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インタビュー

山本匠馬   (やまもと しょうま)

現在テレビ東京で放送中の人気ドラマ『俺たちは天使だ! NO ANGEL NO LUCK』。30年前の同名ドラマの続編として話題沸騰中の作品に若林時宗(通称:JUN)役として出演中の俳優・山本匠馬さんに編集部がロングインタビューを敢行! ドラマ・舞台のお話や1stフォトブックのエピソード、役者としての思いなどを語ってくれた。

プロフィール 山本匠馬(やまもと しょうま)


1983年11月6日生まれ、大阪府出身。05年ドラマ『風のハルカ』で連続ドラマ初出演を果たす。その後もドラマ『キューティーハニー』、映画『仮面ライダーキバ 魔界城の王』、ドラマ『仮面ライダーキバ』などに出演。現在はテレビ東京にて毎週水曜日25:20 ~ 25:50より『俺たちは天使だ! NO ANGEL NO LUCK』が放送中。同作品の前日譚となる舞台『俺たちは天使だ!NO ANGEL NO LUCK 地球滅亡30分前!』は池袋・サンシャイン劇場にて8月26日より公演が開始。また、1stフォトブック『close』も好評発売中!!
公式HP:http://www.yamamotoshouma.com/

── まずはドラマ『俺たちは天使だ! NO ANGEL NO LUCK』(以下『俺天』)の話を最初に聞いたときの印象を聞かせてください。

「この作品が30年前に放送されていたということを知らなかったので、どんな作品なんだろうと調べるところから始まりました。作品を見てみると凄く素敵な俳優さんばかりで。僕の演じるJUN役は神田正輝さんが演じられていたりとか、とにかく凄いなという印象が一番でしたね」


── 神田さんが演じられたJUNは意識されました?

「あくまでも続編だしドラマのタイトルが同じというだけであって、違う人物を演じているということでは別に意識しなくてもいいのかなと思います。もちろん昔ながらのファンの方々に納得出来てもらえればいいなという気持ちは、しっかりと持っています」


── JUNを演じるにあたって役作りはされていますか?

「『俺天』の台本ってアテ書きなんですよ。だからJUNというキャラクターは普段の僕に非常に似てるんです」


── そうなんですか!? JUNのどういう部分が自分に似てると思います?

「インドアなところでしょうか(笑)。JUNは無口でパソコンをいじっていてずっと動かないんですよ。みんなの輪の中にもあまり入っていかないっていう。実際にCAP役の渋江譲二さん、DARTS役の鎌苅健太さん、NAVI役の藤田玲さんの3人は結構盛り上がってるんですけど、僕はその輪に入れないみたいな(笑)。ただ、素の僕と近すぎてどうやってJUNっぽく見せるかということに最初は凄く悩みましたね」


── 30年前と全く同じ役で小野寺昭さんも出演されていますね。何かアドバイスは受けましたか?

「芝居に対する意見を僕らに仰ることは少ないんですが、要所でアドバイスは頂いています。いい意味で現場がシャキッと引き締まりますね」


── 小野寺さんも出演されてるということもあり、視聴者に過去の作品ファンも多そうですね。

「そうですね。僕はコメディー作品が大好きなんですけど、まずは僕が面白いと思うコメディーを意識して演じています。昔からのファンも含め、視聴者がどう感じてくれるかはわからないので、じゃあせめて僕達役者の中で納得した作品にしようという意識は強いですね。やればやるほどわからなくなってきますよ、コメディーなんて特に。視聴者を笑わせるってなかなか出来ないことだなって思いますから。『俺天』は爆笑っていうよりシュールな笑いが多く、あまりシュールにしてしまうと訳がわからなくなってしまうので、その微妙なさじ加減が難しいです」


── 山本さんはどんなコメディーがお好きですか?

「僕はギャグよりも、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のような勢いがある感じが好きですね。意味わかんないけど面白いっていうよりも説明が出来て笑えるほうが好きです」


── コメディードラマは今回が初挑戦ですか?

「舞台はやったことがあるんです。でも舞台って通常ひとりの演出家じゃないですか。けれどドラマは何人も演出の方がいらっしゃるため、この方の場合はこういう風に…と、その都度変えなければならないので、その点は大変です。準備はきっちりやりたいタイプなので事前に考えておくんですけど、現場に入ったら全然違った! なんてことはしょっちゅうです(笑)」


── 撮影までにしっかり準備されるタイプなんですね。

「初めは凄く準備しました。それこそ性格とか趣味とか設定を細かく考えて台本に書いて。こいつは何が好きで嫌いでというようなプロフィールを作るんですよ。だけど『俺天』に関しては、あまり考えないようになりました。というのもJUNは僕に似ている部分が多すぎるので、それをさらに固めてしまったら人として立体感がなくなってしまうと思ったんです。人って笑うし泣くし怒るし…、そういう色んな面を持っているのが面白い。JUNはこういう設定だから、ここからはみ出したことはやりません! って決めてしまうと何も出来ないなぁと思ったんです。縛らない、決めつけないという考えはJUNを演じるようになって新しく生まれた考えなんですよ」


── ということは、今までは書くことで設定に縛られていたなと思いますか?

「うーん、やっぱり多少はあったと思います。でもそうやって制約していかないと、僕の中で迷いが出てしまって…、先に設定を作ってキャラクターを囲っていました。だけど『俺天』の場合は、1話ごとに全く違う話になるし、JUNもエキストラのバイトをやっているという設定だから色んな格好もする。だから設定で縛ってしまうほうがダメだなって思ったんです」


── ではJUN役を通じて演技の幅も広がったんじゃないですか?

「そうだといいんですけど(笑)。アドリブも結構やったりしてるんですよ。小野寺さんが以前仰っていたんですが、アドリブをガンガンやっていく中で膨らんだものを撮っていくというのが30年前の『俺天』だったんですって。で、それを聞いて僕らもやってやるぞ~と意気込みまして。なのにいざ実際にアドリブをやると、バッサリ切られてるんですよ! えぇ!? みたいな(笑)。『俺天』の台本ってあまりセリフが書かれていなくて、セリフよりもシチュエーションで説明する感じなので、アドリブをやることも多いんですね。それは脚本家の僕らに対する挑戦状だったりするんですけど。台本に書かれていないことを僕らが演じなければいけない状況を、じゃあどうすれば出来るのかといったら、それがアドリブやキャラクター設定だったりする訳です。例えば車から降りるというだけのト書きでも、絶対そこに意味があるはずですから。そういうことをどう演じるのか、まだまだ悩みどころですね。昨日も監督にダメ出しされた夢を見ましたし(笑)。しかもこないだ撮ったやつのリテイクだったんですよ。真面目なシーンだったのに、監督が急におかしなセリフを言いだして"アレ? そのセリフってそんな言い方じゃないだろ!"って。なんでリテイクするんだよ~と汗だくで起きました(笑)。夢の話ではないですが、毎回監督の意見と上手くハマる訳じゃないですし、そのうえ4人の息も合わせなければならないので…、切磋琢磨しなければというのは、まさにこのことだなと痛感しています」


── 『俺天』の舞台も8月26日からいよいよ始まりますね。

「そうなんです。稽古は8月頭から始まってるんですけど、舞台がちょうど始まる時期にドラマは2クール目の撮影に入るんですよ」


── 同じ作品だから頭がこんがらがりそうですね(笑)。

「違う役を同時期に演じるということは前にも経験してるんですが、今回は同じ役なので…。そこは稽古をしっかりやって補わなければならないですね。ドラマでは 4人がすでに麻生探偵事務所で働いているわけですが、舞台は4人が出会う前のお話なんですよ。舞台では"初めまして"なのにドラマは全然違いますから。ドラマと舞台のセリフが混同してしまわないか心配です(笑)。けれど僕が大好きなサンシャイン劇場でやらせて頂く限り、恥さらしなことは絶対にしたくないです」


── サンシャイン劇場のどんなところがお好きなんですか?

「ひな壇がよく出来ているし、キャパシティーも丁度よいところですね。それに何より僕の大好きな劇団☆新感線がこの会場でよくやられているので、同じ舞台に立てるってことが一番うれしいです」


── 憧れの舞台なら、なおさら失敗できませんね(笑)。

「初日で間違えたら、それこそコメディーですよ(笑)。絶対間違えたくないです(笑)」


── 憧れの役者さんも劇団☆新感線の方々が多いですか?

「そうですね。見た目に影響されない芝居が出来る役者さんが好きなんです。それこそ古田新太さんとか橋本じゅんさんとか。やっぱり舞台で活躍されてる役者さんが好きですね」


── 映画はどうですか?

「映画も好きですね。ドラマと違って台本が最後まで決まっているので、自分の中である程度固められるじゃないですか。やり方は違うけれど舞台と映画ってそういう意味では似ている気がします。物語の始めと終わりが見えているほうがワクワクするんですよね。この間をどうやって演じていこうかなって考える作業が凄く好き。逆にドラマだと終わりがわからないから、ふらふら彷徨ってる感じがしてしまうんです」


── 物語の終結から逆算して演じたりすることもありますか?

「最終的な演技は監督に任せますが、自分の中でインスピレーションを働かせるために逆算して考えたりはします。僕、設定を細かく台本に書いちゃう癖があって、周りからは"無駄な作業だな"って言われるんですけど(笑)。書かないと忘れるんですよね。台本を何回も読んで確認する上でも、その作業は凄く大事なんです」


── 役者さんによっては何もやらない人もいますよね。

「人によってやり方が違うのが面白いですよね。もし全員が同じだったら嫌ですもん。同じ方法であの人の上を行かなきゃいけないのかって思うと焦りますから(笑)」


── 今後挑戦してみたい役はありますか?

「今回こういう役だったら次は全然違う役というように、波が欲しいですね。クールな役をやったら次はアホみたいな役もやってみたいし…。そんな挑戦をし続けたいと思います」


── かっこわるい役でも問題ないですか?

「全然。むしろやりたいくらいですよ。僕イメージを付けられるのが凄く嫌なんです。学生時代に"山本はこういうイメージだから、こんな役柄がいいよね"とか" 二枚目の役だからこんな声色でやれ"とか言われることが多くて。僕が憧れる役者さん達は、見た目とかイメージとか全然関係ない世界にいて、僕はそんな世界に憧れて役者になったのに、最初は全部決められて正直面白くなかった。なんでこんな見た目で生まれたんだろうって凄くコンプレックスでしたし。でもそんな気持ちを振り払ってくれたのは、僕の演技を見て"この人にこういう役やらせたら面白いんじゃないかな"って思ってくれる人がいたからなんです。だから『俺天』でも"このJUNって子にこんな役を演じさせたいな"と思ってもらえるようになりたい。自分を壊したいんですよ。監督や演出家さんが僕のイメージを先行して演技の指示をされると、無性に逆らいたくなるんです(笑)。常に反抗期だから扱いづらいでしょうね(笑)」


── でも"こう来るか~"と思う監督に出会ったら凄く価値観が変わるかもしれないですよ。

「確かに変わると思います。きっと楽しくてしょうがないでしょうね。そこから得るものがたくさんあるはずですから。アマチュア時代の恩師が "芝居は麻薬だ"と言っていたんですが、まさしくその通りだと思います。言葉は悪いかもしれないけれど、観客の拍手や歓声が麻薬と同じような効果があるんだなって。拍手が欲しいからもっと刺激を求めようとするし、もっと大きな作品に出たいと思うし…。お芝居が辞められないのはそれが理由なのかもしれません」


── 1stフォトブック『close』が6月に発売されましたが、タイトルにはどんな意味が込められていますか?

「英語の意味を調べたときに、"閉じる"ではなくて"距離が近い"という意味がなんだか面白いなと思って。ファンクラブイベントをやるときとか、ファンとの距離が近くなればいいなと思って名付けました」


── 写真を撮られるのは好きですか?

「苦手です。人にじっと見られるのが好きじゃなくて。自分の顔がコンプレックスだから、それを褒められることが全然わからない。『仮面ライダーキバ』でライダー役をやらせて頂いてからは慣れましたけど、それでも苦手ですね」


── 凄くいい写真ばかりで、写真が苦手には見えないですけど。

「こうやればよく見えるのかなって考えるようになったのは本当に最近です。『close』に関しては、僕が考えるイメージをカメラマンさんがすぐに理解してくれたこともあり、非常にやりやすい環境でした。それに少ないスタッフで撮影できたのも僕には合ってましたね」


── どんなイメージの写真に仕上がっていますか?

「正面向いてキメた感じの写真というよりも、横顔だったりとか、自然体なイメージで撮りたいなという考えがありました。中にはわざとアイドルっぽい感じで撮ったヤツとかもあったりするんですけど。寒い中、海に入って水をパシャッとかけてる写真とかは"あぁ、俺アイドル頑張ってんじゃん"って思ったり(笑)。チワワと写ってるヤツは、実はチワワの脚が砂浜に埋まっちゃって動けなくなってるんですよ! そのときの犬の動揺具合が可愛くって…、思わず素で笑っちゃいましたね」


── こうやってたくさんの写真を見ると、どれも表情が違って面白いですね。むしろ別人に見えるくらい違います!

「よく言われます(笑)。感情が顔に出ちゃうほうなんで、そういうのに左右されてるんですかね。大人な顔もあれば子供の顔もあるみたいで」


── 自分の中で意識はあります?

「気分がノッてるかそうじゃないかっていうのはわかりますよ。でも自分的にはフラットのつもりでいるんですけどね。演技も気分によって波があるタイプなので、顔も演技も安定感がないのかも(笑)。お芝居はやればやるほど貪欲になるけれど、何がいいのかわからなくなっちゃうんです。お芝居って答えがないじゃないですか。自分のモチベーションの違いで昨日今日の演技が全然変わってきちゃうんで"芝居の安定感がなさすぎる"って学生時代はしょちゅう怒られてました。今回の舞台は公演数も多いので、そのあたりも気をつけて演じられればいいなと思います」


── では最後に『俺天』の見どころを教えてください。

「舞台は大変なことになってます。まずサブタイトルが地球滅亡30分前ですから(笑)。NASAだったりペンタゴンだったり色々地球規模なものが出てきます…ってこれは冗談ですが(笑)。ドラマはこのインタビューがUPされる頃の第6話がちょうどJUNのメインの話です。秋葉原での撮影だったんですが、少し恥ずかしかったですね。オタクの設定であるJUNを本物のオタクが見てるという不思議な構図で。僕もどちらかというとオタクなのでこそばゆい感じでした(笑)。なぜJUNがエキストラのバイトをやっているのかという理由も、これから明らかになっていきます。1クール目はいわば序章みたいなもので、2クール目からが本当のスタートだと思っているので、是非楽しみにしていて下さい」



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