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あえて聞こう!イスラエルの言い分 - ユダヤ国家は何を守ろうとしているのか -

浅川芳裕

「いつも戦っている国」。それだけで、わかったつもりになっていないか。
なぜイスラエルは戦うのか。ユダヤ民族は何を守ろうとしているのか。
35年の中東取材と一次史料、現地の肉声で、日本の「常識」を問い直す!

「侵攻」「占領」「報復」――。
日々のニュースでは厳しい非難が向けられる一方、科学技術や経済の分野では「起業大国」「サイバー強国」「農業先進国」として注目されるイスラエル。

まるで別の国のように語られる、その実像はどこにあるのか。

ユダヤ人とは、宗教集団なのか、民族なのか。
なぜ、この土地に国家を再建したのか。
なぜ、イスラエルを守るアラブ系市民がいるのか。
なぜ、和平の機会は繰り返し失われてきたのか。
そして、なぜ「ユダヤの陰謀」は語られ続けるのか。

17歳のときに抱いた「なぜイスラエルなのか」という問いを出発点に、35年にわたり中東を取材してきた浅川芳裕が、日本では十分に伝えられてこなかったイスラエルの「内側の論理」に迫る。

土地登記から読み解く「土地略奪」論、外交文書が明かす英国「三枚舌外交」の実像、アラブ系市民が語る国家への思い、アラブ世界から追われた85万人のユダヤ人。そして、イランやハマスとの戦いから、国家の正統性をめぐる認知戦まで。

一次史料、公的統計、歴史研究、現地の人々の証言を突き合わせ、イスラエルをめぐる通説を一つずつ問い直していく。

迫害された民族の「最後の避難所」は、いかにして世界有数の「起業大国」となったのか。
異論を尊ぶ知性、命を守る責任、科学技術と農業を国防につなぐ国家戦略。その根底には、民族の生存と未来を支える思想がある。

国家は国民の命と主権をどう守り、歴史と文明を次の世代へどう引き継ぐのか。
イスラエルの言い分を聞くことは、日本のあり方を問い直すことでもある。

■「アラブ人の私が、なぜイスラエルを守るのか」

「私は心も魂もイスラエル人」。
そう語るのは、イスラム教徒の女性将校だ。

本書には、アラブ・ベドウィンの女性起業家、ガザのパレスチナ少年として育ち、のちにユダヤ系イスラエル人となった男性、ユダヤ人兵士を率いたアラブ人など、日本の報道では出会う機会の少ない人々が登場する。

彼らはなぜ、イスラエルで生きることを選び、その国を守ろうとするのか。

議会、司法、行政、軍で役割を担うアラブ系市民。その制度と暮らし、そして当事者の肉声から、「ユダヤ対アラブ」という単純な構図では捉えられないイスラエル社会を描き出す。

■アラブ世界から消えた85万人のユダヤ人

パレスチナ難民については知っていても、アラブ諸国から追われたユダヤ難民については、ほとんど知らない――。

中東・北アフリカに長く暮らしてきたユダヤ人たちは、なぜ故郷を離れなければならなかったのか。財産や生活基盤を失った人々を、イスラエルはどのように受け入れたのか。

本書は、この見過ごされてきた難民の歴史をたどるとともに、中東にルーツを持つユダヤ人「ミズラヒ」が、経済、軍事、文化、政治を担う国家の背骨となっていく過程を追う。

イスラエルを「欧州から来た人々がつくった国」と見るだけでは、その社会も、安全保障への切実な思いも理解できない。

■「最後の避難所」は、なぜ「起業大国」になったのか

世界各地で迫害されてきたユダヤ民族にとって、自分たちの国家を持つことには、どのような意味があるのか。

本書は、イスラエルを戦争と紛争の側面からだけでなく、知力を国家の力へと変えてきた社会として読み解く。

異論を排除せず、問い、議論し、常識を疑う。軍で培った技術や経験を企業へつなぎ、国家が新事業の失敗するリスクを引き受ける。さらに、AIやロボットを活用した農業が、生産と国境地帯の暮らしを支える。

科学技術、起業、農業、国防は、どう結びついているのか。
「二度と生存を他者に委ねない」という国家の存在意義から、イスラエルの強さの源泉に迫る。

■本書で読み解くテーマ

◇「ユダヤ人=宗教集団」という説明で、何が見えなくなるのか
◇シオニズムとは何か――現地の人々の認識を聞く
◇「土地を奪われた」という物語を、登記史料から検証する
◇広く流布する「パレスチナ地図」は、何を示し、何を隠すのか
◇英国「三枚舌外交」――アラブ側は本当に何も知らなかったのか
◇「アパルトヘイト国家」で、なぜアラブ人が将校や裁判官になるのか
◇イスラエル国防軍の戦時倫理と、民間人保護をめぐる論点
◇12回の和平機会は、なぜ実を結ばなかったのか
◇アラブ世界から追われた85万人のユダヤ人
◇1948年の敗戦は、いかに「ナクバ」の物語となったのか
◇イスラエル建国は「植民地化」だったのか
◇ヨルダン川西岸をめぐり、イスラエル側は何を根拠に権利を主張するのか
◇イランとハマスが否定するのは「国境」か、ユダヤ国家の「存在」か
◇「ユダヤの陰謀」は誰が広めたのか――反ユダヤ主義と情報戦の系譜
◇国際世論をめぐる「第八の戦線」は、安全保障をどう左右するのか
◇「選民」とは特権なのか――ユダヤ思想における責任と使命
◇軍・大学・企業をつなぐ、イノベーション国家の仕組み
◇なぜイスラエルでは「農業は国防」なのか
◇アブラハム合意が開いた、中東の共存への道
◇イスラエルの生存戦略から、日本は何を学べるのか

定価 : 2,600 円+税  ¥2,860⑩
[ISBN] 978-4-8470-7704-3  [発売日] 2026-11-24 

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【PROFILE】
浅川芳裕(あさかわ・よしひろ)

ジャーナリスト、作家・翻訳家。1974年、山口県生まれ。エジプト・カイロ大学文学部東洋言語学科セム語専科中退。英語・アラビア語の通訳・翻訳、ソニーの中東・アフリカ市場専門官としてドバイ、カサブランカに駐在。『農業経営者』副編集長を経て独立。世界の農業・食料問題から、中東の歴史・宗教、米国政治まで幅広く取材・執筆する。イスラエルをめぐる問いを35年にわたり追究し、現地取材と一次史料の検証を重ねてきた。著書に『日本は世界5位の農業大国』(講談社+α新書)、『カイロ大学』(ベスト新書)、『ドナルド・トランプ 黒の説得術』(東京堂出版)など。訳書に『国家を喰らう官僚たち』(新潮社)など多数。