講談社主催の女性アイドルオーディション企画「ミスiD(アイドル)2014」でグランプリを獲得した蒼波純。彼女が松居大悟監督の『ワンダフルワールドエンド』で、橋本愛とダブル主演を果たす。本作は、シンガーソングライター・大森靖子の「ミッドナイト清純異性交遊」と「君と映画」のミュージックビデオ、追加撮影した映像と大森の新曲を組み合わせ、1本の映画として再構築したもの。蒼波は橋本が演じる売れないモデルの追っかけファンである13歳の亜弓を演じる。不思議な魅力を持った蒼波純は、現在中学1年生。編集部の質問に「……」と深く考え込みながらも、一生懸命、誠実に答えてくれた。
撮影/中根佑子 文/池上愛
――インタビューは今日で何回目くらいですか?
「10回もやってないと思います。数えられるくらいです」
――こういう取材は慣れた?
「まだ全然慣れてないです。今日は頑張りたいと思います」
――地元が宮城県ということですが、学校のお友達とはどんなことをして遊んでいますか?
「ショッピングセンターでお喋りしたり、本屋さんでマンガを探したりしています。小学生のころは映画を観に行ったりカラオケに行ったりもしてました」
――現在は中学1年生ですね。もう映画やカラオケは行かなくなっちゃいました?
「中学生になってからは、みんな部活を始めたので映画館に行ったりはしなくなりました。今はテレビで映画が放送されてるので、そういうのを観たりしています。あとカラオケは、中学校の校則では友達だけで行っちゃいけないんです。親同伴だったらいいんですけど…だから友達とはカラオケに行くことはなくなりました」
――最近はどんな映画を観ましたか?
「……外国の映画なんですけど……えぇっと…タイトルがわからないです……(笑)。ある国のお話なんですが、病気で人がたくさん死んじゃんって。ひとりの男の人がイヌと一緒に頑張って解決するお話でした」
――ハラハラしそうな内容ですね。純ちゃんはどんなジャンルの映画が好きですか?
「ホラーが好きです」
――怖いのは平気?
「大丈夫だと思います。でも手術シーンとか出てくるのはちょっと苦手です」
――『リング』とか『呪怨』とかは大丈夫?
「『リング』は観ましたけど大丈夫でした。『呪怨』っていう映画は観たことないですけど…夜寝る前に観ても平気だと思います」
――アニメも大好きなんですよね?
「はい、大好きです。カラオケではアニメの主題歌とかよく歌ってました」
――普段聞いているのはアニソンですか?
「よく聞いてるのはアニソンだけど、お母さんが車の中で音楽を聞いているので、昔の歌も好きです」
――お母さんはどんな人ですか?
「ちょっと厳しい…ですけど、優しいお母さんです(笑)」
――厳しいけど優しいんですね(笑)。どういうところが厳しいの?
「厳しい…のかわからないけど、台本を一緒に読んでくれるんですけど、その時に『ここはこうしたほうがいいんじゃない?』って言ってくれたりとか。あとは普段『片付けなさい』って言ってきたりとか…。それ以外は厳しくないです」
――ツイッターで「おやすみジャンケン」と題した写真をアップしてますよね。あれはお母さんが撮影したものなんですか?
「そうです。おやすみジャンケンは、『今から撮るよ~』と言って撮ってもらうんですけど、そのほかの写真はいつの間にか撮られてることが多いんです」
――そういう写真だからか、飾らない写真が多い気がします(笑)。
「そうなんです。変な顔の時もあったりします(笑)」
マネージャー「お母さんが彼女の写真をまとめたアルバムを定期的に作られているんですよ」――わ~凄いですね! 「月刊ずんたん」とか「もぐもぐシリーズ」とかタイトルが可愛いですね。たくさんのアルバムがありますね。
「お母さんが趣味で作っていて。いつ撮られたのかわからない写真が結構あります」
――ずんたんって純ちゃんのこと?
「そうです。家族からはずんたんって呼ばれてます」
――たくさんアルバムがあるけど、見返したりしますか?
「たまに見返します。小学5年生とか6年生の時の写真は、今見るとちょっと幼いなぁって思います」
――これだけお母さんから撮られてると、写真撮影は慣れてるのかな?
「お母さんはiPadで撮ってるんですけど、最初のほうはパシャパシャ音が聞こえてるから違和感がありました。でも最近はその音も気にしなくなりました」
――自分の成長記録としても記念になるアルバムばかりですね。自分で作ってみたいって思ったりはしないですか?
「う~んと……自分の写真だと……ちょっと恥ずかしいです(笑)」
――確かに(笑)。素敵な写真の数々を見せてくれてありがとうございます。では、映画についても聞かせて下さい。『ワンダフルワールドエンド』が1月17日に公開されますけど、完成した映画は観ましたか?
「はい、観ました」
――自分の出てる映画はどうだった?
「映画はずっと観る側の立場だったので、映画に出ているのが不思議で…とても緊張しました」
――自分が出てきた時はびっくりした?
「凄くドキドキしました。一番最初のシーンで、私が携帯で(橋本)愛ちゃんを撮影してるんですけど、突然自分が出てきたので凄くびっくりしました」
――いつ出てくるんだろうと思っていたら、急に出てきたからびっくりしたんだ。
「そうです(笑)」
――自分がどう撮られてるかわからないから、びっくりしますよね。
「はい。あと、この映画は2回にわけて撮影したので、どこで自分が出るのかよくわからなかったんです」
――撮影期間が空いたそうですね。
「3~4カ月くらい空いたと思います」
――トークショーで監督が「(撮影期間が空いたので)橋本愛さんの髪型が違っていた」と言っていましたよ(笑)。もしかしたら純ちゃんの身長も少し伸びてるかもしれないですね。
「はい(笑)。撮影した時はまだ小学6年生だったから…今の自分ともちょっと違うと思います」
――映画の撮影で驚いたことはありますか?
「映画ってどういう風に撮るんだろう? って思いました。それと元々は大森靖子さんのミュージックビデオとしての撮影だったから、ミュージックビデオの物語は理解出来たんですけど、これがどう映画になるのかは想像出来ませんでした」
――映画を撮る前に、大森さんの音楽は聞いたことはありましたか?
「ミスiDのお披露目会で大森さんが歌っていて、その時にちゃんと聞きました」
――その時にお仕事することは決まってなかったんだよね?
「はい。その時はこういうお仕事すると思っていなかったので、嬉しかったです」
――純ちゃんの演じた亜弓ちゃんは、橋本愛さん演じる詩織ちゃんに憧れる女の子でしたね。ゴスロリのファッションが凄く似合っていました。ああいう服は好きですか?
「好きです。映画で着た派手なゴスロリは着たことないですけど、もう少し落ち着いた服は普段も着たりしています」
――じゃあ、普段着ることのない服が着れて嬉しかった?
「はい。映画で初めて着たので、また着たいなって思いました」
――セリフはどうやって覚えましたか?
「お母さんにセリフの読み合わせをやってもらいました。あと3~4カ月くらい撮影が空いた期間にずっと練習してました」
――セリフ覚えは得意ですか?
「いや……凄く大変でした」
――学校の勉強で暗記するのとは違うのかな?
「理科とか社会は暗記することが多いので、ちょっと似てると思います。でも自分の役はセリフが少なかったので、愛ちゃんと比べると大変じゃなかったと思います」
――セリフで一番難しいなと思った部分はどこですか?
「ええと……、ひとりで淡々とツイキャス(映像のライブ配信サービス)で喋るシーンがあるんですけど、いっぱい喋るのが凄く難しかったです」
――その部分は一番セリフが多かったですもんね。
「はい。覚えるために何回も練習しました。誰かとの会話だったらもっと覚えやすかったかもしれないんですけど、ひとりで喋らなくちゃいけなかったので大変でした。喋るタイミングも難しかったです」
――難しいなと思ったことは松居監督に質問したりしましたか?
「そんなに……たくさんは質問してないんですけど、迷った部分は色々教えてくれました。難しい話は何もしていなくって、いつもニコニコしてる優しい人でした」
――どんなアドバイスをしてもらいましたか?
「『ここはこういうシーンだから』って、シーンについて教えてくれて。あとは、追加で色々付け足された部分とかを教えてくれました」
――監督の言ってることはちゃんと理解出来た?
「多分……わかったと思います(笑)」
――共演した橋本愛さんはどんな女優さんでしたか?
「クールな人なのかなって思ってたんですけど、そうじゃなくて凄く話しやすい方でした。一緒にお仕事が出来て嬉しかったです」
――どんな話をしたの?
「普通の雑談なんですけど……学校の話とかもしました。あと、ゲームセンターのシーンの前に休憩時間があって、カラオケボックスにいたんです。そこで愛ちゃんがカラオケを歌っていました。その時は凄く楽しかったです」
――純ちゃんは何を歌ったの?
「私は歌ってないんです……」
――アニソン歌わなかったの?
「人前で歌うのはちょっと恥ずかしいです(笑)」
――(笑)。ゲームセンターのシーンでは、プリクラを撮ったりしてましたね。あのシーンはどういう気持ちで演じましたか?
「素っていうか……何も考えてないっていうと違うかもしれないんですけど、そのまんまの気持ちで遊んでいました」
――映画の最後のシーンでは、役名ではなく「愛ちゃん」「純ちゃん」って呼び合うシーンもありましたね。本当にふたりが楽しんでる雰囲気が伝わってきました。
「あのシーンは、『純ちゃん』って愛ちゃんに呼ばれて、その度に私も『愛ちゃん、愛ちゃん』って呼び返してました。お花畑ではしゃぐシーンだったので凄く楽しかったです」
――メルヘンチックで素敵なシーンでした。『ワンダフルワールドエンド』が公開されたら、映画館に観に行きますか?
「う~ん…どうかな……。多分……恥ずかしくて見に行けないなと思います」
――友達とは行かない?
「学校の先生は知ってるんですけど、友達にはお仕事してること言ってないんです」
――じゃあ、もしテレビや映画で純ちゃんの姿を見たらびっくりするかもしれませんね。
「そうかもしれないです(笑)」
――純ちゃんにとって、今回のお芝居はどんな経験になりましたか?
「自分じゃない人を演じることが凄く不思議な感じでした。毎日撮影が終わったら不思議な気分になっていました。でもまたやってみたいです」
――今度はどんな人を演じてみたい?
「好きなアニメやマンガのキャラクターをやってみたいです」
――最近実写化が多いですからね。好きなキャラクターはどんなキャラですか?
「『ハイスコアガール』というマンガに出てくる大野晶ちゃんが好きです」
――どういうキャラクターですか?
「昔のゲームが大好きな女の子です。私もゲームが好きなので似てるなって思いました」
――ちなみに小学校の卒業文集で、将来の夢は女優さんとか書いたんですか?
「えっと…卒業文集に将来の夢は書いてないです」
――書かなかったんだ(笑)。
「今考えたら書けばよかったなと思いました(笑)。作文には、小学校の思い出を書きました」
――じゃあ今将来の夢と聞かれたら、なんと答えますか?
「うーん……どうしよう…将来の夢……。うーんと…将来の夢は……、なんでも出来る女優さんか、キャビンアテンダントさんになりたいです」
――キャビンアテンダントさんはどうしてなりたいの?
「小学校までは海外旅行によく行っていて、飛行機に関わる仕事に憧れているからです」
――どんなところに旅行に行きましたか?
「5、6年生の時にドイツに行きました。ドイツが一番楽しかったです。フランクフルトにも行ったし、田舎の街にも行きました。風景や街並みを見たり、美味しい食べ物もたくさん食べました」
――素敵な経験をされてるんですね。では最後に。お客さんに、この映画のどういうところを観てほしいか聞かせて下さい。
「はい。えっと…最初のほうは亜弓ちゃんは詩織ちゃんのファンで、ファンとアイドルみたいな関係だったんですけど、だんだん仲良くなっていくので、そこを観てほしいなって思います。特にゲームセンターのシーンは、撮影してる時もほんとに楽しかったので、素で楽しんでる部分を観てほしいです。あと亜弓ちゃんと詩織ちゃんのシーン以外にも面白いシーンがあります。亜弓ちゃんのお母さんが顔を鍋に突っ込むんです。突然なのでびっくりすると思うんですけど……、そこも面白いと思います(笑)」
監督・脚本/松居大悟
主題歌・劇中歌・音楽/大森靖子
出演/橋本愛 蒼波純 稲葉友 利重剛 町田マリー
配給/SPOTTED PRODUCTIONS
http://ww-end.com/
(C) 2014 avex music creative inc.
モデルとして活動するも、なかなか売れない17歳の詩織(橋本愛)は、撮影会で詩織の追っかけファンである13歳の亜弓(蒼波純)と出会う。ふたりは仲良くなり、ひょんなことから詩織と彼氏の浩平(稲葉友)が同棲するアパートに、詩織も居候することに。次第に詩織と浩平の関係はギクシャクし、更に、亜弓が浩平のことを好きになってしまい…。可愛くも過酷な世界に放り出されたふたりの女の子の物語を、大森靖子の歌声がそっと後押しする物語。
1月17日(土)より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開