◆「無常」と「一点豪華主義」で、賢く考え、しなやかに生きる
「吉凶は人によりて日によらず」運不運、成功や失敗は、日のよし悪しによるものではなく、人の行ないによって決まる、という意味です。運に頼らずとも、自分の言動によって人生は変えていける。『徒然草』の作者である吉田兼好の言葉ですが、人生を生き抜くための本質をついた言葉です。『徒然草』の作者、吉田兼好は良家に生まれ、朝廷の役人となり、世捨て人となって出家をした、酸いも甘いもかみ分けた人物です。「無常」という死と隣り合わせの自分を意識し、「一点豪華主義」を生き方に応用するという、賢く考え、人生を楽しみ、しなやかに生き抜くための人生訓が『徒然草』には書かれています。
人と仲違いをしたとき、十分なお金がないとき、仕事がうまくいかないとき、健康が優れないとき……「自分はダメかもしれない」と自分自身に問い、消耗したとき、落ち込まず、柔軟な考え方で、人生を楽しみながら進むための勘所が『徒然草』には書かれています。
◆賢人たちが読み継いできた「兼好法師のメモ」とは?
『徒然草』は、もともとは本としてまとめられたものではありませんでした。兼好没後、兼好の部屋の壁に文字を書いた紙が貼ってあることに気づいた弟子たちがこれを集めて、今の『徒然草』の原型がつくられたと言われています。『徒然草』とは、兼好が高い位の人たちと交わって聞いた話を、自分の中で消化し、「こんなことはしないほうがいい」「自分の心をどこに置いていたら、辛い目に遭うことが避けられるのか」というメモのようなものだったのです。「何をそんな小さなことでクヨクヨしているんだ、こう考えればいいんだよ」と吉田兼好は、人生をよりより方向へ導いてくれます。 『徒然草』が、賢人たちに読み継がれてきたのは、多くの人が、我々と同じように失敗し、『徒然草』によってなぐさめられてきたからに違いありません。
◆今、注目を集めている文学研究者が限界までわかりやすく、そして、ためになるように解説!
著者の専門は文献学、書誌学と言い、本の歴史を調べることです。その経験から、本書は次のようなつくりになっています。
1 『徒然草』の原文の紹介(『徒然草』の雰囲気を感じていただきます)。
2 現代語訳の紹介(ざっくりと内容を理解していただきます)。
3 超訳(現代に生きるあなたにわかりやすく、ためになるように考えました)。
この3ステップなら、誰もが簡単にすっと『徒然草』を読解できるはずです。『徒然草』の中から、特に重要な51の言葉を厳選し、「賢く考えるための勘所」「人間関係で疲れないための知恵」「心配事と悩みをどんどん小さくしていく秘策」「柔軟に、しなやかに生きる術」「品格の磨き方、知性と教養を身につけるための姿勢」をご紹介しました。メールの作法や、日本人の美意識と品格、ゴーギャンの絵、紀貫之の親父ギャグ、イソップ童話……など、幅広い事例を使いながら、限界までわかりやすく解説されています。訳を頼りに、ぜひ、兼好の言葉とその深い思いを味わっていただければと思います。
定価 : 830 円+税
[ISBN] 978-4-8470-6610-8
[発売日] 2018-08-22
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