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インタビュー

山本涼介   (やまもと・りょうすけ)

キャリアとしては俳優でスタートし、『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス』でデビュー。以降ドラマを中心に活動してきた山本涼介。7月12日公開の映画『好きっていいなよ。』で映画初出演。主人公で学校一のモテ男・大和(福士蒼汰)の友達で、大和に想いを寄せる愛子(足立梨花)を好きな雅司役を好演している。更に4月からお昼のバラエティー『バイキング』の木曜レギュラーに抜擢され、ひな壇でコメントをしたり、ロケに参加するなど新たな挑戦も始めている。今回のインタビューでは、それぞれのエピソードを中心に聞いた。

撮影/吉田将史 文/今津三奈

プロフィール 山本涼介(やまもと・りょうすけ)


1995年5月15日生まれ。奈良県出身。ドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』でデビュー。その後『理想の息子』、『潜入探偵トカゲ』などに出演。映画は『好きっていいなよ。』(7月12日公開)、公開待機作に『サムライフ』がある。今年4月からバラエティー『バイキング』の木曜レギュラーも務める。7月15日スタートの連続ドラマ「あすなろ三三七拍子」(フジテレビ系列 毎週火曜9時~)に園田善彦役で出演決定。

――まずは映画『好きっていいなよ。』のお話から聞かせて下さい。これまでいくつかのドラマに出演経験がありますが、映画は初めてでした。今回演じた立川雅司の役は、学校一の人気者・大和の友達で、その大和に片思いする愛子に想いを寄せる男の子の役でした。雅司という人をどんな人だと捉えて演じましたか?

「普段は人のことを客観的に見ていて大人びたところもあるんですが、みんなと遊ぶ時は高校生らしくはしゃいで盛り上がる。そんな二面性を持ちつつ、愛子には自分の気持ちをストレートに何度も伝える、真っ直ぐなところもある。雅司のそれぞれの側面を大事に演じました」


――愛子とホテルでやり取りするシーンは緊迫するものがありました。そういったシーンはこれまでのお芝居にはない初めての経験だったと思います。愛子役の足立さんや監督とどんな話をしましたか?

「本読みの時に足立さんと『どうする?』という話になって。その時に監督が、雰囲気として参考になる洋画をおすすめして下さったんです。それを観て監督の描きたい雰囲気をつかみ、あとは現場で臨機応変に『こうしよう』と決めながら、大切に演じました」


――その参考にした洋画は雅司の心境と近い作品なんですか?

「心境というより、ニュアンスですかね。なので、その雰囲気だけ頭に置きつつ、あとは現場の空気感を感じながら、演じました」


――映画は初体験でしたが、ドラマと映画でのお芝居のアプローチに違いはありましたか?

「特に意識はしませんでしたが、ワンカットがとても長く、全然カメラが止まらないところがあり、それは凄く新鮮でした。今まで経験したドラマでは、細かくカットを割ることが多かったので、一連の流れで撮っていく撮り方は、僕にとっては自然に芝居がしやすく、とても演技がしやすかったです」


――撮影期間的にもドラマに比べるとゆったりしていたのでは?

「この映画に関しては1カ月くらいの撮影だったと思います。多分、(めい役の川口)春奈ちゃんと(福士)蒼汰君は大変なスケジュールだったと思うのですが、僕は週に数日だったので、ひとつひとつのシーンに集中して出来ました」


――山本さんはついこの間まで高校生だったから、役柄的にも身近に感じられたと思いますが。

「撮影中はまだ高校生だったので、等身大の姿で作品に臨めました」


――『好きっていいなよ。』は元々がマンガ原作なので、現実の世界とは違うかもしれませんが、実際の山本さんの高校生活はいかがでしたか?

「この作品のような学校生活があったらいいですよね。実際には学校一のイケメン!という人もなかなかいないと思いますし(笑)」


――ところで、山本さんは台本をどんな風に読み込んでいくんですか?

「とりあえず1回目は自分の役を気にせず作品を楽しみます。そして2回目以降は自分の役を意識して読み、撮影の前日には、“ここはどういう気持ちなんだろう”と、改めて読み込みます。台本に直接書き込むことはあまりしません」


――自分の頭の中でイメージは作っていくんですか?

「何度か読んである程度のイメージは作りますが、やっぱり現場に行かないと情景などは入ってこないので、あまり作り過ぎず柔軟に対応出来るように余白を残しています」


――この現場は、山本さんが自由に演じられる場でしたか?

「まずは監督が僕のお芝居を見て下さり、そこから少し付け足すくらいだったと思います」


――少し付け加える程度ということは、監督と同じイメージを持っていたんですね。

「芝居というよりは、自分の素の状態に近い部分があったので、演じやすかったんです」


――例えばどんなところが?

「本読みが2回あったんですが、1回目のあと、監督がみんなに宿題を出して、僕には『なぜ愛子に好きと言ったのか、なんで好きになったのか』の問いを与えてくれました。2回目の本読みの前に、監督と役になりきって話をする機会があり、その時に雅司という役が作れた気がしたんです。だから、撮影期間中は演じているという感覚があまりなくて、リラックスしていられたし、本当にその場の雰囲気を感じてセリフを言っている感じでした」


――完成した作品を観た感想は?

「当然ですが、スクリーンに出る自分の姿は初めてで。楽しみと緊張の入り交じった状態で観ていたのですが…芝居についてはまだまだ課題だらけです」


――この作品は女の子のほうが共感を得られる作品だと思うんですが、男性目線でこの作品の魅力を伝えるとしたら?

「男性が観ても胸キュンポイントがたくさんありますよ。めいが自分から大和にキスをするシーンがあるんですが、そこは僕も凄くキュンときてしまいました。そしてこれ観て、恋愛したくなってくれたらいいなと」


――最近のニュースで、若者は恋愛が面倒くさいと感じているようですが、山本さん自身も体感するものがありますか?

「はい、たしかに周りにも恋愛にはあまり興味がないと言うヤツがいます。だから、ちょっとでも恋したいと思ってもらえたらいいですね」


――更にもう1本、映画に出演するそうですね。元高校教師が理想的な学校を作ろうと奮闘する、実話を基に描かれた『サムライフ』は来年公開です。

「もう撮影は終わりました。『好きっていいなよ。』のあと、今年の4月に撮影して」


――2作目となると挑み方も違うものですか?

「1作目の『好きっていいなよ。』は同じ事務所の仲間がたくさんいたので、ホーム感が凄くあったんですが、『サムライフ』はみんな違う事務所だったにもかかわらず、同世代が多かったこともあって、撮影1日目から凄く仲良くなって。宿泊したホテルが、加治将樹さんと柾木玲弥くんと3人部屋で、そこでもとにかくずっと話していました(笑)。作品自体、仲間意識が大切な作品だったので、その雰囲気が凄く出てると思います」


――セリフはいつもどこでどういう風に憶えますか?

「不思議と、最初に読んだ段階である程度は憶えてしまうんです」


――本当ですか!? 凄い特技ですね。

「撮影スケジュールを頂いて、次はどのシーンかな…と確かめ、“ああ、このセリフのところか”という感じで、再度頭の記憶の中から引き出しています。最初に凄く集中して読んでいるんだと思います」


――そうは言ってもすぐに頭に入るものではないと思います。昔から暗記したり憶えることは得意だったんですか?

「一夜漬けは得意でしたが、記憶力はよくないと思っていたのですが…。」


――セリフを憶えること自体は苦にならないんですね。

「もちろん台本を頂いてすぐに、完ぺきに憶えることは出来ないんですけど、役作りの段階で何回か読んでいるうちに頭に入って、前日に読み直してという感じです」


――話は変わりますが、4月からバラエティー番組『バイキング』のレギュラーに起用されました。今、スタートしてからちょうど1カ月くらい経ちましたが(取材日現在)、あれだけのトークの達人の中で、セリフではなくフリーで話すという環境には慣れましたか?

「めちゃくちゃ難しいです。いつ話を振られるかわからないので、何を話すか常に準備をしていて、話を聞いているのか聞いてないのかわからなくなることがあります(笑)。でも最初よりは、慣れてきたかな…(笑)」


――芝居だったら、セリフを憶える、役の背景を考えるなど準備の方法がいくつかありますが、バラエティーの場合はどんな準備をするのでしょうか。

「準備はしたくてもバラエティーは、あまり出来ないですからね。毎回話題が違いますし、自分の頭の回転の速さを上げるしかないかな」


――どうやったら上がるのでしょう。

「人とたくさん話すとか、本を読んで言葉を増やしたりして情報量を増やす。あとは場の空気を読めるようになること。難しいです」


――突然の無茶振りもありますしね。

「でも、役ではない素の山本涼介としての挑戦なので、新しい道を開けるんじゃないかなと思ってます」


――以前からバラエティーに出たい気持ちはあったんですか?

「やってみたい気持ちはありましたが、まさか初めてでレギュラーとは思っていませんでした!」


――出てみたかった理由は?

「面白い話をしている人達の輪に入って、どこまでいけるか自分を試したかったんです。みなさんが役ではなく素の状態なので、その中に自分がいたらどうなるんだろうなと。」


――関西(奈良県)出身ですし、元々お笑いが好きだったんですか?

「凄く好きでした。小さいころからお笑いを見て育ったので」


――友達の中ではツッコミとボケ、どちらのタイプでしたか?

「面白いことをバンバン言うほうではなく、急に振られてボケるみたいな感じだったかな…。いや…つっこむことも多かった気もします。でも、『サムライフ』の現場ではボケまくって、ムードメーカーだったのではと自負しています(笑)。なぜそういう流れになったのかわからないのですが、気づいたらそうなっていました。新しい自分を見つけた感じでしたね」


――ボケもツッコみも両方出来るということですね。

「芸人さんに比べたらまだまだですけど…って比べるにも及びませんね(笑)」


――更に番組では合間にコメントを挟まなければなりませんが、それも難しいですよね。

「はい。ほかの方が話しているし、言ってもいいかな、でも止めておこうかな…と迷っているうちに話が流れてしまったり。」


――そんなバラエティーに出演する山本さんを見て、周りの方々の反響はいかがですか?

「最初は緊張しているのがお茶の間にも伝わったみたいなんですが(笑)、お母さんのお友達からは『最近は余裕が出て来たね』と言われたし、色んな方から少し安心して見られるようになってきたかなとも言われます」


――お母さんは?

「母は何も言ってきません。仕事のことは何も言わないので」


――お芝居についても?

「何も言わないです。ファッション誌だと、ポージングのアドバイスはしてくれます。実は…母も以前モデルをやっていたので、モデルの部分は気になるみたいです」


――山本さんは学生時代、サッカー部で県代表に選ばれるくらい打ち込んでいたようですが、プロを意識したことはあるんですか?

「ずっと意識していました。でも中学に入って関西大会に出たら上には上がいることを実感しちゃって。諦めかけていたところに、ジュノンスーパーボーイコンテストの話があって。サッカーか芸能界の仕事か悩みましたが、自分で芸能界でやると決めました」


――コンテストに申し込んだのはご自身ですか?

「よくあるパターンですが、母が出しました(笑)。どうせ落ちるだろうと思っていたけど書類が通って」


――やるからには優勝したかった?

「ファイナルに残れたので、やっぱり優勝したかったし、選ばれなかった時は凄く悔しかったです。あの日の帰りはずっと泣いてましたね。新幹線に乗り、奈良に着いてからもずっと泣いていて(笑)」


――自信もあったんですね。

「やるからには勝ちたいと思ってました」


――スポーツマンだから勝負ごとには負けたくない気持ちで。

「そうですね。それで初めて芸能界を意識しました」


――韓国のアイドルグループのBIGBANGがお好きとのことですが、歌の世界に行こうと思いませんでしたか?

「歌は音痴だから無理だと思ってました(笑)。事務所に入って、気づいたら芝居の道を歩んでいて」


――流れに身を任せて

「はい。正直に言うと、最初はお芝居をやりたいという気持ちはあまりなかったんです。でもやってみたら面白いし、自分とは違う人生を経験出来る。色んなことを体験出来るので、こんなに楽しい職業はないと思います」


――昨年末のMEN ON STYLEのステージでは歌い、踊ってましたが、実際にやってみていかがでしたか?

「凄く楽しかったです。イベントが好きだし、大勢の人に見られているのが気持ちよくなっちゃって」


――以前から注目されるのが好き?

「はい、昔から。運動会でも目立っていたのですが、そういうのがきっかけで快感に(笑)」


――ところで、役者として、そしてバラエティーの仕事が増える中で自分を磨くために取り組んでいることはありますか?

「最近はジムに行って筋肉をつけたり、ダンスの練習をしたりしています。今はダンスが上手い人が多いので、負けたくなくて」


――山本さんの学生時代は、まだダンスは必須科目じゃなかったですものね。

「僕のひとつ、ふたつ下からなんです。ダンスは手足の先まで神経を行き届かせなければならないし、見せたり、表現することが上手くなると思うので大事ですよね」


――19歳になったばかりですが、今後の目標は決めてますか?

「長い目標は全く決めていません。多分、その通りに行かないことのほうが多いと思うので。でも、小さな目標はたくさん立てています。目の前に小さな目標がたくさんあるほうがモチベーションも上がりやいすと思うので」


――そういうのを一つひとつクリアしていくのが目標ということですね。

「そして、それをクリアするごとに自分に小さなご褒美を買うようにしています(笑)」


――どんなものを買うんですか?

「基本的には服なんですが、これが出来たらこの服を買うと決めれば、絶対に達成出来ます(笑)」


――どんな服を選ぶんですか?

「BIGBANGのG-DRAGONさんが好きなので、彼が着ている服を意識しています」


――相当派手じゃないですか?

「彼の私服はそうでもないんです。僕はステージの服よりも私服に注目しているのですが、とてもおしゃれで。基本的には高価な服が多いので、僕はそれに似た服を安く探して買っています」


――G-DRAGONさんのどんなところに惹かれますか?

「自分を見せるのが上手いんです。かっこよくも見せるし、かわいらしさもある。そういう部分に惹かれます。凄く努力もされていると思うのですが、それを見せないし、歌も凄くいい。DVDを見て、いろいろ研究してます」


――同じ事務所のMEN ON STYLEの仲間や、様々な仕事の現場で出会う仲間からはどんな刺激を受けていますか?

「みなさん考え方が違いますし、芝居に対するアプローチも全然違うので、全てが勉強になります。見習うべき部分は、吸収しようと思っています。この世界は視野が広くて気遣いが出来る人が残っていると思うので、僕もそういう人になれるように頑張ります」


『好きっていいなよ。』

原作/葉月かなえ(『好きっていいなよ。』(講談社「月刊デザート」連載)
脚本・監督/日向朝子
出演/川口春奈 福士蒼汰 市川知宏 足立梨花 永瀬匡 西崎莉麻 山本涼介 八木アリサ ほか
配給/松竹

540万部突破の大ヒット漫画『好きっていいなよ。』(講談社「月刊デザート」連載中)を映画化。高校1年生の橘めい(川口春奈)は子供時代に友人に裏切られたトラウマがあり、友達も彼氏も作らずに生きてきた。そんなある日、学校一のモテ男の同級生・黒沢大和(福士蒼汰)を誤って怪我をさせてしまう。しかしこれをきっかけに大和はめいに興味を持ち、更にはピンチから救うために、めいのファーストキスを奪う。優しく一途な大和にめいも徐々にひかれていくが…。
7月12日(土)より全国公開

2019年06月
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