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インタビュー

有村架純   (ありむらかすみ)

『SPEC』シリーズでの“雅ちゃん”の印象が新しい、女優・有村架純。現在放送中のドラマ『クローバー』は、学校では真面目な優等生、放課後は派手でセクシーな女性に変装するという役どころを演じている。本作のテーマが“男達の友情”なだけあって、出演者はほとんどが男性! 紅一点の立ち位置で、有村はどんな演技を見せているのだろうか?

撮影/吉田将史  文/池上愛

プロフィール 有村架純(ありむらかすみ)


1993年生まれ、兵庫県出身。2010年5月、ドラマ『ハガネの女』でドラマ初出演。これまでに『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』『11人もいる!』、映画『阪急電車 片道15分の奇跡』『ギャルバサラ -戦国時代は圏外です-』『劇場版 SPEC~天~』に出演。現在放送中のドラマ『クローバー』に出演中。秋には主演映画『リトル・マエストラ』が公開。

――ドラマ『クローバー』の台本を読んだ時の感想を聞かせて下さい。

「事前に話を聞いて知ってはいたんですけど、やっぱり女の子は私ひとりだけなんだなぁと改めて思いました(笑)。男同士の友情というテーマは、女である私から見ると凄く憧れがあります。だから台本を読んだ時も、凄く素敵だなと思って。男性陣から色んなことを吸収出来ればいいなと思いました」


――実際に男性ばかりの現場を体験した感想は?

「なんで男子っていつもくだらない話をしてるんでしょうか(笑)。まさに男子校に紛れ込んだみたいな感覚でした。マンガのイメージに合わせて、外見はみなさんコワモテなんですけど、実際は凄く優しいし方ばかり。クランクインしたばかりのころ、現場の初日に誕生日を祝って頂いたんですが、そのお陰ですぐにみなさんと馴染むことが出来ました。年上の方ばかりなので、最初は何を話せばいいのかなぁと考えていたので、少し安心しました。私には姉がいるので、現場では妹みたいな感じというか。現場のお兄さん達について行こう! という感覚で臨みました」


――第1話の試写会イベントで、賀来賢人さんは「年下とは思えない」とおっしゃっていましたよ。

「私は妹的感覚でいたんですけど(笑)。でも、賀来さんにもほかの方々に対しても、遠慮みたいなものは全くしませんでした。いい意味で距離感がなかった。それが凄く居やすかったんです」


――有村さんは、もともとそういう性格なのですか?

「元々は人見知りですし、自分からガツガツいけないタイプです。なのできっと現場の雰囲気がそうさせてくれたんだと思います。私自身も、私生活が男っぽくなってしまったりもして(笑)」


――完全に影響を受けていますね(笑)。

「はい(笑)」


――有村さん演じる秋山ユイは、学校では地味な優等生ですが、放課後は派手でセクシーなレイナに変装するという役どころです。ユイとレイナは真逆の女の子ですが、それぞれを演じるのに難しさはありましたか?

「真逆のタイプだったので、逆に想像がつきやすかったです。ユイは、こういう感じの女の子なんだろうなというのは想像出来ましたし、レイナは、こういう女優さんの演技をお手本にしてみようとか、自分の中で上手く膨らませていくことが出来ました」


――今までの作品や女優さんの演技を想像しながら、プランを練っていくのですか?

「いつもそうではないんですが、レイナに関してはそのやり方で探っていました。あとは男性スタッフやキャストの方々に、どういう仕草がセクシーだとか、ここは耳元で囁いたほうがグッとくるとか、話を聞いたり」


――周りから、男性ウケする仕草について聞けるのはいいですね。

「そうですね。凄く参考になりました。レイナって凄く露出した格好だし、カツラを被ってつけまつ毛もしてるので、気持ちもなりきらないと、見た目との距離が出来てしまうんです。だから自分とレイナに距離感が出ないように、撮影では気をつけました」


――ユイは、母親が義理の兄に暴力を振るわれて、それを助けたいという思いからレイナに変装し、夜な夜な、ケンカの強い人を探していることがわかりましたね。

「はい。優等生のユイと派手な格好をするレイナの間に、本当のユイがいると思うんです。ユイは、お母さんを守ってみせるという信念を持ってる人。誰かに助けてもらいたいんだけど、自分がしっかりしなきゃって強がってる人でもあります。だから、わりと男性に対して強気に物を言ったりするんです。そういう部分は、台本を読んでいくうちに自然と理解出来ました」


――そんなユイに深く関わっていくのが、ハヤト(賀来賢人)とトモキ(三浦貴大)、ケンジ(鈴之助)の3人です。それぞれの印象を聞かせて下さい。

「賀来さんとは以前共演したことがあります。三浦さんも一緒のシーンはなかったんですが、映画『SPEC~天~』に出演していて、打ち上げでは隣の席でした。だけどその時は全く喋らなくて、この現場で“そういえばあの時・・・”みたいな感じで仲良くなりました(笑)。鈴之助さんも含め、3人はいつもおもしろい話をしています(笑)。そして、周りの空気をとても和ませて下さるんです。いいテンションでいられる、そんな雰囲気を作って下さるんです。撮影は本当にタイトで、連日寒い中で行なっていました。そんな過酷な状況でも、誰ひとりとして暗い顔をする人はいませんでしたし、常に明るい現場でした。3人には凄く助けられました。そんな姿を見て、私も現場の雰囲気を作れる人になりたいなと思いました」


――現場内で、男の絆を感じるようなことはありましたか?

「一歩引いたところからみなさんを見ていると、凄く感じます。お互いが“俺達って仲いいよな”と言葉にしている訳ではないんですが、それでも友情や絆が伝わってくるという感じがして」


――男同士って言葉がないぶん、心で通じ合ってる気がしますよね。ハヤトもちょっとバカだけど、真っ直ぐで気持ちがしっかりしているというか。

「そうですね。私、恋人にするならハヤトがいいんですよ」


――そうなんですか?

「もちろんみんな真っ直ぐでかっこいいんですけど、がむしゃらで不器用なところに、手を差し伸べてあげたくなるんです。お芝居の中で、“そんなの俺が守ってやるよ”というハヤトのセリフがあるんですが、お芝居と分かっていながらもキュンとしてしまいました(笑)」


――ストレートに言ってくれるところが好き?

「普段はバカやってるんですけど、たまに見える男らしさが素敵ですね」


――女性の視聴者は、そういう目線でも楽しめそうですね。ますます注目してみたいとお思います。さて、有村さん個人のお話も聞きたいんですが、女優を目指すようになったきっかけはなんですか?

「中学生のころ、同年代の役者さんが出てるドラマを注目している自分に気づいたのが始まりです。この人達は、同じ年なのにお仕事をしてるなんて凄いな、どうやってお芝居をしているんだろう? と考えるようになって。もしかしたら私はお芝居に興味があるのかなと思ったんです。それで、その当時放送していたドラマのセリフを、ためしに口に出して言ってみたら、面白い! と気づいて。そこからオーディション雑誌などを読むようになって、今の事務所に応募しました」


――応募したのはいつですか?

「中学3年生のころです。3年生の冬にオーディションを受けたんですが、そこでは“1年後にまた会いましょう”ということで落ちてしまいました。その時の課題は、身体を絞ることと、兵庫県出身なので標準語をきちんと話せること。1年後にまた履歴書を出して、面接しました。所属が決まったのは高2の秋です」


――落ちてもまた応募したというところが、本気度を感じます。

「半分は意地みたいなものでした(笑)。とにかく悔しくて、絶対に見返してやりたかったんです。でも、まさか所属出来るとは思わなかったので、“これからよろしくお願いします”と言われた時は、“え? 本当ですか?”と聞き直したくらい信じられませんでした」


――目標とする女優さんは、同じ事務所の戸田恵梨香さんとお聞きしました。

「まだ所属仕立ての時に、戸田さんに何度か会わせて頂く機会がありました。その時に、戸田さんがデビュー当時の話をして下さって。その時に凄く勇気をもらいました。戸田さんは私の気持ちを晴らして下さった方で、お会いする前よりも、さらに役者としても人としても凄く憧れの気持ちが強くなりました。」


――昨年の11月に公開された映画『ギャルバサラ -戦国時代は圏外です-』では主演を務められましたが、主演という立場として現場を引っ張るという意識はありましたか?

「今までとは、心構えが違いました。現場の居方も考えなければいけないなと、明るく挨拶したり、返事をきちんと返すことだったり…基本的なことをきちんとやっていこうと。でも主役だからといって私のようなデビューから間もない人間が現場を引っ張ることはまだ難しい事なのでは・・・と思い、とにかく元気でいることを心がけました」


――主演という立場は緊張しましたか。

「あの時は、私に主演が務まるんだろうかと自信がありませんでした。色んなことが邪魔して、殻を破れなくて…そういうもどかしさに悩んでいたと思います。毎日現場に行くのも初めてでしたし、セリフの量も今までとは全然違いました。ただ、そういう初めての経験をして作品を撮り終えた後は、“自分でもひとつの作品を撮ることが出来た!”という達成感で一杯になったんです。そこで自信を取り戻せた気がします。『ギャルバサラ~』がきっかけでお芝居に対する気持ちも変わりました」


――秋には、2本目となる主演映画『リトル・マエストラ』も公開されます。

「2作目は、1作目とまた違った気持ちで臨めました。気持ちに余裕が少しだけ出来ました。不安もあったけれど、それよりも楽しみな気持ちが勝っていたんです。自分には『ギャルバサラ』が出来たんだから、次も出来る! っていう根拠のない自信が…(笑)」


――根拠のない自信は大事ですよ。

「そうですよね! 根拠がなくても自信は持たないといけないんじゃないかなって思うんです。不安や恐怖は、みなさん誰もが持ってると思うんです。人それぞれ殻の破り方も違う。何もしなくてもポーンと破ることが出来る人もいるし、つまずく人はずっとつまずく。私は凄く不器用なので、なかなか次のステップに進むまで時間がかかってしまうんですが、出来なかったら出来るまでやるしかないじゃん! というポジティブな気持ちでいたいなと思います」


――常に全力投球ですね!

「周りの方からはよく真面目だねと言われるんです。確かに真面目か不真面目かといわれると、真面目な方かなとは思うのですが、たまに自分の真面目さが嫌になることもありますけど。頭が固いというか、遊び心がないというか(笑)。これからどんどん表現の幅を増やしていきたいと思うので、もう少し柔軟性を持ちたいと思います。そして色んなことに挑戦したいです!」


ドラマ『クローバー』

監督/入江悠   原作/平川哲弘『クローバー』(秋田書店「週刊少年チャンピオン」連載)
出演/賀来賢人 三浦貴大 有村架純 鈴之助 青柳翔 ほか

小学生以来久しぶりに地元に帰って来たハヤト(賀来賢人)は、桃浜高校1年に編入。同じ高校で幼馴染のトモキ(三浦貴大)、ケンジ(鈴之助)と久しぶりに再会し、再び友情を育む。ハヤトはケンカの強さから様々なトラブルに巻き込まれるが、自分の強さと仲間の助けを得て、様々な困難を乗り越えていく。そんな3人に、謎の美少女・秋山ユイがからんでいく・・・。
毎週金曜深夜0:12~ テレビ東京系にて放送中
(テレビ大阪は月曜深夜0:12~)

2024年03月
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