AKB48チームB所属の藤江れいなが主演、同じくチーム B所属の竹内美宥が準主演を務める、新感覚ファンタジーホラー映画『眠り姫 Dream On Dreamer』。本作は、昼夜問わず睡魔に襲われる不思議な病を持った少しズボラな女子高生・絢芽(藤江れいな)が、妹・柊(竹内美宥)が死んでしまう白昼夢を見てしまう。虚構と現実が交錯する中、絢芽は妹を助けるために“夢との孤独な戦い”を繰り広げていく、というストーリーだ。藤江と竹内はズボラな姉としっかり者の妹という対照的な姉妹を演じているが、それぞれの役について、ふたりはどう取り組んだのだろうか。
撮影/吉田将史 文/池上愛
――『眠り姫 Dream On Dreamer』、サスペンスありファンタジーありの、不思議なお話でした。
藤江「最初は、台本を読んだだけじゃ内容がよくわからなくて。普段使わない単語が出てきたので、理解するのに時間がかかってしまいました」
――パラノイアという言葉とか出てきましたね。
藤江「あれ? そんな言葉ありましたっけ…。憶えていないくらい理解していないってことですね(笑)」
竹内「私もすぐに理解出来るような映画ではなかったですね。あと、私の演じる神宮寺柊という女の子は、最初、もの静かな子なのかなと思っていたんです。だけど監督から“しっかりした女の子なんだ”と言われて。演じてみて“そうなんだ”と知りました」
――ふたりのそれぞれの役どころを教えて下さい。
藤江「神宮寺絢芽は、妹とは逆でぐうたらしている女の子です。テキパキ動く子ではないですね。なんでもあとでやればいいやって後回ししちゃうタイプというか」
――相当めんどくさがりな女の子?
藤江「そうですね。そして、何をしてても眠くなって白昼夢を見てしまうんです。しかも悪夢の。その悪夢が現実でも起こってしまうのですが…。ある日、妹が死んでしまう夢を見てしまって。絢芽にとっての柊は、物凄く大切な存在。亡くなった母親の代わりに、家事も全部してくれたり生活の部分でも頼れる存在なんですが、それだけじゃなくって心の拠り所なんです。だから、なんとかして妹を助けようと奮闘するという役です」
竹内「柊は、さっきも言ったようにしっかりしている女の子なので、お姉ちゃんとは正反対です。お姉ちゃんには『何やってるの? しっかりして!』って、少し呆れてる部分もあるんですけど、なんだかんだで気にかけていて。凄く愛情を感じました」
――おふたりは、それぞれの役どころで自分と似ているなと思う部分はありますか?
竹内「私は、どっちかといえば絢芽のほうに似ていると思います。ベッドの上にパソコンを置いて、そのまま寝ちゃうシーンがあったんですけど、まさしく昨日、同じことをやってました(笑)。柊みたいにしっかりしている部分は…自分にはないと思います。だから柊を演じて、ちゃんと自分も家のこととかしっかりしなきゃって思いました」
藤江「へぇ~そうなんだ。美宥ちゃんって、多分AKBのメンバーやファンからは、柊みたいにしっかり者っていう印象だと思うんですよね。AKBの時と自宅では違うんだね」
竹内「仕事ではあんまりぐだぐだしてないと思います。でも家では本当に、とんでもなく、ぐだぐだしてるんです(笑)」
――(笑)。藤江さんは?
藤江「私も絢芽みたいに、ぐだぐだしてるところは似ていると思います」
――絢芽のぐだぐだシーンで印象的だったのは、制服を着たまんまベッドに寝転がって、足をもぞもぞしながら靴下を脱ぐっていう…。あそこは見事なぐうたらでした!
藤江「ありがとうございます(笑)。あのシーンは、監督から『自分が家に帰って来てから普段やることをやってくれればいいから』と言われて撮ったシーンです。だから本当に自分がやってることをそのまま演じました! そしたら監督も凄く褒めて下さって。褒められることは凄く嬉しいんですけど、自分のぐうたらした行動をやっただけなので…ちょっと複雑な気分です(笑)」
竹内「れいにゃん(藤江)さんも、イメージは柊タイプじゃないですか?」
藤江「そうだね。AKBで活動してる時は、どちらかといえば真面目って言われることが多いかな。だから色んな意味で、この絢芽を演じたことで自分のイメージを壊せたらと思います。真面目な殻を破らない限り、その先には何もないですからね。……っていうことをファンの方に言われまして」
――え!? ファンからの意見ですか?
藤江「はい。ファンの方って本当に凄いんです。絶対私自身よりも、私のことをわかってくれていると思います。自分も把握してないようなスケジュールを、『れいにゃん、明日は○○○の放送だね』って、全部憶えて下さってるんですよ! 私以上に私を知ってる人が言うんだから、殻を破らないと前に進めないんだろうなって思います」
――じゃあ、この映画でファンの方々が、いつもと違うって思ってくれたらいいですね。
藤江「そうですね。そう思ってもらえると嬉しいです」
――藤江さんは、自分と似ている部分がある絢芽を演じることは、気持ちの作り方は楽でしたか? また、竹内さんはちょっと自分とは反対の女の子でしたが…。
藤江「今回の場合は…どこでも寝てしまう特殊な病気の女の子の役なので、その子の気持ちを理解するのは難しかったです」
竹内「私は、こういう普通の女子高生っていう役が初めてだったんです。今までの役は、どこかひねくれてたりして。だから逆に難しかった部分があります」
――ちょっと癖のある役のほうがやりやすい?
竹内「そうですね。それにやりがいがあります。自分とはちょっと違う役のほうが、考えていて楽しいんです。柊は普通の女の子ですけど、最初はおとなしい役と思っていたら、実はしっかりとした女の子で。最初のイメージが変わったぶん、やりがいがあるなと思いました」
藤江「美宥ちゃんはそうなんだね。私は過去に未来を変える能力を持つ女の子とか、お化けの役とかやったんですけど、一番共感出来るのは自分と似ている役なので、普通の女の子のほうがやりやすいって思いました。マネキン役とかやったこともありますけど、マネキンの心情なんて考えたこともなかったし、そもそも心なんてあるんだ! って(笑)」
――ふたりは姉妹という設定ですが、クランクインする前にふたりで話し合ったりしました?
竹内「インする前というか、ふたりのシーンは何度も読み合わせしました。物凄く長いシーンがあったんですよね。台本にすると6ページくらいにわたってセリフを言い合うっていう」
藤江「絢芽が柊に『一緒に寝ていい?』って言って、電気を暗くしたあとのシーンだよね。あの会話は長かった! 監督も『よく頑張ったね』と仰ってくださいました」
竹内「相当練習しましたもんね」
藤江「うん。休憩の合間に練習した甲斐があったよね」
――息ぴったりだった?
藤江「そうですね。ほとんど噛まずに言えたので。最後でつっかかってしまうと、全部ダメじゃないですか。緊張感はありましたけど、上手く出来てよかったです」
――長セリフ以外に印象に残っているシーンはありますか?
藤江「白昼夢のシーンで、中学時代に戻っちゃって、高校生の絢芽と中学生の絢芽が交互に出てくるシーンがあるんです。中学時代の絢芽は別の女の子が演じていて、鏡を見ながら変なことをやるっていうシーンだったんですね。それで、先に中学時代の絢芽が演じて、その動きと全く同じことを私もやらなければいけなかったんです。で、中学時代の絢芽の動きを見たら、物凄い変顔ばっかりしてたんです! 私もこんな変顔やんなきゃいけないのって焦りました(笑)」
――変顔、全力でやりました?
藤江「はい…より目もやったし、変なポーズも取らされたし…とにかく頑張りました!」
――今の自分の殻を破ったんじゃないですか(笑)?
藤江「確かに、そうかもしれません(笑)」
――竹内さんは?
竹内「………とにかく殺されまくりだったんですよ」
藤江「夢の中で何回もね」
竹内「まだ映像は観てないんですけど、殺されるシーンを影だけで撮ってるところがあって。そのシーンがどういう仕上がりになっているのかは、凄く楽しみです」
――それは怖そう…。
竹内「影と声だけで表現してるので、怖いと思います」
藤江「鳥肌モノだよね」
――殺されてばかりだと、特殊メイクも大変そうですね。
竹内「学校のシーンは、ほとんど血を流してたかもしれません(笑)」
藤江「会う度に、血の量が増えてたよね?」
竹内「はい(笑)。殴られるアザはできるし、制服のシャツも血だらけでした」
藤江「クマのメイクとか、めちゃくちゃ怖かったよ…」
竹内「あのメイクひどかったですよね(笑)」
――何回も死ぬ役も、なかなか経験できないですよね。
竹内「確かに…(笑)」
藤江「AKBのコントでしかメイクしないもんね(笑)」
――特殊メイクといえば、右脳男を演じた阿藤快さん、左脳男を演じた斎藤洋介もインパクトがありました。
藤江「最初に観た時、とにかく迫力が凄い! と思いました。おふたりが居るだけで存在感があるというか。私は斎藤さんと一緒にお芝居をやらせて頂くシーンが多かったんですけど、私の緊張をほぐすために、凄くリラックスした雰囲気を作って下さって。プライベートな話もたくさんして下さって、本当にありがたかったです」
竹内「私は、右脳男も左脳男も見えない役なので、笑いこらえるのに必死でした。れいにゃんさんと食事するシーンがあって、私のうしろに斎藤さんと阿藤さんが立っていらして、面白いセリフの掛け合いをされるんです。私は見えないし聞こえない設定だから、無表情で食事をしなくちゃならなくて…あれは凄くつらかったです! 心の中で笑って、顔は我慢しながら演じました」
藤江「本当におふたりの会話って面白いんですよ。阿藤さんはスピードが早いタイプで、斎藤さんはゆっくり喋るタイプなので、ふたりのバランスが噛み合ってるのか噛み合っていないのか…、その不思議な間がめちゃくちゃ面白かったです。それに右脳と左脳だから、それぞれの意見が違うんです。だから余計言い合っていて、ふたりのシーンはとても面白くって、ほっこりしちゃいました」
――まだ仮映像しか観ていないとのことですが、その映像を観て、おふたりはどう感じましたか?
竹内「自分って、こういう演技してたんだな~って思いました。完成が凄く楽しみになりました」
藤江「いつもだらだらしてる絢芽が、妹のために行動を起こすところが凄く素敵だな、と思いながら観ていました。この映画が公開される時には、私は二十歳になっているんですけど…絢芽は映画の中でどんどん成長していくので、映画公開の時には、私自身も絢芽みたいに成長したいなと思いました」
――演技をやっているからこそ、AKBによい影響をもたらすことがあると思うんですが、どういう時に感じますか?
藤江「私、アイドルって常にニコニコしているのがいいって思ってたんです。多分そういうイメージがあると思うんですけど、演技をやることで、曲に合わせて表情を変えていかなければならないんだと気づけました。切ない歌だったら、もっとシリアスな表情にしなければならないと思いますし」
――歌詞の意味を深く理解するようになった?
藤江「そうです。考えるようになりました」
竹内「音楽を表現するのには“感情”が一番大事なんだって気づくことが出来たのも、演技のおかげだと思います。心の込め方、歌い方、全部感情によって変わるんだなって」
――そうですね。逆にアーティストの方がやる演技っていうのも、俳優さんとは違うと思うんですよ。感情のエネルギーというか、俳優さんとは違う色に見えるんですよね。
藤江「うんうん、わかります」
竹内「この映画も、そういう風に観てもらえたら成功かなって思います」
監督・脚本/上野コオイチ
出演/藤江れいな(AKB48) 竹内美宥(AKB48) 阿藤快 斉藤洋介 中山絵梨奈 朝倉ふゆな RION ほか
配給/アルケミーブラザース
絢芽(藤江れいな)はどこにでもいる、少しズボラな女子高生。 しっかり者の妹、柊(竹内美宥)と父、仁(渡洋史)と3人で暮らしている。 いつも、ボーっとしている彼女は周囲には怠け者のように思われているが 昼夜問わず、耐え難い眠気に襲われる不思議な病に冒されているのだった。 授業中でも、登校中でも、入浴中でも…突然襲ってくる睡魔。 そして不可思議な白昼夢。 中学生の時を境に絢芽の日常は夢と虚構が入り交じった非現実的な世界と化していた。 残暑が残る、とある日のこと。絢芽は気になる白昼夢を見始める。 それは「妹が死んでしまう夢」 。その夢をキッカケに悪夢が絢芽を蝕み始めるようになり……。
http://nemurihimedod.com/
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