガレオンの船長。キャプテン・マーべラス/ゴーカイレッドを演じるのは、注目株の新進俳優・小澤亮太だ。フレッシュな装いで撮影の場に現れた23歳の目に映る理想の俳優像について語ってもらった。
撮影/柳沼涼子 文/田中大介
── 『海賊戦隊ゴーカイジャー』ですが、映画化を控え、作品も広く認知されてきましたね。日々の撮影は大変と聞いています。
「時間が経つのが凄く早いんです。憶えることがいっぱいなので、1日がすぐに終わります」
── 現場の空気はいかがですか?
「最初のころは結構戸惑ったんですよ。これまで映像の経験があんまりなくて、舞台ばかりだったので……。どう向けばカメラに入れるか、カメラワークのことも全然わからなかったので、監督から教えて頂いて。カメラマンの方がベテランの江戸っ子で、その方からビシビシ教えてもらっています(笑)」
── 現場は厳しいと聞いていますが、そこで意気消沈するか、「チキショー」と思うタイプか。小澤さんはどちらに入りますか?
「まあ、現場でしょげることはないですね(笑)。撮影所だけでなくて、戦隊モノは当然ロケも多いんです。爆破シーンもたくさんありますし。経験してわかったのは、本当に爆破の時は波動があるんだということですね(笑)。稀にない大きな爆破を現場で体験した時は結構熱かったです。それでも僕は全然近くにいなくて、確か50メートルくらい離れていたと思うんですけど、それでも熱かったから相当ですよね」
── 通常のテレビドラマで爆破シーンというのはそうそうないと思うんですが、そう考えると貴重な経験ですね。
「そうですね。戦隊モノは結構特殊なのかもしれないです。高さギリギリの崖に立ったり、ビルの上を歩いたり。そんなシーンが多いです。高所恐怖症ではないので大丈夫なんですが、それにしても自分では歩こうとしないような場所に行くので、凄まじい経験です(笑)。でもやっぱり、怖かった!(笑)」
── アフレコはいかがですか?
「難しいですね」
── 昔の戦隊モノは、変身後のみならず、自分が登場しているシーンもアフレコだったそうですが、今は違いますよね?
「そうですね。昔の戦隊モノよりはアフレコ量は半分程度です。アフレコは映画の現場で体験したことがあったのですが、舞台とは違うのでまだ完全に慣れないところがあります。セリフの抑揚よりも、思い切り叫んだりすることのほうが求められている気がしますね」
── ということは、スーツアクターの動きを見ながらアフレコを入れる訳ですよね。アフレコ中の役者さんは、いったいどんな気分なんでしょうか?
「やっぱり自分と重ねている面があります。僕がこういう動きをするんだという風に思ってアフレコに入ろうと思っていますね。僕の役(ゴーカイレッド)はラフで豪快な動きなので、そういうアクションの方向性をだんだんつかんでいっています」
── そもそもは、オーディションで役を得たそうですね。
「オーディションの結果が出たのは昨年の11月くらいのことなので、決まってから撮影に入るまでの時間は意外に短かったです」
── どんなオーディションだったんですか?
「一次審査から少し芝居して、話してというくらいでした。最終オーディションではセリフを言うだけでなくて、色んな方と一緒にお芝居をするような審査がありました。最初からレッドの役でオーディションを受けたのではなくて、『海賊戦隊ゴーカイジャー』というドラマのオーディションだったので、受かったとしてもなんの役かはあらかじめわからなかったんです」
── オーディションを突破し、晴れてレッドに選ばれた訳ですね。これまで歴史ある中で、レッドは35人しかいないんですから。
「ありがたいです。数字としてもキリがいいですから(笑)」
── これまでに戦隊モノは見ていましたか?
「見ていましたけど、凄く小さいころだったので鮮明に記憶がないんです。『~ゴーカイジャー』は歴代の戦隊ヒーローがたくさん登場するんですが、中には自分が小さいころに見たヒーローがいたりして、喜んでます(笑)。結構記憶がよみがえるんですね」
── 過去のヒーローが出るぶん、ファン層は拡大しているようですね。
「35年間の中で色んなヒーローがいることがよくわかりますもんね。好きな人はハマると思います。そういう記念する作品に出られるのは嬉しいことです!」
── 『ゴーカイジャー』の現場で発見となることは何かありましたか?
「カット割りが多くて、繋ぎ合わせる映像の撮り方が面白かったです。舞台は映像と違って台本の流れでで続けているから、ドラマのやり方は新鮮でした。楽しかったけど、最初はやっぱり苦労しましたね。気持ちの入れ方がわからなくなって。でも、舞台にしてもシーン稽古があるのであんまり変わらないんです。セリフひとつでワンカットを撮る映像があるけど、結局長いか短いかということだけなので……。時系列がズレるのは大変ですけど、やっぱり台本に戻って、自分がどう繋がっているかをイメージするようにしています」
── 共演者のみなさんは?
「結構、個性が際立っているので。普段も個性的なんですよ。お喋りタイプもいれば、受け身の人もいるし」
── 小澤さんは?
「よくわからないけど、イジられるんですよね。僕のほうが年上なんですけど、おかしいなあ(笑)。まあ、元々イジられるほうですけど(笑)。現場ではメンバーの中で最年長なので、かといって自分がどうしたらいいのかはよくわからないままでいるんですけど。仲がいいので、それが一番です」
── 小澤さん演じるキャプテン・マーベラスは若干三枚目寄りの傾向がありますね。
「そうですね。たまに三の線を出していく役なんですけど、たまに求められるヘン顔はむしろ僕は得意なので(笑)。たまに監督の台本には書いてあるけど僕の台本にはないセリフがあったりするんです。三の線のセリフを監督に足されるんですよ。あれって思った(笑)」
── 基本、セリフは入れてから撮影に臨むんですよね。
「はい。基本的にはロケバスに乗った時点で台本は出さない。撮影所は厳しい世界なので、僕もそれを守っています。というか、現場で怒られないように(笑)」
── 現場の厳しさもさることながら拘束時間も長いですよね。
「そうなんですよね。だから家に帰ってからも台本を開いています。時間のすき間を狙って」
── アクションもたくさんあるドラマですが、元々運動は好きですか?
「そうですね。ずっとバスケをやっていたので、身体を動かすこと自体は好きなんです。舞台でも殺陣やアクションをやっていましたし。最初、舞台に立った時は振り付けを覚えるのが大変で“無理っしょ!”って思いながら始めたんですけど」
── バスケはチームプレイで、お芝居もチームプレイですよね。共通するものは多いように思いました。
「確かにそうですね。僕、バスケットボール部で部長だったんです。キャプテンでした。マーベラスもキャプテンだから、ある意味繋がっていますね! 自分では忘れていましたよ」
── キャプテンをやるということは、みんなを引っ張っていける人なんですね。
「いや、よくわからないです。バスケ部のキャプテンというのも先生が勝手に決めたんで、あまりリーダーシップとか意識したことないので。ほとんど強制的で“なんで俺が?”って思っていました」
── それでオーディションではレッドというキャプテン的役割を任命され……。
「そうなんです。自分からそうしたい訳ではないんですけどね。昔から引っ張るタイプではないのに。不思議ですよね」
── 周りがリーダーに向いていると思うのでは?
「そうかもしれないですけどね」
── これからやりたい仕事について、教えてください。役者では、山田孝之さんに憧れているということでしたが……。
「『白夜行』を見た時からずっと好きなんですよ。やっぱり凄くドラマを見ている時期だったのもあり、凄く悪い役も出来るし、『十三人の刺客』でも凄く存在感があったし……。幅が広いので憧れます。影がある山田さんの雰囲気がかっこよくて、凄く好きです。『鴨川ホルモー』とか、全然違うキャラクターが出来るじゃないですか」
── 小澤さんも、山田さんのように振り幅のある役者さんになりたいですか?
「そうですね。何かひとつをやるタイプよりは色んなキャラクターが出来るようになりたいです。明るい役も暗い役も……」
── 役が離れないというタイプの役者さんがいますけど、今の小澤さんは?
「あまり役が乗り移ったりとかはないですね。ニュアンス的には自分を混ぜているような感じなので」
── 竹野内豊さんもお好きだとか?
「もう、メチャクチャ雰囲気ある方ですから! 凄く好きですね」
── 憧れると、まねしたくなる?
「そういう訳ではないんです。自分は自分で違う人間ですし、憧れる人そのものになりたいという感覚とは違いますね。自分のやってきた経験があって、そこからまたないりたい自分が変化していく気がしますから」
── では、「こういう役者になりたい」という小澤さんの目標を言葉にすると?
「“背中で語れる役者”になりたいです! 喋らなくても色々状況や雰囲気を伝えられる役者は凄いですよね。歩いているだけで凄く雰囲気があるというか。セリフで説明し切れない部分をもっている役者さんに憧れますね。そういえば、『トランスポーター3』に出ていたジェイソン・ステイサムも大好きです」
── 元々は役者志向が強くなかったということですが。
「最初はそんなに本気ではなかったんですけど、舞台を経験していくうちにやる気がどんどん増していって、役者をやっていきたい気持ちが確定的になったんです。やっぱり舞台は生の反応があることですね。お客さんの心を動かせたことがわかる瞬間があって、そうなると快感なんですよ。これからも年に1回は舞台は続けたいと思ってます」
── 『ゴーカイジャー』は今後色んな芝居をしていく上でとてつもないチャンスですね。
「そうですね。しかも長い期間にわたって勉強になるし、色んな人に見て頂ける機会ですから。これから先、もっと色々仕事をして“背中で語れる役者”になりたいですね(笑)!」
監督/中澤祥次郎 ほか
出演/小澤亮太 山田裕貴 市道真央 清水一希 小池唯 ほか
宇宙の全てを自分の所有物にすべく、宇宙帝国ザンギャックの大艦隊が地球を襲撃した。地球の平和を守るために立ち上がったのは、数々の悪から地球を守り続けてきた、34のスーパー戦隊達だった。ザンギャックの撃退に成功したスーパー戦隊達は戦う力を失ってしまい、光となって宇宙の果てへ消えてしまう。この戦いは伝説と化し「レジェンド大戦」と呼ばれるようになった。それから数年後。地球に眠るという宇宙最大のお宝を求めて、海賊戦隊ゴーカイジャーと名乗る5人の宇宙海賊が地球に訪れた。お宝探しにやってきた彼らだが、様々な出会いから少しずつ地球を守る存在として活躍していく……。
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