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インタビュー

水谷果穂   (みずたに・かほ)

10月25日にスタートした金曜ドラマ『家族の裏事情』に出演中の水谷果穂。昨年事務所に所属したばかりだが、早くもドラマは2作品目。表向きは仲のいい家族だが、実はそれぞれに秘密があり、家庭崩壊の危機が迫る石和家の末っ子・千代美役として出演中だ。女優としてスタートしたばかりの初々しい彼女が、どのように役に挑んでいるのか。1話オンエア前の収録の合間に、現場の様子から今も暮らす地元・静岡県での生活まで幅広く聞いた。

撮影/吉田将史 文/今津三奈

プロフィール 水谷果穂(みずたに・かほ)


1997年11月3日生まれ。静岡県出身。ドラマ『リアル脱出ゲーム 密室少女』ちはや役で女優デビュー。現在は金曜ドラマ『家族の裏事情』の千代美役で出演中。学校法人大原学園のCMにも出演している。

――まずはドラマの話を聞かせて下さい。これまでに出演したCM(学校法人大原学園のCM)や7月から放送していた初出演のドラマ『リアル脱出ゲーム 密室少女』もオーディションで合格したそうですね。今回のドラマ『家族の裏事情』もオーディションだったんですか?

「今回は出演のお話を頂きました」


――オファーの時点で役は決まっていたんですか?

「はい。ホームドラマの娘役で、大まかなストーリーは教えて頂きました」


――出演が決まってからどんな準備をしましたか?

「結構コメディーの部分もあると聞いていたので、過去のコメディードラマを見て表情を見たり、どのくらいのアクションで表現するとわかりやすいのか研究したり。演じる千代美は妹役なんですが、私は3人姉妹の長女なので、妹らしさ、末っ子らしさを知りたいと思って、妹を観察したりしてました」


――水谷さんが思う妹って、どんなイメージですか?

「器用だと思いました。上の兄弟が怒られているのを見ているぶん、怒られないのが上手。家族からも可愛いがられているから、ちょっとわがままでなところがあったりして(笑)」


――ご自分の妹さんを見て思ったんですか?

「はい(笑)」


――演じている千代美はどんなキャラクターですか?

「凄く元気で、落ち込むとことがあってもみんなに見せないようにする明るい子なんですが、末っ子らしくずる賢いところや、甘え上手な部分もあって、家族のみんなに愛されている子だと思います」


――楽しそうな役ですね。

「はい、楽しいです」


――サッカーも上手な役ですが、実際にサッカーをするシーンは出てくるんですか?

「まだあまり撮影していないんですが、この間サッカーのシーンを撮りました。そのシーンのためにサッカークラブで練習に入れてもらったんです」


――水谷さん自身、運動神経はいいんですか?

「運動神経はあまりよくないかもしれませんが、走ることは好きです」


――サッカーはパスを出したり技術面で見せる場面があると思いますが、すぐに出来ましたか?

「最初は全然出来ませんでした。まずサッカークラブで練習する前に家の近所で友達に付き合ってもらってボールを蹴ったりしていたんですけど、友達のほうが上手くて(笑)。でもクラブで練習させて頂いたら、正しいやり方がわかったので、練習の仕方も変わって。友達にも凄く上手になったと言われました」


――これまで運動部に所属したことはありますか?

「中学の時はバレーボール部、小学校の時はスーパードッチ部でした」


――ではボールを使うことは慣れているんですね。

「はい。球技の部活ばかりです」


――このドラマは家族みんなが秘密を持っています。誰でも秘密はあると思うんですけど、水谷さんにはどのくらい秘密がありますか? 数だけでも教えて頂けますか?

「私はなんでも両親に報告したくなるタイプなので、ないと思うんですけど……。(しばらく考えたあとに)あ、テストが帰ってきたのに秘密にしてるとか。それはありますね(笑)」


――ご両親の前での顔と、友達の前での顔って違ったりしませんか?

「どんなところでも結構気楽にやっているので、いつも同じ顔だと思います。というより、実際はあまりよく考えていないかもしれません(笑)」


――では、こういう秘密だらけの家族は理解出来ませんか?

「この家族も表面上は何も隠し事がないだけので、私の家ももしかしたら…と思うこともあります。元々仲のよくない家族が秘密を持っているんだったらドラマとして面白くないけど、こうして表面上は仲のいい家族だからこそ面白いストーリーだと思います」


――事務所の先輩の財前直見さんがお母さん役(石和縁)、沢村一樹さんがお父さん役(石和泰彦)で一緒にお芝居されています。現場での様子を教えて下さい。

「財前さん、沢村さんがいると凄く明るくなって、現場が和むんです。そういう力があって凄いなと思いました。そして出演者のみんなを引っ張り芝居をやりやすくして下さいます。ドラマの現場に慣れない私にも、『今カメラはあそこで撮ってるんだよ』とか、『ここは抱きつく芝居をしたほうがいいんじゃない?』などアドバイスも頂きました」


――おふたりのお芝居で圧倒されたシーンなどありましたか?

「自分なりに台本を読んで、こういう流れなんじゃないか? と想像して現場に行くんですが、財前さん、沢村さんのシーンは、それをいい意味で裏切ってくるんです。台本以上に演技が面白くて、自分達で役をどんどん面白くしていて。もちろん、監督とかの指示もちゃんと聞いて、自分達なりにアドリブのようなものをどんどん入れてきて、テストから本番までにどんどんお芝居を面白くなっていくんです。自分達でお芝居を作っている感じが凄いなと思いました」


――兄妹役の松下洸平さん(石和晴彦役)、鈴木勝大さん(石和雅彦役)とのお芝居はいかがですか?

「私が繰り返しミスしてしまったシーンがあったんですが、それで焦っていたら、『落ち着いてセリフを言えば大丈夫だよ』とやさしく励まして下さって。無事にそのシーンを終えることが出来て助かりました」


――水谷さんは台本をもらうと、お芝居をどう作り上げていくんですか?

「まず台本を読んで、自分の頭でシーンを想像してから声に出してセリフを言います。でもそのシーンの前後だけではなく、台本とは直接関係ない気持ちも考えて想像するようにしています」


――水谷さんは読書が好きですよね。読書も自分でシーンを想像しながら読みますが、そういう感じなのかもしれませんね。

「確かにそうかもしれません。これまで取材で『女優さんになるつもりはなかった』と答えていましたが、読書をしていて鍵カッコの部分はその人になったつもりで、声に出して読んだりしていました。その時は全然意識せずに、好きで読んでいただけなんですが、元々そういうことが好きなのかなと気づきました」


――自分が想像したシーンと、実際のシーンは同じですか? それともだいぶ違ったりするのでしょうか。

「全然違います(笑)。実際にあった話なんですけど、台本だと私のセリフはなく、歩きながら「………」だけのシーンだったので、正直、そのシーンは深く考えていなくて、セリフの多いところばかりを一所懸命練習していたんです。でも実際に現場に入ってみたら、台本に書かれていない表情や仕草を要求されたりするし、セリフがないところだけどセリフが出てきたりしたこともあって、台本通りに読むのではなく、もっと深くその言葉の奥の気持ちを考えることが大事なんだなと知りました」


――お芝居のレッスンは事務所でやるものが中心だと思いますが、そのほかはいつ、どんな風にやっているんですか?

「家でやっています。でも絶対に家族には見られたくないし、声も聞かれたくないので、布団の中にもぐってやっています(笑)。お仕事としてやることは恥ずかしくないし楽しいんですけど、家族や友達など地元に帰ると素になってしまって…」


――これまでの出演作をご家族やお友達もご覧になっいてると思いますが、反応はいかがでしたか?

「いつもと雰囲気が違うねと言われました。あと、演劇部の子達に『演技が上手』と言われたのが嬉しかったです。友達も家族も演技についての意見はそんなに言ってくれなくて、テレビの画面を写メで送ってきて、色々突っ込まれたりしました(笑)」


――お姉さんだとつっこまれる側より、つっこむ側のほうが多いと思うんですが、いじられキャラなんですか?

「3人姉妹の長女なんですが、権力の格差がなくて、妹にも結構なめられていると思います。私はお姉ちゃんぽくないんです」


――学校での様子も聞かせて下さい。部活は物理化学部に所属しているとお聞きしました。どんな活動をするんですか?

「実は文化祭の時だけ活動するんです。文化祭はこの間終わったばかりなので、今後活動は未定です(笑)」


――物理化学部と聞くと、男性が多いイメージがありますが、女性は何人くらい所属しているんですか?

「各学年10人くらいで男女は半々くらい。本当はホームメイド部に入りたかったんですが、毎年凄い人気なので抽選になって。落ちちゃった子は、あまり人気のない物理化学部、書道部、天文部などに振り分けられるんですが、私もそのひとりです(笑)」


――勝手に振り分けられてしまうんですか?

「自分で決められます」


――ちなみに、先日の文化祭ではどんなことをしたんですか?

「文化祭の前の準備で初めて部活に行って、自分達の班で披露する実験を決めました。私達の班はスライムを作って展示したんです」


――スライムを展示? どうやって見せるんですか?

「フラスコに色んな色のスライムを入れて並べたり、来場者が実際に作れるスペースも作りました。誰も来ないだろうと思って材料を十分に用意してなかったんですが、意外にも凄い人気で。すぐに材料がなくなって買い足しに行ったほどでした」


――スライムはどうやって作るんですか?

「水のり、水、ホウ酸を混ぜるだけ。色をつける時は食紅や絵具を混ぜます。試作の時、固まり過ぎて失敗してしまったんですが、それで出来たのがスーパーボール(笑)。それならスーパーボールも作ろうということで、スライムのほかにスーパーボールも作りました」


――芸能界に入るきっかけは、おばあ様が事務所に履歴書を送ったことだそうですね。

「はい。女優になることは、事務所に所属することが決まったから決意しました」


――事務所に所属して1年ですが、すでにCM、ドラマ2本に出演しました。1年を振り返ってみていかがでしたか?

「去年の今ごろ、こんな風に過ごしていると思っていませんでした。事務所に合格した日のことや、始めてレッスンに行った日の日記が残っていて、絶対に頑張ると思った気持ちや決意がたくさん書いてあるんです。時々見返して、こういう気持ちを忘れないようにしたいと思っています」


――CMもドラマ『~密室少女』も1回のオーディションで決まったそうですね。自分の魅力を客観的に考えたことはありますか?

「わからないです」


――オーディションの時、手ごたえはあるのでしょうか?

「CMのオーディションの時は全く自信がありませんでした。オーディションの部屋に入った時、先に座って子が凄く可愛い子で、“こういう子も一緒に受けてるんだ”と思って。自分でこれを言おう、アピールしようとか決めていたことがあったんですが、緊張したのか気持ちがフワフワしちゃって言えなくて、ダメだ…という印象でした。『~密室少女』のオーディションは自分なりに一所懸命出来たんですけど、でも絶対に受かるという確信はありませんでした」


――これから女優1本で進むんですか?

「今は女優さんが一番やりたいです」


――女優のどんなところが楽しいですか?

「自分じゃない人を演じた時、普段の自分がちょっと消えるんです。その瞬間が凄く好きです。演じている時はわからないんですけど、終わったあと、“もし役じゃなかったら、あそこはあんなに大胆に動けなかった”と思うこともあります。まだ経験が浅いですけど、自然に役に入り込めたり違う自分が見えてきて楽しいです」


――普段の水谷さんはどんな人なんですか?

「よくも悪くも、物事を深く考えない性格です。だからこそ、ほかの役で深く考えるのが楽しいのかな」


――このお仕事を初めて自分が変わったと思うことはありますか?

「お仕事で東京にいる時の自分と、学校にいる時の自分は違うと思います。前は学校だけが自分の広い世界だったので、自分をちょっと作ったりすることもあったんですけど、仕事をしてもっと広い世界を知ったことで、学校が凄く楽になって。だから、学校も我が家みたいな感じで、そのままの自分でいられるようになってより楽しくなりました。だからと言って、学校にいる時はあまり目立ったことはしたくありません。あ、そうそう、国語で朗読することがありますよね。家だと凄く感情をこめて朗読したくなるけど、学校だと超棒読みになっちゃうんです(笑)。台本だとスラスラ読めても、教科書だと片言のようにしか読めなくなるんですよ」


――今日もお住まいの静岡県浜松から東京に来ましたが、どのあたりから仕事モードになるんですか?

「東京に着いて新幹線を降りてからです。東京へはいつもひとりで来るんですが、新幹線の中はのんびりくつろいでいます。台本を読むか読書をしていることが多いですね。でも東京駅で降りると急に色んな流れが変わるんです。浜松は人が少ないし、東京は人の流れが早くてパッパッと動く。自分も自然とその中になじんでいく感じです」


――今年ももう終わりです。来年はどんな年にしたいですか?

「この1年は本当に色々と新しいことにたくさん挑戦させて頂きました。もっとドラマや映画に出られるよう、色んなことにどんどん挑戦していきたいと思ってます。そのためにも、まず基礎をしっかり勉強したいです。元々何もせずにこの世界に入ってしまったので、一緒にお仕事をしている方がしっかり出来ていると、自分の基礎が出来ていないのが気になります。まずはレッスンで頂いた早口言葉を家で練習していて、最近は、歌舞伎の『外郎売り』を全部憶えました。地道に身につけていきたいと思います」


『家族の裏事情』

脚本/武井彩 阿相クミコ
演出/木下高男 村上正典 佐藤源太(共同テレビ)
出演/財前直見 沢村一樹 谷村美月 松下洸平 鈴木勝大 水谷果穂 MEGUMI ☆ 佐藤二朗 小野寺昭 真野響子 ほか

下町にある定食屋「いさわ屋」の女将・石和縁(戝前直見)、あることがきっかけで幼馴染みの縁と結婚した泰彦(沢村一樹)、長男晴彦(松下洸平)、次男の雅彦(鈴木勝大)、末っ子で長女の千代美(水谷果穂)は、どこにでもいる平凡な家族。傍から見ると仲のいい理想的な一家に見えるが、実は三世代にわたりそれぞれがびっくりするような秘密を持っていた…。
毎週金曜19時57分~フジテレビ系にて放送中
http://www.fujitv.co.jp/urajijyo/



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