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インタビュー

平間壮一×戸谷公人   (ひらま・そういち×とたに・きみと)

アミューズ期待の若手俳優が挑む最新作舞台『見上げればあの日と同じ空』は、大切な誰かを守るために命を懸けた若者達の、明るくも切ない青春群像劇だ。太平洋戦争真っ只中に生きた若者が伝えたかった事とは――。『冒険絵本PINOCCHIO-ピノキオ-』『JEWELRY HOTEL』など様々な作品を生み出してきた彼らにとって、新たな挑戦になるであろう本作。メインキャストとして作品を引っ張っていく、平間壮一と戸谷公人のふたりに話を聞いた。

撮影/吉田将史  文/池上愛
衣裳協力:ARTYZ、KNITT03、And A Pressroom

プロフィール 平間壮一×戸谷公人(ひらま・そういち×とたに・きみと)


ひらま・そういち【写真:右】
1990年2月1日生まれ、北海道出身。これまでの舞台出演作品は、「FROGS(フロッグス)」、地球ゴージャスプロデュース公演Vol.10 「星の大地に降る涙」「BLACK&WHITE 悪魔のテンシ 天使のアクマ」「タンブリング」、「冒険絵本 PINOCCHIO -ピノキオ-」「Mystic Topaz」、「ハロー、イエスタデイ」、「ロミオ&ジュリエット」、「JEWELRY HOTEL」など多数。また昨年の「双牙~ソウガ~」では主演を務めその演技力が高く評価された他、直近の出演作「DANCE EARTH~生命の鼓動~」では、ダンスの実力を存分に発揮した。主な出演ドラマは『サイン』、出演映画は『ヘブンズ・ドア』『クローズZERO II』『キラー・ヴァージンロード』など。
公式ブログ http://ameblo.jp/hirama-soichi/

とたに・きみと【写真:左】
1990年5月7日生まれ、東京都出身。主な出演作としてドラマ『ごくせん』(第3シリーズ/卒業スペシャル)、『仮面ライダーディケイド』、映画『椿三十郎』、『真夏のオリオン』などがある。出演舞台は、「天聖八剣伝」「BLACK&WHITE 悪魔のテンシ 天使のアクマ」「戦国BASARA3」、LIVE ACT「青の祓魔師」~魔神(サタン)の落胤~など。「ロボティクス・ノーツ」が5月3日より公演予定。
公式ブログ http://ameblo.jp/totani-kimito/


――プロットを読ませて頂きましたが、戦時中という時代背景について、おふたりはどう感じましたか?

戸谷「正直なところ、想像が出来ないというのはあります」


――そうですよね。

戸谷「でも、この時代と今の時代に通じるものが絶対あるとも思いました。今だからこそ僕達が伝えなきゃいけないこととか。今回、手紙をやり取りするシーンがあるんですが、今だとメールで全部送れちゃうじゃないですか。昔は手紙というツールがどれだけ大事だったのか…。そういう繊細な部分も、今回は凄く意識してやんなきゃと思います。まだ台本は全て出来てないですが、その中でも色々と感じました」


――平間さんは?

平間「結構、(物語の内容が)固いなと思いました。だから大丈夫かなって」


――大丈夫というと?

平間「暗い舞台になるんじゃないかと思ったんです。でも途中までの台本を読んだら、暗い部分だけではなかった。笑える部分もありますし、僕達と同じような若い世代の方にも共感してもらえるような舞台になると思います。もちろん笑いだけでなく、締める部分もありますし、泣かす部分もあります。 今までとは全く違う僕らを見せられるような気がして……すごくやる気が上がったよね?」

戸谷「うん。タイトルだけ見ると、重い内容なのかな? って考えちゃうよね。多分観に来るお客さんもそう思ってるんじゃないかな」

平間「客席に座った時は、ぐっと構えてしまうお客さんが多いと思うんですけど、意外と自分達にも身近に感じられる舞台だと思います」


――ちなみに、おふたりは戦争を舞台とした作品で演じられたことありますか?

平間「僕はないですね」

戸谷「僕は、『真夏のオリオン』という映画でちょこっとだけ。だけど舞台では初めてです」


――戦争を体験したことはないですし、実感する部分も少ないであろう役とどう向き合ったのかなって。

平間「映画を観たり、本を読もうと思ってます。あとは祖父に話を聞いてみたりして、自分に取り入れようかなと」

戸谷「博物館や資料館など、稽古の一環で出演者全員で行ったりとか、時間があれば飛行機の操縦席に入れるところもあるみたいだし、実際にハンドルを握ってみるっていうのもいいかも」

平間「確かに!」

戸谷「握った瞬間に何か分かると思うんです。“あ、これだ”みたいな。実際に触れたり見たりすることが、時代背景を考える重要な部分になるんじゃないかな。あとは感情の部分ですが、これはどの時代も共感出来ると思うんです。年齢的にもほぼ同世代の役を演じるので、きっと自然に演じられると思うんだけど」


――もう色々調べたりはしたんですか?

平間「僕はまだこれからです」

戸谷「WEBで少しだけ情報収集しました。特攻隊の遺書を読んだんですが、“あぁ、やっぱりそうなんだな”と思う部分がありましたね。その時代の人は、国のために自分の命を犠牲にするイメージだったんですけど、それだけじゃなかった。結婚相手や家族や、守りたい人のために突撃している…そういう遺書でした。“決して国のためだけに死ぬんじゃない”っていうのは、リアルな心情だと思います。そういう部分をお客さんにどこまで伝えられるかが、重要なんじゃないかなと」

平間「僕は、立場が上だった人や、残された人の気持ちも含めて、自分の役を考えていきたいな」

戸谷「今回の舞台は、今までのシリーズにはない、ヒロインが出演するんですよ。僕ら二人が想いを寄せる相手(小松彩夏)がいて、壮ちゃんはその人を守るために、特攻隊として戦地に旅立って行く。俺はその気持ちを知っているからこそ、ライバルでもあり、親友でもあるから、“俺が行く”って、壮ちゃんを庇おうとする。男の熱い友情と、切ない恋愛も今回の作品の見所ですね」

平間「これぞ男だよね。愛する女性に対しての、究極の愛だと思う」


――なかなか出来ないですよね。

戸谷「絶対出来ないですよ」

平間「好きな人のために死ねるなんて、実際の僕は、今はまだわからない」


――まぁ、これが今の時代になると、「君のために死ねる」と言われたら、絶対“重い!”となりますよ(笑)。

平間「出た! “重い”ってワード(笑)」


――(笑)。この時代だからこそ、今で言う“重い”という気持ちもぶつかり合っていたんでしょうね。

戸谷「でも恋愛や友情も、今でも昔でも通じる部分は絶対あるじゃないですか。だから、このお話が題材になったんじゃないかなって、今ふと思った」

平間「そうだね。恋愛や友情って時代も国も超える題材だよね」

戸谷「今回は、今までのコメディー作品と違うので、良い意味でファンの期待をどんどん裏切っていきましょう(笑)!」


――ちなみに、舞台のアンケートって参考にされますか?

戸谷「今回は見たい! 悪い意見もしっかり受け止めたいです」

平間「読んでみないと、みんなが求めてることがわからないもんね」

戸谷「こういう考えもあるんだっていうのは知りたいよね。いい意見ばかりじゃなくって、悪い意見もちゃんと知った上で色々改善していきたいな」

平間「ただ僕の役は、今回あまり自分の本当の気持ちを表に出さない役柄だからなぁ…」

戸谷「いいじゃん。試されてるってことだよ」

平間「そうだね。目線とか動きとか、一つひとつが意味を持ってくると思う。ハードルが高い」


――感情を出さない役を演じることに対してはどうですか?

平間「もともとダンスが好きで動きたいタイプなんで、無性に動きたくなるんです」

戸谷「そのストレスが正解かもよ? それが内に秘めることに繋がるかもしれないし」


――語らない役どころであれば、よりお客さんは見入ってしまうと思います。

戸谷「紀伊国屋ホールって特に客席とステージの距離が近いので、お客さんの感情も僕らにぶつかってくる気がします。それはある意味、楽しみな部分でもありますね」


――アミューズのメンバー同士での、気持ちのぶつかり合いはどうなんでしょう? 毎回同じメンバーで定期的に舞台をやられている訳じゃないですか。

平間「やっぱり、なんでも正直に言い合える仲というのは、いいですね。ドラマや映画で、他の共演者さんと接するのは、緊張するし気も遣います。みんながみんな意見をぶつけ合って舞台が出来上がっていくので、他の作品以上にチームの結束力はあると思います」

戸谷「理想の現場だよね」


――それは素敵ですね。

戸谷「第一段階が出来上がっているからこそ、更にもう一段階いけるんじゃなかっていう部分はあると思う。特に舞台は、コミュニケーションから入るので。このメンバーだと、それがもう出来ちゃっているから、次の段階からスタート出来るのがいいところですね」


――今回は、そのメンバーにプラス女の子が加わりますが。

平間「女の子、緊張するんだよなぁ…」


――そうなんですね(笑)。色んな“初めて”が経験出来そうですが、稽古はどういう感じに進んでいくのでしょうか?

平間「(演出の)及川拓郎さんと、こういうテイストの舞台を作るのが初めてなので、どうなるのか楽しみです」

戸谷「及川さん、気合い入りまくってたもんね! こういう題材が凄く好きな方なんだと思います」

平間「演劇だから喉つぶしちゃダメとか、綺麗に見せなきゃ駄目とかそういうことはないもんね。及川さんはきっと“ストレートに心でぶつかってこい”って言うと思います」

戸谷「きっと汗もたくさんかくんだろうな」


――おふたりは、陸上部という設定でもありますからね。舞台上での走る演出はどうなるんでしょうか?

戸谷「そこはまだわからないですね。本当に走るのか、劇場に来てからのお楽しみということで。ただ、気持ちできちんとお客さんを惹き込めるようにはしたいです」


――おふたりは走るのは苦手ですか?

戸谷「マラソンは嫌いでした。短距離は好きだったんですけど…マラソンは苦手で」

平間「走りすぎると、口の中までなんかおかしくなってくるっていう」


――戦時中でも、走ることを止めない人ですからね。走ることに対して、並々ならぬ思いがあったと思うんです。

平間「マラソンってランナーズハイっていうのがあるじゃないですか。ダンスもダンサーズハイっていうのがあるんですよ」


――そうなんですか。

平間「ずっとダンスばかりやっていて、ハイ状態になる瞬間があるんです。その感覚にちょっと近いのかもしれない。ただ踊るしかないというように、ただ走るしかないという気持ちなのかも」

戸谷「ただ芝居するしかない」


――名言、生まれました!

平間&戸谷「(ハイタッチしながら)いぇ~い!」


――興奮を踏まえ頂いて(笑)、この舞台で、どういうことを伝えていきたいですか?

戸谷「戦争を体験したことのある人よりも、戦争を知らない世代の方が多いと思うんです。その人達がどこまでこの時代のこと理解してくれるか。この話で伝えたいことが伝わるように、みんなでどこまで持っていけるかっていうのが大事だと思う。ラストまで観て頂いて、どう感じるはわかりませんが、“凄く泣いたけど晴れやかだったな”とか、すっきりした気持ちになれたらいいんじゃないかなって」

平間「その通りだね。何かに対する熱い想いだったり夢だったり…、こういう人生いいなって思ってもらえるような舞台にしたい。何かに真剣になれる人生って素敵だなと思ってほしいです」

戸谷「僕らだって、命削ってやってますからね」

平間「そうそう! 走りまくってますから(笑)」


舞台『見上げればあの日と同じ空』

脚本/小峯裕之
演出/及川拓郎
出演者/平間壮一 戸谷公人 松島庄汰 吉村卓也 伊藤直人 向野章太郎 小松彩夏/土屋裕一(*pnish*) 久ヶ沢 徹
劇場/紀伊國屋ホール
日程/4月4日(木)〜4月15日(月)
公式HP  http://www.amuse.co.jp/stages/sora/

2024年06月
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