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インタビュー

井出卓也   (いで・たくや)

ある男子高校生が高校内に潜む不思議な力を持った7人の魔女を探すという学園ドラマ『山田くんと7人の魔女』に出演中の井出卓也。俳優として映画、舞台などにも出演しながら、モデル、歌手活動など様々なフィールドで活躍している。そんな彼が、ずっと出てみたかったと語る学園ドラマである今作について語った。また、自身の高校時代や俳優としての目標にも迫る。


撮影/吉田将史 文/渡邊美樹

プロフィール 井出卓也 (いで・たくや)


1991年3月12日生まれ。東京都出身。テレビドラマ、映画、舞台など幅広いジャンルで俳優として活躍中。主な出演作に、ドラマ『ホタルノヒカリ2』『秘密諜報員エリカ』、舞台『ミュージカル「黒執事」 -The Most Beautiful DEATH in The World- 千の魂と堕ちた死神』、映画『図書館戦争』『闇金ウシジマくん』などがある。12月14日から舞台『サムライ・ナイト・フィーバー 再燃』が上演予定。オフィシャルブログはこちら
http://ameblo.jp/ide-takuya/

――『山田くんと7人の魔女』の1話を拝見しました。キスをすることで魔女の能力が発揮されるという展開は事前情報で知ってはいましたが、まず、井出さんと山本裕典さんとのキスシーンがあったことに驚きました。過去に男性とのキスシーンをやったことはありましたか?

「そうですね、ないですね。『芝居では』っていうと、語弊があるんですけど(笑)。過去にバラエティの企画ではあったんですけど、芝居ではなかったですね」


――なるほど。でも、そのキスで魔法にかかってしまいますから、意味合いがまた変ってきますね。今回は、同世代の役者さんが多い現場だと思いますが、撮影の雰囲気はいかがですか?

「いや、これが、いわゆる学園ものなんですけど、生徒会長役の徳山さんが31歳で、下は16歳の子もいるので、意外といろんな世代の方がいます。そして、10代の子を見てると『やっぱり違うわー』って感じは否めないです(笑)」


――そんなに違いを感じますか。井出さんは、高校時代に部活とか、生徒会などはやられてましたか?

「僕は、自分でダンス同好会を作ってました。元々、ダンス部はあったんですけど、女の子しかいなくて。そこに入ってもよかったんですけど、入ったら“下心あるのでは?”って思われるんじゃないかと思って。で、そんな風に思われるんだったら、仲のいいやつ集めて作ったんです。でも、新しく作ったものなので、部室とかも与えられないんですよ。だから、朝しか練習する時間がなくて。朝5時とかに起きて練習してました。でも、今思えばどういうバイタリティでやっていたのか、全く謎です(笑)」


――すごいですね。

「で、その中の仲のいいやつが、結構行事とかに関して積極的に取り組んでて。高校生って、行事とかめんどくさいっていうタイプか、ガンガン関わりたいというタイプかどっちかだと思うんです(笑)。僕は、思いきり盛り上げにいくタイプだったんで。その中に生徒会長がいたこともあって体育祭とかは、僕は生徒会ではなかったんですけど積極的に参加してました(笑)」


――今回演じる、宮村虎之介も、テンション高く明るいキャラクターですよね。ご自身と重なる部分はあったのでしょうか?

「実は、今回の役は結構影があるキャラクターなんです。単純に騒いでるんじゃなくて、いろいろ自分の家族のことを背負っていて。クールじゃないですけど、いろんな個性的なキャラクターと関わって自分の心を開いていく役柄です。なので、まだ第1話の段階の時には、『どれだけキャラクター内面を掘り下げるかわからない』って、監督に言われました。だから、『1話では、そういう裏のブラックさを出すことは考えなくていい』っ言われましたね」


――また、宮村は物語の軸となる重要なキャラクターですよね。このキャラクターを演じるにあたって監督から演出の指示はあったのでしょうか?

「実は僕自身、学園ドラマを今までやったことがなくて、『学園ドラマをやらせてください!』って言って、オーディションを受けさせてもらったんです。それで、決まった作品なのでやる前から、もの凄い気合いが入ってたんですよ(笑)。原作のマンガを読みまくって、1話の台本も届いてすぐに読み漁って。衣装合わせの時に、初めて監督とお会いしたんですけど、その時にやたら質問攻めをしました。そしたら、『おまえ、もういいよ!』っていわれましたけど(笑)。だから、そこである程度お話したので、実際に演技する場で細かい演出というのはあまりなかったですね」


――じゃ、意外と自分が考えてきたものをその場でやって…?

「そうですね。受け入れてくれるじゃないですけど。そういう監督なので」


――では、この作品について共演者の方同士で話すということはありますか?

「山本君とはよく話をします。男が少ないんですよ、このドラマって(笑)。学園ドラマって教室で繰り広げられるけど部室のシーンが多いので、本当に男性が裕典君しかいなくて。もう、そこは話し合わないとどうしようもないっていうか(笑)」


――なるほど。キスシーンへの気づかいとか、男同士にしかわからないこともあるでしょうし。

「そうですね。でも、もちろん、最初は“キスシーン、キスシーン”って、意識してしまうのはありましたけど、今では、仕事というか。ドキドキ感はどこへやらで、『キスすればいいんでしょ?』みたいな(笑)」


――確かに、いちいちドキドキしてても仕方がないですよね。

「もちろんスタッフ側も、『わー、キスしちゃったよー!』みたいなのもあったんですけど、最近とかはもう『はい、じゃキスお願いします』みたいな(笑)。でも、1話の最初に西内まりあちゃんと山本裕典くんのキスシーンがありましたけど、実は一番最初に撮影されたのは、僕と裕典くんだったんですよ(笑)。そこ、主役のふたりじゃないの? 僕たちでまず試したでしょ? って思いました(笑)。あと、ドライ、カメリハ、本番ってあって、結構ドライの段階から僕らはキスをしてましたね。特に話し合って決めたわけでもなく。男の僕らが恥ずかしがってても気持ち悪いだろうし、お互いにそれを察してか、ずっとしてて。しまいには、スタッフから『唇が腫れるんでもう、リハーサルからやらなくていいです』って言われましたけど(笑)」


――今回の設定はキスをしたもの同士が入れ替わったり、テレパシーで会話ができるというSF的な要素もはらんでます。人が入れ替わるという設定は映画、ドラマなどでは珍しい設定ではないとは思いますが、人間が入れ替わったらどうなるとか、演じる側としてやりにくさとかはありますか?

「そうですね、僕は本当に人と人が入れ替わったら、もう動けなくなると思うんです。自分が見てきた茶色とか白っていうのも別の人の体になって見たら、もしかしたら全然違う色かもしれないし。自分がかっこいいと思ってたものが不細工に見えたりとか。筋肉も自分の体に慣れてるから動かせるものであって、僕が女の子の体になったらうまく動かせないと思う。でも、ドラマでは本当にテンポよく進むから、入れ替わったらすぐなれるみたいな(笑)」


――でも、そこで入れ替わったことが視聴者に伝わらないといけないというのも大変ですよね。女性と男性の入れ替わりはわかりやすいですけど、男性と男性の入れ替わりって難しそうですね。

「そう! そうなんですよ。もちろん実際に入れ替わる人はいませんし。そのリアルさを、この土曜の11時のドラマでどこまで出してやるか。これが、もしも月9とかだったらもっと違ったと思うし。でも、土曜11時の独特な感じだったら逆にポップにできるのかなって思ったりします。だから、矛盾だらけになっちゃうけど、それを誤魔化すわけでもなく、伝えるってことは難しいですよね」


――では、改めて、第1話を見た感想は?

「1番最初に思ったのは、本当に効果音を使わないんだっていうところですね。オンエアを見たら、もっと編集するのかなって思ってたんです。バーン! とか効果音とか入れてるのかなって。でも、全然音とか入れないんだ! って驚いて。でも、それは自分たちの芝居で伝わるんだなって、視聴者に届くんだなって、嬉しい気持ちもありながら。少し、本当に大丈夫かなって思う部分もありますけど。あと、部活のシーンが凄くカットを割っているんですけど、実は撮影を止めずに全部一連で撮っているんですよ。もちろん最初にセリフは頭に入れてくるんですけど、平気で台本7、8ページ分を一連で行きますっていう(笑)」


――噛んでしまったら大変ですね。

「でも、噛んでも気にするなって監督に言われました。『そのリアルな勢いを止めてしまうほうがよっぽど残念だから。もう、やってくれ』と言われて。裕典君と真っ青になりました(笑)。キスをしてキャラクターが入れ替わって、その後、元に戻る。という流れを含めた一連の動き全部だから。だから、なかなか鍛えられてるんじゃないかと思います。舞台をやっている感覚に近いです。その勢いで、面白くしていこうと。それで、オンエアを見てみたら、『テンポいいなー』って、思っちゃって(笑)。こういう撮り方があるんだって勉強になりました」


――普通の学園ドラマよりも考えるところが多いですね(笑)。今、井出さんはドラマ、映画、舞台など色んな場所で活躍されていらっしゃいますが、演技に対して考えていることや、ご自身のモットーなどお伺いできればと思います。

「どう演じるかを考えちゃったら終わりだなって思うんです。その考えるのは、おうちでやりましょうっていうのがあって、自分が考えてきた演技を出す場面で、監督から『こうしたら?』って言われることもあるんですけど、そこは、もちろんその意見を活かします。でも、その場でこうしなきゃって思った時点で、もうリアルじゃないっていうか…。特に、シリアスな演技が求められる場面だと、こうしたらよかったんじゃないかとか、こういうのもあったよなって、どうしても考えちゃうんですよ。例えば、左目をちょっと動かしたらミステリアスに見えるんじゃないかとか。そういう風に意図的にやって作る俳優さんもいるので。でも、僕は頭の回転が速くないので、そうやって現場で一つひとつ考えすぎると、その演技プランを考えることに必死になっちゃうから」


――そっちにばかり意識がいってしまうということですね。

「そう。次のセリフにいってるんだけど、さっきのこととかを考えちゃうから。それをやるんだったら、自分の作ってきた気持ちを、ハートをそのまま出して。もらって出してってやっていったほうが一番リアルかなって。それを大事にやってます。何がいいかはわからないですけどね」


――これから自分が俳優として、挑戦したいことや目標はありますか?

「もちろん、『月9で主役でしょ!』っていうのはあります。主役をどんどんとっていきたいって目標は、単純にハングリーな野望として持ってます。あと、僕がこの学園ドラマをやりたいと思ったのは、歳をとったらできなくなるから、それは後悔するなって思ったからなんです。その時の自分の歳にあった役はなるべくやりたい。歳を取ったら演じられなくなることって、もったいないなって思うんです。だから、歳を重ねながら、自分に合う合わないよりも、その歳に合うものをやっていきたいなって」


――今、大学に通われて俳優業もやられてますが、大変なこと難しいことが多いのではないでしょか?

「もう、“難しい”でしかないです(笑)。だから、学校に通いながら俳優をやられてる方が『全然大変じゃないよ』って言ってるのを聞くと、凄いなと思います。大学を辞めて俳優に専念する人も多いですし。だから、僕は4年で卒業できればかっこいいけど、8年かかっても卒業できればいいって思ってます。学業も、もうひとつの目標ですね」


土ドラ『山田くんと7人の魔女』

原作/吉河美希(『山田くんと7人の魔女』週刊少年マガジン連載中)
演出/星護 髙丸雅隆
出演/西内まりや 山本裕典 トリンドル玲奈 井出卓也 大野いと 間宮祥太朗
美山加恋 松井愛莉 小島藤子 小林涼子 徳山秀典 ほか
フジテレビ系にて、毎週(土)23時10分~ 放送中 ※一部地域を除く
公式HP http://www.fujitv.co.jp/yamadamajo/

舞台『サムライ・ナイト・フィーバー 再燃』

作・演出/浅沼晋太郎(bpm)
出演/佐野瑞樹 佐野大樹 井出卓也 谷口賢志 岡幸二郎
12月14日(土)~23日(月・祝) 赤坂RED/THEATER
舞台HP http://www.w-b-bros.jp/

2019年07月
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