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インタビュー

安藤龍   (あんどう りゅう)

元ちびっこ相撲チャンピオンで現在はモデルという経歴の主人公が、廃部寸前の弱小高校相撲部のコーチとなって、奮闘する姿を描く『土俵ガール!』。このドラマで、ブルガリアからの留学生・サトヤンを演じるのが、PureBoysとして、ドラマ・舞台・歌と様々な活動を行っている安藤龍だ。サトヤンは日本の文化が大好きで、部長の詠介(中村倫也)に誘われ相撲部に入部し、弱小相撲部の一員として、廃部の危機を乗り越えてゆく。カタコトの日本語でコミカルなキャラクターのサトヤンの魅力とは?

プロフィール 安藤龍(あんどう りゅう)


1987年7月21日生まれ、静岡県出身。学生時代は野球に打ち込み、甲子園出場経験もある。現在は、EX「熱血!ホンキ応援団 」に応援人として出演中。また、PureBoysのメンバーとしても活躍中。


公式ブログ http://ameblo.jp/andrew0721/


PureBoys オフィシャルサイト http://www.pureboys.jp/

── ずっと野球をやられていた安藤さんにとって、同じスポーツものの『土俵ガール!』の話が来た時は、どういう心境でしたか?

「僕自身、いわゆるスポ根ドラマに出たいなって思っていたので凄く嬉しかったですね。台本を読んだ時、廃部寸前の相撲部を立て直す、仲間達の熱意とか頑張りみたいなのが素敵だなぁと思って。野球をやっていた時の自分が、少しでも役に繋がればなと思いながら読みました」


── 相撲に興味は?

「テレビで見たことがあるくらいで、生で試合を見たこともないですし、知識も全く…。でも、今思えば巡り合わせなのかなぁと思う出来事があります。僕が通っていた東京農大の野球部では、毎年冬の合宿の時に相撲部屋で1週間練習をするというのがあったんですよ。そこで相撲部の練習風景を見させてもらっていたんです。相撲の練習って一見地味に見えるんですけど、このドラマをきっかけに、見た目以上にきつくてしんどいスポーツなんだなと感じました。ひたすら黙々とぶつかり稽古をやったり、しこを踏んだり…。テレビで試合だけ見ると華やかに見えるんだけど、実際は本当に忍耐のスポーツだなと思います」


── 撮影に入る前に相撲の練習を行われたんですよね。

「はい。貴乃花親方の指導で練習に臨みました。相撲の基本動作の型を手本にした『相撲健康体操』というのがあるんですが、その運動をまずは憶えて、そこからしこ踏み、すり足など、色々教わりました。最初は全然わからなかったんですよ。それこそ礼儀作法もしらなかったですから。土俵への入り方や塩のまき方とか、そういうところから憶えていく作業でした」


── 野球との違いを感じることはありましたか?

「野球の場合、とにかく"声を出せ!"と言われ続けていたんですが、相撲の練習はあまり声を出さないんです。ぶつかり稽古の時に、肌と肌が当たるパチンという音や、力士の息遣い、そういう音が部屋に響いている感じでした。静かなところで黙々と練習をやるんだなと思いましたね。あとは、とにかく柔らかい!」


── 柔らかい?

「身体の柔軟性が半端ないんです。股を大きく開くのもそうですし、怪我をしないためにも柔軟が、みなさん行き届いているんですよ」


── なんの練習が一番つらかったですか?

「う~ん……しこ踏みですかね。綺麗な形を求めると、ほんとにきついんです。足を高く上げなければいけないし。なので、どうやったら上手く見えるかというのを、鏡を見ながらひたすら練習しました。相撲って個人のスポーツなので、自分に甘かったらダメなんだなと、痛感しましたね」


── 野球は団体スポーツですものね。

「そう。でも相撲部は団体戦で戦うものなので、同じチーム内での掛け合いも必要だし、セリフにない人間関係とか、そういったものも演技に入れられればと思っています」


── ご自身の演じる役については、どのように演じようと心掛けていますか?

「僕の役はブルガリアからの留学生・サトヤンなんですけど、僕、顔は外人顔ですけど英語は全然話せないんです(笑)。サトヤンはカタコトの日本語ですが、僕はペラペラなので…。自分なりにサトヤンの雰囲気や存在感というのをどう出していこうかなというのは考えました。僕は日本語を理解出来ますし、台本を読んでストーリーの流れを把握することが出来るんですが、あまり読み込み過ぎたら、サトヤンを演じるにあたって不自然かなと思っていて。サトヤンは留学生で日本語もわからず、友達もいない中、部長に誘われて相撲部へ入ります。そこでみんなとわいわい騒ぐのが楽しいというのがサトヤンなので、まずは素直に演じるように心がけました。空気読めなくて当然じゃないですか。だから、ここはサトヤン理解できてないだろうなというところも大事に演じています」


── 監督から演技指導などは?

「相撲に関しては、へたくそ部員なので、負けられっぷりの指導を受けました(笑)。綱取高校との練習試合では"プッシュ! プッシュ!"って言ってるけど、結局相手に押され負けちゃうんですよ。そういう動きは、自分の頭で思い描くイメージと、撮っている側のイメージは違ってきますから、そこはもっとこう動いてほしいと指示を頂きます」


── 負けてしまう相撲というのも、演じる側にとっては難しいですよね。

「難しいです。一連の動きを通しで撮っている訳ではないですし、セリフと違って動作になるので、想像通りに転べるかと言えばそうではない。それに台本を読んで自分の中でイメージした動きと、現場での動きは違うことが多いです。特に相撲の組みに関しては、その場で変わったりもしているんです」


── 演じられる役に対して、安藤さんはきっちり準備されるほうですか?

「準備をしないと不安でしょうがないタイプですね。今回は台本の出来上がりが早くて、ゆっくり読む時間があったので、色んな想定をしながら準備しています。相手がこう来たらこう言おうみたいな選択をいくつか作るというか。パターンじゃないですけど、そうやって準備しておくことで、監督にああしてこうしてと言われた際に対応出来るんです」


── でも相撲の動きみたいに、想定外のことも起きたりしますよね。

「もちろん。いくら準備していても、そう来るの!? っていうのは多々ありますね。サトヤンはカタコトで話すので、監督が咄嗟に、このセリフも付け加えてみようと提案してくる時もあります。そういうのは、サトヤンがしっかりと自分の中で出来上がっていないと対応出来ないので、軸はぶれないようにしています。撮影で凄く楽しんで出来たシーンがあるんですけど、サトヤンが親方に"親方もふんどしになればいいじゃん"みたいなリアクションを、アドリブでやってくれと言われて。そこは2分くらいずっと長回しで撮影したんですが、サトヤンならこういう風に言うはずだ、と思いながら"フンドシニナ~ル~"みたいに言ったり(笑)。ほんとそのシーンは楽しかったですね。みんな仲がいいので、急に中見が変わっても、みんながすぐに対応出来るというか。空気感がいいんですよ。ほんとの部活仲間みたいです」


── 現場の雰囲気がいいんですね。安藤さんが現場ではみんなを盛り上げるほうですか?

「中村(倫也)君が盛り上げたり話を振ってくれることが多かったですね。でもサトヤンはどうにでもボケれるというか…カメラが回ってない時でも、カタコトで喋ったりするんですよ(笑)」


── (笑)。どんな風に喋ってるんですか?

「"オハヨゴザイマース!"みたいな(笑)。なるべくサトヤンでずっと居たいという気持ちが大きいので、常にではないんですけど、サトヤンを意識して収録していない時もなり切ってますね。それをみんながマネして、周りもカタコトで喋ったりして盛り上がっています(笑)。だから普通に日本語で話すと、中村君から"あれ? サトヤン日本語うまくない?"ってからかわれるんです(笑)」


── 安藤さんから見て、サトヤンの魅力ってどんなところにありますか?

「真っ直ぐなところです。なんか日本を面白い感じで勘違いしてるんですよ(笑)。日本の文化が大好きで、真っ直ぐなサトヤンが、僕は大好きです。そんなサトヤンの姿を見てくれて、ちっちゃなことは気にしないで頑張ろうっていう気持ちになってくれれば嬉しいですね。ドラマの中でも、サトヤンがいるから、部員みんなが頑張ろうという気持ちになってくれるように演じているつもりです」


── 佐々木希さんと仕事は初めてとのことですが、佐々木さんの印象はいかがですか?

「年齢が同じなので、よく話します。彼女は、本番にめちゃめちゃ強い方ですね。普段は優しくて笑顔で、場をほわっと和ませてくれる方なんですが、いざ本番になると、出てくるセリフや感情が凄く強いんです。あとはリハーサルの時とかに、迷ってるのかなぁ? と思うこともあるんですけど、本番はスイッチが入ってビシッと決めてくれる。ほんと凄い人だなぁと思います」


── 佐々木さんが男子を投げ飛ばすシーンもありますよね。

「そうですね。部長(中村倫也)に"かかってこい!"と言って、しこを踏むシーンがあるあったんですが、その時の足がめちゃくちゃ上がっていて。物凄く綺麗なしこだったんですよ。僕は佐々木さんと一緒に練習をしたことがなかったので、なんであんなしこが踏めるんだ! と驚きました。僕らは相撲が出来ない設定なので、ペチペチ弱い当たりなんですけど、佐々木さんは"しっかりぶつかりなさいよ!"と言ってバチーーン! ですからね(笑)。女優としてもそうですが、グラビアだったりモデルだったり、色んな顔を持ってらっしゃるので、とても尊敬します」


── 安藤さんもPureBoysとして、歌にダンスに頑張ってらっしゃいますが。

「PureBoysは、色んな楽しさがあります。例えば、CDを聞いてくれた方が、曲に励まされるという言葉を聴くと非常に嬉しいですし。歌うぶんだけ、自分の歌唱力もどんどん伸びていくのが実感できて楽しいです。あとは、ライブでの一体感です。去年の年末にライブをやらせて頂いたんですが、ファンとの距離が近くてとても盛り上がりました。達成感があったので、もっと上を目指したいと思います」


── 前回取材した時、メンバーの南圭介さんも同じことを言っていましたよ。

「口先だけじゃなくて、本当にいいものを見せられるように頑張りたいです。メンバー内でも競争しあっていて、こいつには負けないぞという気持ちで臨んでいるし、ダンスが上手いメンバーは、色々教えてくれるし、とてもいい関係を築けているなと思います」


── ダンスはどなたが中心となっているんですか?

「りょん(三浦涼介)君です。彼はダンスも歌も上手くて、意識も常に高いので、彼が焦るくらい僕らも頑張らないといけないです」


── いつか、みんなで作詞や作曲したいなとは思いませんか?

「もちろん今は頂いた楽曲を精一杯やらせて頂いていますが、いつかはやってみたいと思いますね。7人メンバーがいるので、1フレーズずつ考えても面白いですし。"自分達のメッセージを詞に乗せて歌ってみたいね"とは、よくメンバーと話しています」


── 舞台に関してはいかがですか?

「舞台も同じように、みんなの意見を本気でぶつけ合って、ひとつの作品を作り上げています。僕は、PureBoysの舞台が初舞台だったんですが、やり直しがきかない、生の舞台というのは、ドラマとは全然違いますね。もしセリフが飛んだりしたら、誰かのアドリブが飛び出してっていうのも魅力だと思います。そういえば、舞台での役柄は自分に近い男の子だったんですけど、サトヤンは自分とは全然違っていて、こちらも違う楽しさや魅力があります」


── ドラマは、どんなところを見てほしいですか?

「相撲部で頑張っている学生さんもいっぱいいると思うので、改めて日本の国技というものをみなさんに見ていただきたいです。あとは、相撲を通しての人間模様が描かれている作品なので、そこも是非見てほしいです。特に男はみんなまわし姿ですから。裸同士のぶつかり合いも楽しいんじゃないかな(笑)。サトヤンに関しては、画面のどこかでちょこちょこ動いていると思います。そこでの細かい動きに注目です。外国人特有の大きなリアクションや、ちょっとよくわからない動きをしているので、画面の隅々まで見てほしいですね」


── では最後に、役者として目指すものを教えていただけますか?

「安藤龍にこの役をやらせたら間違いないだろうという役を見つけられたら、とても幸せだなと思っています。だから似た役ばかりでなく多くの役を演じて、自分の色んな面を見せていければなと」


── どんな役をやってみたいと思いますか?

「僕、医者をやってみたいんです」


── それはどうして?

「ドラマ『医龍』が大好きなんですよ。だからいつかやってみたいですね。あとは教師。この仕事をやっていなかったら教師になろうと思っていたんです。僕はハーフで外人顔なので、演じられる枠も狭いのかもしれません。だけど、外人顔でも、どんなドラマに出てもおかしくないということをアピールしたいです。例えば、時代劇のように、日本人しかやらないだろう作品にこそ、出てみたいと思います。衝撃的だったのは、ゲゲゲの鬼太郎を演じたウエンツ瑛士さんです。鬼太郎の格好をしたウエンツさんを観て、本当に凄い! と思いました。あとは城田優さん。色んな作品に出演されているので、とてもいい刺激になります。僕ももっと色んな作品に出たいです」



作品紹介『土俵ガール!』

企画:吉田敬、志村彰、竹園元

プロデューサー:黒岩利之、高橋史典、関川友理

脚本:鎌田智恵(「マジすか学園」)ほか

演出:森雅弘、水村秀雄、深迫康之

制作:The icon

製作:「土俵ガール!」製作委員会/毎日放送

【相撲監修】貴乃花光司(貴乃花部屋師匠)

【主題歌&挿入歌】コブクロ(「ALL COVERS BEST」より)

出演:佐々木希 中村倫也 赤井沙希 古原靖久 安藤龍 西洋亮 秋元龍太朗・忍成修吾 宇梶剛士 ほか

若林光(佐々木希)は、KOHという名前で売れないモデルを続ける日々を送っていた。彼女は相撲道場を経営する父・強(宇梶剛士)に相撲を仕込まれ、ちびっ子横綱にまでなった過去を持つのだが、今ではそのことを封印し、当時の面影は全くない。そんな光がひょんなことから廃部寸前の相撲部のコーチとなることに。なんとかかき集めた相撲部員達とともに、暑い夏を迎える・・・!!

TBS 毎週火曜深夜0:55~   MBS毎週木曜深夜0:50~

http://www.mbs.jp/dohyo-g/

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