プラスアクト

インタビュー

水石亜飛夢   (みずいし・あとむ)

ミュージカル『テニスの王子様』 全国大会 青学(せいがく)vs立海に出演する水石亜飛夢。彼は主人公・越前リョーマ達、 青学の前に立ちはだかる立海の柳 蓮二を演じる。2012年に上演の関東大会決勝戦を描いた「青学vs立海」公演に続いて約2年ぶりの出演となる彼が、ミュージカル『テニスの王子様』2ndシーズンの物語のクライマックスともいうべきこの作品に、どんな思いで作品に臨むのか聞いた。

撮影/中根佑子 文/渡邊美樹

プロフィール 水石亜飛夢(みずいし・あとむ)


ミュージカル『テニスの王子様』青学vs立海、柳 蓮二役で俳優デビュー。2014年『牙狼-GARO- -魔戒ノ花-』(テレビ東京)で、初ドラマ出演を果たす。舞台『蝶々殺人事件』『ママと僕たち ~おべんきょイヤイヤBABYS~』や朗読劇などにも出演し、活躍の幅を広げている。

――今回の作品の稽古はどのような感じですか?

「前作から期間はだいぶ空いたんですけど、やっぱりみんなが自然とまとまるっていうか、とてもやりやすいですね」


――気心知れた仲間という感じですか?

「そうですね、もう付き合って2年半くらいになるので」


――では、今回稽古をするにあたってみんなの成長など感じる部分はありますか?

「まだ、稽古は始まったばかりなのですが、みなさん、個々にお仕事をやられてきたと思うので演じるキャラクターは同じであっても、エネルギーだったり、みせ方とかもきっと成長して帰ってきてると思います。そこは、仲間としても頼もしいですし、楽しみでもありますね」


――ご自身は、どうですか? ドラマや舞台を経験して、今回のテニミュに挑むというところで、成長を感じたり気持ちが変わったりするところはあるんでしょうか?

「そうですね、やっぱり前回の(関東大会決勝の)立海公演は、初めての役作り、初めてのダンス、歌、舞台だったので、必死という感じでした。本当に舞台の上に立つのが精一杯だったので、今回は色んなところを突き詰めていこうと思います。恩返しではありませんが、何倍にも成長した姿を、みなさんにお見せして、感謝を込めて演じられたらと思います」


――ダンスや歌など、ストーリーの要素以外にも盛りだくさんな感じがあるんですが、稽古で苦労したところなどありますか?

「本当に全部に苦労しましたね。特に、体を動かすということが初めてで…。体の動かし方をあんまり知らなかったというか。ダンスも本当に『それ、ダンス?』というくらいの出来でしたし、テニスのフォームも『テニスの王子様とは言えないでしょう』みたいなレベルだったので(苦笑)。でも、そのテニミュを夏公演(青学vs立海)からドリライ(ミュージカル『テニスの王子様』10周年記念コンサートDream Live 2013)までやって、ある程度自分の体をコントロール出来るようになったので、そこはだいぶ前の公演と違うところかなと思います」


――テニミュをやる方はみんなでテニス合宿をやったというのを聞いていたんですが、当時はいかがでしたか?

「テニス合宿は稽古に入る前に行なったので、本当に体を動かしてない時期でした。朝から夜まで運動しっぱなしの3日間を過ごして、人生で一番体が痛かったです(笑)。体に一番無理をさせた3日間でしたね」


――そもそも、テニスってやられたことはあったんですか?

「ほとんど経験はありませんでした。やったとしても学校の授業で、という程度ですね。このミュージカルのオーディションを受ける前に、1週間だけテニスの体験に行きましたね」


――この舞台の稽古をきっかけに、テニスが実際に上手くなったりしましたか?

「テニスフォームの稽古もしているので、上手くなったと思います。ミュージカルでは原作の再現として舞台映えするようなフォームになっているので、実際にそれで打っちゃうとホームランになっちゃうんですけど、上手く応用したら、思いの外できると思います(笑)」


――スポーツって種目によって使う筋肉が違うので、独特ですよね。では、テニミュ自体は、ご自身が出演される前からご覧になったことはあったんですか?

「ミュージカルは、実際に見たことはなくて、CMとかで流れているのは何回か見たり、番組で取り上げられたりしているのを見てましたね」


――話題になってましたからね。

「そうですね。テレビ番組とかに取り上げられてて、主人公リョーマ役の小越(勇輝)さんがインタビューとかに応えられてて、人気があるんだーって思ってました。その時は、まだ芸能活動とかをはじめていなかったので、『へぇー』っていう感じでしたが」


――まさか自分がそこに出るとは思ってなかった?

「いやー、ホントですね! 全く思ってなかったです」


――ご自身が演じる柳 蓮二というキャラクターは、原作や1stシーズンの舞台をご覧になってから臨まれたと思うんですが、原作があるものを演じることにプレシャーを感じたり、どういう風に演じればいいかなど考えられましたか?

「そうですね。蓮二って結構地味に見えるキャラクターなんですけど、やっぱり原作を読めば読むほど好きになるんですよね。物事を客観的に見るということをしたら蓮二っぽいかなとか、前回の公演は原作ありきということを意識してましたね。こういう佇まいが蓮二っぽいなとか。僕の中で蓮二って綺麗っていうイメージがあって、なのでまず自分の私生活から猫背を直し、歩き方も気をつけてました」


――そうなんですか。そういう細かいところからキャラクターを作っていったんですね。蓮二は冷静で頭脳派というイメージがありますが、ご自身との共通点などはありますか?

「似ているところもあると思いますね。オーディションの時に、『キャラクターの種がある人が選ばれる』って聞いていて、今の他のメンバーの方々を見ていても、やっぱりキャラクターと似ているなって思うことはあるので。自分自身が気づかなくてもどこか似ている部分があったりするんじゃないかな」


――柳 蓮二を演じる時に、意識したポイントとかありますか?

「蓮二って、結構ポーカーフェイスなんですけど、僕の中の蓮二は普通に笑っているし、感情は全然普通の人と同じくらいあるんですけど、それが表情に現れにくいというか。それが、ポーカーフェイスに見えてしまうっていうキャラクターだと僕は思っているので、そういうところを気を付けましたね。ふっと見える表情とかを意識しながら演じていました」


――舞台だと、ドラマや映画とか映像の表現とは違って、表現が難しいのでは? という印象がありますが。

「そうですね。確かに。これが本当に初めてのお仕事でこれが舞台の芝居とか、映像の芝居っていうのが比較ができなくて。でも、今は色んなところで、経験させていただいたので、そういうところを活かしながら今回の蓮二をみなさんにお見せできたらなと思ってます」


――昔は見えなかった視点でキャラクターを見て、表現出来るようになりますよね。

「そうですね」


――台本をご覧になって、今の段階でこう演じようとか考えていることはありますか?

「昨年のドリライまでずっと彼を演じ続けていたので、振り返ることがなかなか出来なかったんですけど、期間をおいて客観的に自分のことを見れるようになったと思います。客観的に自分を見て、もっとこうなんじゃないかって思ったところは今回の公演に活かしたいと思います。あとは、前回はシングルスの試合でしたが、今回はダブルスの試合で、初めての経験になります。シングルスとダブルス、それぞれ良さがあると思うので、パートナーとのチームワークとか絆を舞台上でも見せたいと思います」


――確かに、試合のシーンのテンポ感とか前とは違ったものが求められそうですね。過去の1stシーズンの全国大会とは細かい部分など違ったところが出てくると思いますが、前の作品をご覧になって参考にすることなどありますか?

「そうですね、見てはいますが繰り返して見るというようなことはしてないです。やっぱりどこか自分では意識してなくても意識しちゃうというか。もちろん同じキャラクターなので、似ている部分は少なからずあると思うんですけど、やっぱり自分だけのキャラクターを作って行きたいと思っているので、敢えてたくさん見るという事はしないですね」


――同世代の共演者の方と、演じるキャラクターについて意見交換をしたりすることってあるんですか?

「そうですね、前回の関東大会の時に、みんなで話す機会があって、それでチームもまとまりましたし、何でも言い合えるっていう関係にもなりました。今回は、みんなこれまでのテニミュの経験で何をやったらいいかとか、ちゃんとわかっているという状態なので、『ここはこうだろ?』って言う前に出来るという感じですね。なので、個々には言わなくても、これから固まってきたらチームとして話し合うことがあると思います」


――それぞれチームがあって戦うストーリーですが、それぞれの学校の団結って感じますか?

「そうですね、自分が出ていない時でも、同じチームのメンバーが出ていたら、応援します。やっぱり、ひとりじゃなくてチームなので、稽古場でも意識はしますね」


――でも、同時に同世代の俳優さんとの共演ということで、“負けてられない”とか、比較してしまうようなこともあるんでしょうか?

「この現場って役者さんの数が多い舞台で、それぞれとても長けている部分や、いいところをみなさんお持ちなので、現場にいるだけで刺激になりますし、こっちも負けてられないなっていう気持ちにはなりますね。みんなのいいところを真似したいと思います」


――そこで自分の得意、不得意がわかると思うんですけど、そこで感じる事はありますか?

「今回、舞台2本分くらいある長いストーリーなので、この長さそうで短い稽古期間、どれだけ空いている時間に何をやるかで仕上がりが違ってくると思います。みなさんストイックなので、自分がボーっとしている時に他の人がしっかりやっているのを見たら、『ヤバイ』ってなりますね」


――油断は出来ないっていう感じですね。実際楽しいと感じる部分はありますか?

「チーム曲とかみんなと一丸となってやっている時は楽しいです。あと、やっぱり舞台なのでみなさんの前で演じる時も楽しいなって思います」


――一度、舞台を経験して今度は余裕が生まれるのでは? と思うのですが。

「そうですね、本当にそうで前よりも余裕があると言ったらあまり聞こえは良くないですけど、リラックスした状態でお芝居が出来るといいますか。前は、本当に焦っていたので。無我夢中で周りが見えない事が多かったんですけど、今回は全体を見回して、自分のやるべきことがちゃんと見えた状態で稽古に挑めると思うので、そこはいい意味で余裕がありますね」


――今回の公演の見どころは?

「立海の“王者”としての雰囲気は、前より格段に出るとは思っています。前の公演は、青学のメンバーは2ndシーズンの初めから舞台を踏んでいて、立海チームは初めての舞台でした。今回は立海のメンバーも舞台を一度経験してからの公演なので、舞台上で白熱したそれぞれチームごとの雰囲気はでると思いますね。(ストーリーでは)ライバル同士でも舞台で作り上げるものは同じなので」


――では最後に、意気込みをお願いします。

「前だったら、マンガからでてきたみたいというのを意識していたんですけど、今回は、本当に柳 蓮二がここにいたら、実際こんな試合をするんだろうなとか、リアルなものをおみせできたらと思ってます」


ミュージカル『テニスの王子様』 全国大会 青学vs立海

原作:許斐 剛『テニスの王子様』(集英社ジャンプ・コミックス刊)
オリジナル演出/脚色/上島雪夫 音楽/佐橋俊彦 脚本/作詞/三ツ矢雄二 振付/本山新之助/上島雪夫
出演/小越勇輝 多和田秀弥 山本一慶 矢田悠祐 黒羽麻璃央 稲垣成弥 章平 石渡真修 木村達成 岩義人 三井理陽 小林瑞紀 ほか
東京公演/TOKYO DOME CITY HALL 7月12日(土)~27日(日)
大阪公演/大阪メルパルクホール 8月6日(水)~17日(日)
仙台公演/名取市文化会館 大ホール 8月23日(土)~24日(日)
福岡公演/福岡サンパレス 8月30日(土)~31日(日)
名古屋公演/日本特殊陶業市民会館 フォレストホール 9月5日(金)~7日(日)
東京凱旋公演/TOKYO DOME CITY HALL 9月13日(土)~28日(日)
問い合わせ/ネルケプランニング
TEL:03-3715-5624(平日11:00~18:00)
http://www.tennimu.com/

テニスの名門校・青春学園中等部(青学)に入学してきた越前リョーマは、圧倒的な強さとセンスで強豪揃いのテニス部で異例の1年生レギュラーとして活躍していた。全国中学生テニストーナメントで都大会、関東大会と優勝し、続く全国大会でも快進撃を続ける青学。準決勝でも昨年のベスト4・大阪の四天宝寺中学校を破り、遂に決勝戦を迎えることに。対戦相手は関東大会決勝でも激しい戦いを繰り広げた立海大附属中学校。満を持しての頂上対決が幕を開ける!

© 許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト © 許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会

2024年04月
123456789101112131415161718192021222324252627282930
« »


アーカイブ


最近のインタビュー記事