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インタビュー

藤江れいな   (ふじえ・れいな)

説明不要の国民的アイドルAKB48。チームKのメンバーとして活動する藤江れいなが、9月1日公開の映画『死ガ二人ヲワカツマデ… 第二章 南瓜花-nananka-』にヒロイン役として出演する。視力が失われる病に侵された彼女の入院する病院で、不可解な事件が次々と起こるホラーサスペンス。「AKB(チームK)ではずっと最年少でしたが、いつまでも甘えてられない!」と強い意気込みを見せた藤江。お芝居の楽しさ、研究生としてスタートしたAKBの活動を振り返ってもらった。

撮影/吉田将史  文/池上愛

プロフィール 藤江れいな(ふじえ・れいな)


1994年生まれ、千葉県出身。AKB48チームKのメンバー。07年、AKB48第4期生オーディションに合格。08年3月に研究生からチームAに昇格。その後、10年3月よりチームKとして活動開始。過去の出演映画は『縁切り村〜デッド・エンド・サバイバル〜』(11年)。シュートムービー『マネキン少女』が「Itoh Tube」にて9月中旬まで期間限定配信中。
Itoh Tube  http://www.itoh-tube.com/
公式ブログ http://ameblo.jp/reina-fujie/

――昨年の10月に公開された映画『縁切り村〜デッド・エンド・サバイバル〜』に続き、2度目の主演作です。今回もホラー映画になりますね。

「『縁切り村~』は、私が幽霊として出演したんですが、今回は幽霊の心霊現象というよりも、人間同士の怖さですね。深夜に放送されていた『トリハダ〜夜ふかしのあなたにゾクッとする話を』というドラマが凄く好きだったんです。このドラマも幽霊が出る怖さではなく、人間同士の怖さが描かれていて。だから映画のお話を頂いた時は、凄く嬉しかったです」


――怖いのはお好きですか?

「大好きです。だけどお化け屋敷は苦手です」


――体験するのは苦手?

「そうですね。前にテレビ番組のロケで東京ドームシティのお化け屋敷に行ったんですけど、5分で出られるお化け屋敷だったのに1時間もかかってしまいました(笑)。映画やドラマを観るのは大好きなので、平気でひとりで観るんですけど…お化け屋敷は苦手です」


――藤江さんの演じられる新田怜羅は、徐々に視力を失っていく病を抱えています。

「私、AKB48に入ってからまったく病気にかからなくなったんですよ。それまではぜんそく持ちだったんですが。でも今は、ありがたいことに病気と縁がないので、そのぶん凄く難しかったですね」


――演じるにあたって、何か勉強されたことはありますか?

「監督から怜羅役のイメージに近いとアドバイスを頂いたので、『1リットルの涙』というドラマを見ました。このドラマも、主人公の女の子が病に侵されてしまうものでした。もともとリアルタイムで観ていたんですが、この機会にもう一度見直そうと思って。そこから表現の仕方や、こうすれば伝わりやすいのかな? という部分を勉強していきました」


――ドラマを改めて観て、何か感じることはありましたか?

「病気がどんどん進行していっても、明るくふるまったり、病気に負けじと頑張る主人公は、私が演じる怜羅と同じだなと思いました。怜羅はどんどん視力が悪くなっていくんですが、頼れる中里先生(豊永利行)と一緒に病気と闘おうと思っているし、調子のいい時は絵を描きに外に出たりもしてる。そういう部分が『1リットルの涙』の主人公とリンクしました。なので、私がドラマでいいなと思った部分は、うまく取り入れられればと思いながら演じていましたね」


――目が見えない演技は、難しくはなかったですか?

「目線の位置が難しかったです。普段私は人の目を見て話すんですけど、この映画では視力が落ちてるぶん、目線を合わせないほうがいいと監督に言われて、常に目線を相手の目からずらして話していました。それが結構難しくて。あとは階段を下りるシーン。これもスタスタと降りたらおかしいので、ゆっくりたどたどしく歩いたりとか…」


――気持ちの面で難しかった部分は?

「実年齢より2歳上で性格もおとなしい役だったので、普段の私を抑えるのが難しかったです」


――普段の藤江さんは、怜羅と正反対ですか?

「そこまでじゃないんですけど(笑)。AKBのメンバーからはうるさい! って言われています」


――では、撮影時と合間とでは、結構差があったり?

「撮影の合間も大人しかったと思います…多分(笑)。共演者の方々からも“大人しいね”と言われていました。喋る時は凄く喋るんですけど、やはり年齢的にも下だったし、緊張もあったので…。オフの時間は騒ぐこともなく大人しくしていました。ただ、次第に緊張も解けていくとテンションが通常に戻ってきて、みんなでゲーム対決とかもやったり。最終的には本性を出しちゃったかもしれません(笑)」


――撮影期間はどれくらいですか?

「1週間くらいです。自分の撮影だけでいうと5日間くらい。物凄くタイトで濃い撮影現場でした」


――ほぼ病院のシーンですが、ロケだったんですか?

「そうです。実際に使用されている病院の2階を借りて撮影しました。だから1階は普通に使われていて。もしかすると下に居た方は、撮影の声が聞こえていたかもしれません」


――キャー! と叫ぶ声が響いていたかもしれませんね(笑)。

「びっくりしますよね! 上で何があったんだろうって(笑)」


――共演者の方々の演技を見ていかがでしたか?

「演技をしている時とオフの時の違いが凄くて、まずそこに圧倒されました。私もそう思われるようにならないといけないなと…」


――「スタート!」の声でキリッと変わる役者さんは多いですよね。

「そうなんです。私はその変わり方を間近で見ているので…役者の方々は本当に凄いですね。まだまだ頑張らなきゃいけないです」


――セリフ覚えはいいほうですか?

「全く…(苦笑)。セリフ覚えというか、暗記することが凄く苦手です。なのでとにかく読み込むようにしています。あとは、母親にセリフ合わせの練習をしてもらいました。母親がたまに役になりきって読んでくれることがあるんですが、それが凄く面白いんです(笑)。セリフ合わせをしながら爆笑してしまいました」


――お母さんの名演技ですか(笑)。

「たまに、母親の演技と役者さんの演技が同じなこともあったりして(笑)」


――凄いじゃないですか(笑)!

「あはは(笑)。母に感謝ですね!」


――完成作品をご覧になっての感想を聞かせて下さい。

「台本を読んだ時は、“えっ、こんな展開になるんだ!”とびっくりしたんですが、映像を見ると更に驚きました。推理物として凄く面白いというか」


――先の展開が読めない作品でしたね。

「その通りです。まさかこの人が…!? 的な展開があるので、色々推理しながら観ると楽しいと思います」


――ところで、藤江さんはAKB48として歌にバラエティーに活躍されていますが、その中で“演じること”は、どういう位置にありますか?

「もともと私はモデルをやりたいなと思っていました。でも『浅草あちゃらか』という舞台に出させて頂いた時に、演技の楽しさを学んだんです。そこから演技の仕事もやっていきたいと思うようになりましたね。まだ演技に関しては学ばなければならないことがたくさんありますが、お芝居は凄く楽しいです」


――どういう舞台だったんですか?

「両親を亡くした4兄妹のお話です。私は妹の役で、AKBでも最年少ポジションだったので、演じやすいかなと思っていたんですが、とても大変でした。演出家さんに言われたのは、“もっとかわいらしさを出して”ということでした。普段そういうかわいらしさを出したことがなかったので(笑)、これは難しいぞと。その時の演出家さんの指導はとてもためになりました」


――藤江さんが初めて演技に挑戦したのは、どんな作品ですか?

「『眼鏡の転校生』というショートムービーです。この前久しぶりに見てみたんですけど…もう凄い笑っちゃって…あははは!」


――自分の演技に大爆笑されてますが(笑)。

「ほっんとに面白かったんです! まず早口すぎて何を言ってるのかわからない(笑)。演技もそうですが、まず、何をすればいいのかわからない状態でした。セリフの言い方、動き方、全てを監督に指示してもらわなければ何も出来なかったし…。まだ出来てないことがたくさんありますが、あの当時に比べると、少しは成長したかもしれません(苦笑)」


――その作品、あとで調べて観てみます!

「ダメダメダメダメ! 絶対に止めて下さい!!」


――(笑)。こんな作品に出てみたいというジャンルはありますか?

「高校を卒業して学生ではなくなったので、学園物をやってみたいです」


――今はお仕事一本なんですね。

「そうなんです。年齢も18歳なので、22時以降のお仕事が出来るようにもなりました。深夜の番組だったり、仕事の幅が広がったので、ようやくスタート地点に立てたような気がします」


――憧れの女優さんは?

「香里奈さんです」


――香里奈さんは演技だけでなく、モデルのお仕事もされています。

「はい。私もモデルに演技に、マルチな活躍をする人になりたいので、凄く憧れの存在です」


――歌に演技にバラエティーに…藤江さんが、今一番苦手なのはなんですか?

「トークですねぇ。あとはむちゃぶりへの対応力でしょうか」


――むちゃぶり?

「AKBってほんとにむちゃぶりが多いんです!『ネ申テレビ』っていう番組があるんですけど、いきなりハイパーレスキュー隊に入隊させられたり、ニュージーランドでロッククライミングさせられたり!」


――凄い…。

「ニュージーランドのロケは凄く大変でした。波にのまれたりもして。カメラマンさんも流されながらの撮影だったんですよ」


――それは香里奈さんも体験してない仕事だと思いますよ(笑)。

「アイドルってこんなことまでやっちゃうの!? って思います(笑)。それがAKBの魅力でもあるので、この経験を活かせればと思っています」


――メンタルが強くなったんじゃないですか?

「そうですね。くじけたらそこで終わりですから。むちゃぶりに負けない心を持つようになりました」


――だから病気もしなくなったのかもしれないですね。

「なるほど、そうかもしれません。AKBで鍛えられたんですね、きっと(笑)」


――そもそもAKBには、どうやって入ったんですか?

「私は2007年のオーディションがきっかけです。まだその当時はAKB自体有名じゃなかったんですが、雑誌のオーディション告知でAKBを知って。こんなグループなんだと自力で調べて、やってみたいなと思いオーディションを受けました」


――それは何歳の時ですか?

「13歳です。私は第1期研究生ですが、今は研究生も14期生。ファンの方々には古株って言われるんです(笑)。“れいにゃんがもう18歳かぁ~”って」


――過去のインタビューを拝見させて頂いたんですが、初めてステージに立たれた時のお客さんのコールが印象的だったそうですね。

「そうなんです。私のことを誰も知らないじゃないですか。知らない子が突然舞台に出てきたものだから、みんな“誰だ、この子は?”って(笑)。例えばあっちゃん(前田敦子)だったら、“あつあつあつあつ、あつこー!”っていうコールがあるんですけど、私の場合は“誰誰誰誰、誰かー!”って言われて。私自身は緊張して何も聞こえなかったんですが、見に来ていた親は“ファンの団結力って凄いわね”と話していました」


――研究生とは、具体的にどんなことをやるんですか?

「あの当時は、まだ何をやるというのもそこまで決まってなかったように思います。私の場合は、『ひまわり組1st Stage』という公演の時に、いつもレギュラー出ていたメンバーが、たまたま別の仕事で出れなくて。ユニットが空くので誰か代わりにって時に出させてもらったんです」


――助っ人を重ねて、チームに昇格するのですか?

「そうです。誰かが公演に出れない時に助っ人として参加して、そういうのを重ねていくにつれて秋元康先生に認めていただけたら昇格出来る。今は『有吉AKB共和国』といった研究生も出演出来る番組もあるし、勉強出来る機会がたくさんあると思います。私は研究生からチームAに昇格して、今はチームKに所属しています。ずっと最年少という立場に居ましたが、SKE48の(松井)珠理奈が入って最年少ではなくなりました。年齢も18歳ですし、いつまでも甘えてばかりではいられません。もっと色んなことにチャレンジしていきたいと思います」


『死ガ二人ヲワカツマデ… 第二章 南瓜花-nananka-』

9月1日ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次公開
(第一章「色ノナイ青」も同時公開)
監督/松村清秀
配給/日活
出演/豊永利行 藤江れいな 粟根まこと 保坂エマ 中谷さとみ 林明寛 磯貝龍虎 桑野晃輔 國立幸 長沢美樹 おぐちえりこ あじゃ 高宗歩未 佐治彩子 伴大介 高田聖子 宮内洋 ほか
(C) 2012日活

現代医学では完治不可能な病によって、視力を奪われていく怜羅(藤江れいな)。希望のない入院生活を送っていた彼女だったが、懸命になって治療にあたる担当医・中里(豊永利行)と出会い、淡い思いを寄せるようになる。そんな折、病院内で患者たちが次々と自殺を遂げるという不可解な事件が発生する。本当に自殺なのか、それと何者かによる自殺を装った殺人なのか状況がまったくわからない中、怜羅に思いも寄らぬ事態が降り掛かってくる。
http://www.wild-strawberry.com/ws/shigawaka/

2024年04月
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