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インタビュー

小澤廉   (おざわ・れん)

現在放送中の『仮面ライダー鎧武/ガイム』でチーム『鎧武』のメンバー・ラット役を熱演中の小澤廉。テレビ初出演作となる『仮面ライダー鎧武/ガイム』の話から、出演映画『マジックナイト』、更にはアイドルとして活動する「B2takes!」に至るまで、様々な話を聞いた。

撮影/吉田将史 文/池上愛

プロフィール 小澤廉(おざわ・れん)


過去の出演作には映画『ゲバルト』、朗読劇『ROUDOKUDANSHI~朗読☆男子~ 春の朗読週間』がある。8月30日より出演映画『マジックナイト』が公開。また俳優業だけでなく、アイドルグループ「B2takes!」のメンバーとしても精力的にライブ活動を行っている。
公式ブログ http://ameblo.jp/a-s-ren/
公式ツイッター https://twitter.com/occult_box

――まずは、小澤さんが芸能界に入るきっかけから教えて下さい。

「大学3年生の就活時期にスカウトされたことがきっかけです。ゼミの就職説明会にも行っていて、ブライダル業界とかいいなあと思っていたんですよ。毎日幸せなカップルを見られる仕事はないなって。でも、ふと自分で鏡を見た時に、就活のために黒髪にしてた自分に違和感を憶えたんです。“いやぁ、違うだろ”って。その翌日にはサロンでブリーチして、今の事務所に『レッスンからお願いします』と返事をしました。大学3年の2月くらいのことです」


――ということは、まだ芸能界に入ってから間もないんですね。

「そうです。新人のペーペーです(笑)」


――もともと俳優に興味があった訳ではなく、スカウトされたことで興味が湧いたんですか?

「実は僕、大きな夢があるんです。これを言うと何言ってるんだと思われるかもしれないんですけど、“世界平和”が僕の夢で。色々戦争のこととかを調べると、本当に悲惨な現状ばかりじゃないですか。僕が語るにはまだまだ知識が足りないけれど、少しでも戦争を無くしたい、世界が平和であるようにということを伝えるには、戦争の悲惨さを伝える映画やドラマに出たほうが手っ取り早いんじゃないかなって思ったんです」


――そんな野望が…!

「例えば、SFで一番有名なものを上げるとしたら、スターウォーズが上がると思うんです。僕はその戦争版に出てみたい。戦争映画といえばコレ! という作品に少しでもいいから携わってみたいですね」


――世界が平和であってほしいとは、誰しも願っていることだと思うんですが、それを夢と語るのって、少し勇気が入りませんか?

「そうですよね。結局平和って何? って感じじゃないですか。どこがゴールなのかわからないし、世界平和を叶えた人がいるのかと言えば、誰も叶えていないと思います。だから“大口叩くなよ”って思われるかもしれません。だけど、僕の友達はそういう話も真面目に聞いてくれるんです。どんな話も自分に置き換えて親身になってアドバイスしてくれます。だから、周りにバカにされても、こうやって語れるのかもしれません。友達のお陰ですね」


――熱く語り合うのがかっこ悪い、みたいな風潮もあったりしますが。

「最近はそういうの多いですよね。でも熱くなることは全然かっこ悪いことじゃないと思う。もっと熱くなったほうが人生きっと楽しいはずです」


――ちなみに小澤さんが熱くなれることは? 高校はダンス部だったんですよね。

「そうです。モダンダンスをやっていました。ダンスは高校で初めてやったんですが、全国大会にも行きました」


――出演中の『仮面ライダー鎧武/ガイム』ではダンスシーンがありましたね。

「はい。ダンスの経験を活かすことが出来たので嬉しかったです」


――ラット役で出演中ですが、これはオーディションだったんですよね?

「そうです。合格の連絡があった時、ちょうど僕は山梨で映画の撮影をしていて。ちょっとホームシック気味だったんですよ(笑)。そんな時に社長から『廉君に報告があります』という電話がかかってきました。『仮面ライダーに出演が決まりました』と言われた時は、本当にびっくりしました。ドッキリだ! と思いましたね(笑)。僕、社長に『マジですか?』と聞くのが口癖なんですけど、その時は100回くらい言ったと思います(笑)」


――オーディションは自信がなかった?

「アピール出来たとは思いましたけど、周りの方がみんな上手かったんです。しかも事務所に入って2カ月くらいで受けたオーディションだったので、演技が何かもわかっていませんでした。『仮面ライダー鎧武/ガイム』のダンスチーム“鎧武”のライバルチームに“バロン”というチームがあるんですけど、そのチームに所属するペコ役の百瀬朔君が、僕と同じグループでオーディションを受けていたんです。そこでの朔君の演技がめちゃめちゃ凄くて! もちろんみなさん上手かったんですが、朔君が群を抜いていた気がします。だから、朔君のやった演技を一生懸命観察して、自分の番の時に盗んだんですよ」


――えぇ(笑)!? よくそんな機転が働きましたね。

「その時は頭をフル回転させました(笑)。もちろん盗んだと言ってもパクった訳ではなく、いい部分を参考にさせて頂いた感じです」


――じゃあ受かったのは百瀬さんのお陰?

「かもしれないです。ありがとうって言わなきゃいけないですね(笑)」


――『仮面ライダー鎧武/ガイム』が初めてのテレビ出演だったと思うのですが、現場に初めて入った時、どういう驚きや発見がありましたか?

「短いシーンでも、こんなに時間をかけて撮影するんだということに驚きました。1分しかないシーンを1日かけて撮影するんです。そりゃあ面白い映像になる訳だなと。大勢のプロ集団が本気でやられている。その姿勢が凄くかっこいいなと思いました。厳しいスタッフさん達なので、怒鳴り声も聞こえてくるんですよ。怖い時もあるけれど、その場の雰囲気が悪くなったら、それを盛り返すところまできっちりやって下さるので尊敬します。凄く真面目で厳しい方々が多いです」


――同世代の役者さんと演じることで感じることは?

「みんな意識が高いです。そして貪欲。少しでも映るように立ち位置も気にされてる方もいますし」


――立ち位置?

「例えばシーンによっては、カメラの向き方で見切れることがありますよね。その時に『映らないから次のシーンは休憩だね』と言われないように、カメラワークも考えながら、その場に立つんです。そういうことをやってると、ある共演者さんから聞いた時は、本当に凄いなと思いました」


――それは凄い。

「あと、監督に『その演技はちょっと違うなぁ』と言われても、また次もトライするんですよ。2回目も注意されたら止めるんですけど、たまに俳優の演技が採用されることもあります。本当に貪欲さが半端ないです」


――小澤さんもトライしてるんですか?

「します。採用されることもあればされないこともありますけど。今は7対3くらいの割合かな。7がダメで3は採用される…かな」


――3割採用って、それって凄くないですか?

「監督さんによっては、自由にやらせて下さる方がいらっしゃるので、その時は結構自分のプランで演じることが多いです」


――ちなみに小澤さんは、どのようにセリフ憶えをしているんですか?

「まずは何度も読んでセリフを憶えます。そして風呂場でシャワーを浴びながら、色んなトーンで言ってみるんです。シーンを想像しながら言い回しを変えたりして。自分でこれだなって思ったものを現場に持っていくようにしています」


――相手との掛け合いのシーンなんかは、自分の想像と違う口調で相手が演技することもありますよね。その時はどうするんですか?

「『仮面ライダー鎧武』の場合で言うと、ロケバスの中で読み合わせをするので、その時に相手の演技がわかるんですね。僕は、相手のトーンを聞いて、それに合わせて演技を変えたりしています」


――すぐ違うパターンで言えます?

「なんとか頑張ってますけど、まだその技術は僕にないですね。まだまだ勉強中です」


――ラットを演じるにあたって、挑戦したいことはありますか?

「ヤラレ役なので、素手でもいいから怪人を殴ってみたいです(笑)」


――なるほど(笑)。

「最近は血糊メイクばかりなんですよ(笑)。視聴者に見て欲しいのは、ラットはいつもおちゃらけてるけど、女の子を守るために怪人からヤラれているんです。女の子を守るっていう、男らしい一面もあるんだぞというところを子供達も見てほしいですね」


――子供達から声かけられることも多いのでは?

「あります。でも仮面ライダーって子供だけじゃなくて、大人の方も大勢見ていらっしゃるじゃないですか。ストーリーが深いので、大人の方もハマると思います」


――8月30日公開の映画『マジックナイト』についてもお話を聞かせて下さい。

「ホストクラブを舞台にしたお話の映画で、僕は、竜星涼君演じるレイラの教育係カイトを演じています。カイトは内装屋で働いていたんですけど、ホストのオーナーにスカウトされてホストになって、将来は教師を目指しているという設定です。この映画で初めてホストの方々と接したんですが、カイトみたいに夢を追うためにホストをやっている方が結構いらっしゃることにびっくりしました。将来カフェを開くための資金作りとか、夢を追いかけているホストさんが多くて。正直なところ、ホストという職業にちょっとだけ偏見を持っていたこともあるんですが、この映画を通じて見方が180度変わりました」


――『マジックナイト』でも、ホストは顔じゃないという部分に焦点を当てていますよね。

「そうなんです。主人公のカイトは、不思議なリングの力でイケメンに変身して、ナンバーワンホストに伸し上がるんですけど、その一方で心がどんどん歪んでいきます。心がしっかりしていないとホストは務まらないんですよね」


――カイトは教育係だからか、凄く真面目なホストという印象を受けました。

「レイラがどんどん心が荒んでいく中で、レイラ以外のホスト達がミーティングをするシーンがありまして。カイトは『僕の教育が行き届いてないせいで…』と反省してるんですが、僕の心の中では『見捨てちゃえ!』と思ってました(笑)」


――(笑)。

「『あんなヤツ見捨てましょうよ』って周りのホストが言うセリフがあったので、僕も気持ちが入っちゃって、『そうだそうだ、もっと言ってやれ!』という気持ちに…。実際はカイトと逆の意見でした(笑)」


――ホストクラブが舞台ということもあり、凄く綺羅びやかな映像でしたね。

「歌舞伎町にある実際のホストクラブを貸しきって撮影しているので、全部本物なんですよ。僕達が楽屋として使っていた部屋には、100万円のソファがあってびっくりしました(笑)」


――寛ぐのにも勇気が入りますね(笑)。

「(ジン役の)伊勢大貴君はそのソファでめっちゃ寝てましたけどね(笑)」


――シャンパンタワーでホスト特有のコールがありましたけど。

「あのシーンには、本物のホストの方々が出演されています。リアルなシーンのひとつですね。僕もお金持ちになったら一度やってほしいです(笑)」


――(笑)。では、俳優業以外についてもお話を。B2takes!というアイドルグループもやられていますが。

「はい。イベントを隔週でやっていて、歌を歌ったりゲームをしたりしています。今は僕達のグループ以外にも、Rush×300と、歌舞喜蝶というグループが出来て、そのチームと争っています。ゲームに勝つとコインがもらえて、1000コイン集まると、事務所からご褒美として松阪牛がプレゼントされるんですよ」


――松阪牛!? それはみんなで食べるの?

「応援して下さるファンの方々と一緒に食べます!」


――コインはどれくらい集まってるんですか?

「今は100コインくらいです。ゲームに勝つと10コインもらえるんですけど、B2takes!はゲームに弱くて(笑)。今のところ1位ですが、ジリジリ追いつかれています」


――どんなゲームをやるんですか?

「ファンの前で、けん玉対決とか、マシュマロキャッチ対決といったプレッシャーゲームです。失敗すると負けなので、凄く緊張しますよ」


――ライバルチームが出来たことでモチベーションも上がった?

「負けたくない気持ちが強くなりました。B2takes!がグループ結成してから一番長いので、昔から応援して下さる方々も多いんですけど、ほかのグループに気移りされないように頑張ります!」


――ファンと交流出来る場所があるのは素敵ですよね。

「そうですね。唯一の交流の場なのでとても大事な場所です。『仮面ライダー鎧武/ガイム』で僕のことを知ってくれて、遠方から足を運んでくれたファンもいて。凄く励みになります」


――それは嬉しい。

「モチベーションを上げるエネルギーになります。たまにレッスン行きたくないなぁとか、もっと遅くまで寝てたいなぁとか思う時があるんですけど、ツイッターでファンのコメントを読むと、寝てる場合じゃない! って思うんです。こんなに応援して下さる方々がいるんだから怠けている暇はありません」


――俳優もアイドルも両方やられてるから、忙しいですね。

「どれかひとつに絞ったほうがいいのかなと、思ったこともあるんですけどね」


――そうなんですか。

「最初は俳優だけで頑張りたいと思ってました。B2takes!の活動も、俳優の勉強になるならと思ってやり始めたんですけど、今はだいぶ気持ちに変化があったというか。メンバーみんなが凄く仲がいいんです。このメンバーで一緒に仕事をして、それでお金がもらえるのなら、こんなに幸せな人生はないんじゃないかなって。だから今は、俳優だけじゃなくB2takes!としても頑張っていきたいなと思っています」


『マジックナイト』

監督/宮下健作
出演者/竜星涼 たくや(ザ・たっち) 久保田悠来 渡辺大輔 太田基裕 伊勢大貴 赤澤燈 前山剛久 小澤廉 髙﨑俊吾 石井正則
配給/トリプルアップ
8月30日全国ロードショー
http://www.magic-knight.jp/
2019年09月
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