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インタビュー

清水富美加   (しみず・ふみか)

2008年、レプロガールズオーディション2008のグッドキャラクター賞を受賞し、デビューを果たした清水富美加。現在は、雑誌『CUTiE』 (宝島社)などでモデルとして活躍しながら、映画『HK/変態仮面』のヒロインに抜擢されるなど、女優としても躍進している。そんな彼女に、初めて挑む舞台『心霊探偵八雲 いつわりの樹』のヒロイン・小沢晴香役に対する想いと、芝居への取り組み方を訊いた。

撮影/吉田将史 文/渡邊美樹

プロフィール 清水富美加(しみず・ふみか)


1994年12月2日生まれ。東京都出身。これまでの出演作は、ドラマ『熱いぞ!猫ヶ谷!!』『仮面ライダーフォーゼ』『リアル鬼ごっこ THE ORIGIN』、映画『HK/変態仮面』など。映画『HK/変態仮面』のDVDが好評発売中。最新情報は入会無料のオフィシャルファンクラブ『幸せ祭りメンバー』→ http://www.fumika-shimizu.net/

――現在、女優やモデルとして活躍されていますが、昔から芸能界に興味があったんですか?

「小さいころ、『歌手になりたい』って、ずっと言っていて。でも、それは漠然としたもので、オーディションを受けるとかも考えたことはありませんでした。すごい遠い将来の話だと思っていたんですけど。でも、中学2年生の時に、『レプロガールズオーティション』っていう、今の事務所のオーディションがあって。それを見た時に、“受けなきゃ!”って感じて、そこがきっかけでした。今は、お芝居のお仕事が多くなってるんですけど、最初は歌手になりたかったんです。でも、事務所に入った時は、モデルになりたくて、その次が芸人版ベッキーさんみたいな、タレントになりたくて。で、今に至るんですが。今は、お芝居中心にやっていきたいって思ってます」


――じゃあ、歌手になりたかった当時、好きだったアーティストっていたんですか?

「いました。小学校の時は、大塚愛さんが大好きでした! アルバムも、シングルもほとんど持ってましたね。ライブDVDも持ってますし。無茶苦茶好きでした!」


――なるほど。今はモデルもやりながら女優もやりながらで、いろんなお仕事をやられてますが、その中で楽しいものって何ですか?

「うーん、1番は決められないですけど…。どんどん積極的にやっていきたい、こうなっていきたいなっていうのがはっきりしてるのは、やっぱりお芝居の仕事ですね」


――では、こういう女優さんになりたい! って、憧れる方はいますか?

「ずばり、仲里依紗さんです! 『パンドラの匣』を観たときに、(仲さんに抱いていたイメージは)こういうイメージじゃないって思って。他の作品も観てみようと思って、『モテキ』を観てみたらキャバ嬢の役で『あたし~』とか、すごい違うしゃべり方をしてたり、『ハラがコレなんで』では、下町のザ・雑草みたいな役で。演技に幅があって、自分のものを持ってるじゃないですか。そういう自分らしさを持っているっていうのは、すごくかっこいい。その上、モデルとしても活躍されてて、ファッションに関してもお芝居に関しても、本当にすごいなって。可愛くて元気だけど、強い女性っていうイメージなので、仲さんみたいになれたらいいなって、すごく思います」


――ドラマ、映画を経験して、今度は舞台に挑まれますが、演じるということに対してどんなことを感じますか?

「初歩的なことなんですが、与えられたセリフのやり取りをいかに普通にやるかって、すごい難しいなって思います。普段生活している時は、次に何を言うかって考えないし、何が言いたいって決まってないし、ざっくりした目的とか、自分っていうベースがあって、すごい速さでやり取りしてるんだなって実感しました。それをいかにお芝居でできるかっていうのが、難しくて。でも面白いところだなとも思います。返しが上手いとか、テンポがいいとか、言っているセリフがリアルとか。そういうのって、役としてのベースとか、過去を自分の中で掘り下げないとできないものなんですよね。私は、どう役作りをしたらいいのか、まだまだ勉強中なので、これからもっと、その役を自分に落とし込んで、物語の中で自然に会話できるのかっていう課題に取り組んでいきたいと思ってます。『仮面ライダー』も、『リアル鬼ごっこ』も『HK/変態仮面』も、画面を通して見るわけじゃないですか。そこで、自分の演技を見たら“普通でもこの時にこういうリアクションするかな?”とか、“もうちょっと、このセリフ弱くないかな?”とか、“ここで、そんな余裕っぽい表情がよくできたな”とか。そう感じることがあったので…。それは自分の感情と表情が釣り合わなかったとか、いろんな問題があるんですけど、そこが課題ですね」


――見てますね、自分の演技を。

「いやー、見たくないですけど、見ますね(笑)」


――自分のダメなところをちゃんと理解できることはすごいことだと思います。

「1番最近だと、『リアル鬼ごっこ』が特に。現場でお芝居してる時とかは、シリアスなものが初めてだったので。自分、今結構リアルに泣けたり、怒ったりできてると思ってたんですけど、画面を通してオンエアとかで見たりしたら、“あれ? もっとしかめっ面でいいんじゃない?”って感じて。毎回、“ここよかったな”って思うところもあれば、『あー!』って、深夜1時ごろ唸ってしまうこともありました(笑)」


――すごい、勉強熱心ですね。

「やっぱり、もっともっといろんな役をやってみたいけど、その前にやらなきゃいけない課題がいっぱいあるので」


――今回の舞台は、これまでの映像作品とは違って、稽古を積んで本番で出すという形ですが、それに対して不安などはありますか?

「あります。これまでは、カットがかかる映像でのお芝居で、お客さんが常にいるっていう状態ではないので。テレビとか映像でも集中はしているんですけど、公演中の長い時間、集中力と忍耐力と、いろんなものが試されるんじゃないかなって思います。自分がどれだけお芝居と向き合って、稽古場でその力を育てられるのかって、不安がある意味課題であって。でも、課題があるからすごい楽しみでもあります」


――その不安から楽しみというのがつながっているわけですね。今は、稽古など始まってるんですか?

「まだですね。今月末からです」


――今の段階では自分の中で準備をしておくというか…。

「そうですね、原作を読んだりとか。マンガを読んだりしてます」


――今回は、舞台オリジナルの物語ですが、演じるヒロインのキャラクターは変わらないんでしょうか?

「そうですね、でも、微妙に作品によっても違います。最初は、活字の方から入ったんですけど、アニメとかマンガを見て受けた晴香の印象の方が強く感じますね。天然な感じとか、表情がころころ変わるとか、目に見えてわかるので」


――なるほど、そういうのを見て自分なりのキャラクターを作っていっているという感じなんですね。

「はい。舞台用に書き下ろされた、『いつわりの樹』もそうだし、シリーズででているのも見て、原作に寄せていこうかなって思っています。とりあえず、原作で晴香の行動とか表情とか心境とか、全部本にラインを引いてまとめて。今、それをやっているところです」


――結構ストイックに突き詰めるタイプですか?

「いや…。と、いうより、初舞台だけど初舞台って感じさせないくらいのものを届けられればなって思っています。そして、周りも舞台を経験している先輩ばかりなので、足を引っ張らないようにするだけじゃなくて、負けないように。そんな風に取り組みたいので、今、時間があるうちにやるって感じですね」


――今回の物語は、少しオカルトチックだったり、ホラーチックでもあると思いますが、そういうものは平気な方ですか?

「全然平気ですね(笑)。肝試し行きたがりな同級生とかいなかったですか?」


――そういうタイプですか?

「はい(笑)。車の免許を持ってる友達がいたら、『○○トンネルに行こうよ!』とか、『○○墓地行こうよ!』って言います(笑)。実際には、まだ行ったことがないんですけど。冷やっとするのも嫌いじゃないので(笑)。前に、廃病院で撮影をしたことがあって、その地下がヤバいって言われているところがあって。共演者のみんなと一緒に、『じゃ、地下に行こうぜ』って言って行ったんです。地下に通じる階段があるんですけど、明らかにヤバいって雰囲気がでてるんですよ! 電気が消えてて、赤い非常用のランプしかなくて。霊感とか全然ないんですけど、ゾクゾクして。その、何かいるんじゃないかっていうゾクゾク感が、たまりません(笑)」


――こういう物語はまだまだ大丈夫?

「そうですね!」


――ホラーの作品にも出演できますね!

「はい。できます! 若干、稽古中とかに怖いことが起きればいいのにって思ってます(笑)。電気がいきなり消えるとか、ドアがいきなり閉まるとか起きればいいなって(笑)。肝試しの季節になってきましたし! 肝試しが苦手な人は、まず『心霊探偵八雲』を見に来ていただいて(笑)」


――では、今回のヒロイン・晴香についてお聞きします。今イメージを固めているところだと思いますが、どんな子だと思いますか?

「純粋で真っ直ぐですね! 普段、発言するにしても、行動するにしてもいろんな感情とか、人にこう思われるんじゃないかなとか、そういう概念が邪魔して、なかなか行動できないじゃないですか。私はそうなんですけど。でも、小沢晴香っていう子は、人が困っていたら助けたい、よし助けようって、すごく誠実なんですね。表情も怒ったり笑ったりすごく素直で、なんかこういう可愛い女の子になりたかったって思います(笑)」


――清水さんご自身は、晴香とは違うタイプなんですか?

「そうですね。元気で明るいってところに関しては一緒だと思うんですけど。困っている人がいたら、助けたいけど周りの人の目が気になるとか、思っちゃうかもしれない。助けたいって思っても、すぐ行動を移せないとか…。なんか、晴香がいい子過ぎて。なんかギャップを感じちゃうかな」


――身近にいる人でも、完璧な女の子だっていう子を見ちゃうと、私なんて…って思っちゃいますね。

「いい子すぎて、“私はこれでいいのか?”って思っちゃいますね」


――役だと思って思い切ってなりきるという感じですね。

「でも、似ている性質を持っている子だと、小沢晴香じゃなくて、清水富美加が強く出ちゃうんじゃないかって不安はあります。晴香を演じているのに、『ふーちゃんはこんな感じだよね』って。それはそれで個性なので嬉しいんですけど、舞台では役として見てもらいたいので、その似ているところと似ていないところの微調整が難しそうだなって思ってます」


――まだ、具体的な稽古が始まっていないということですが。

「はい。まだ、共演者のみなさんとも、主演の久保田さんしかお会いできてないんですけど。これからっていう感じですね」


――じゃ、その初めての舞台を前にして、楽しみなところってありますか?

「楽しみなのは、やっぱり稽古です。本番はどんな感じか予想はつかないんですけど。でも、演出家さん、共演者の方たちとずっと一緒にいて、その役に向き合うとか問われるっていうのってあんまりないじゃないですか。映画とかドラマだと、現場で演出をしてもらって終わりなので。だから、それがすごい楽しみです。で、運がいいのか悪いのか、これまでご一緒した監督さんが、やさしい方ばっかりだったんです。なので、演出家さんが怖い人だったらいいなって思ってます。『コラー! そこ違う!』みたいな(笑)。『もう1回読んでこい!』って、台本飛んでくる、みたいな。そういう厳しい稽古を体験したいと思ってます」


――えー!? 普通だったら、みんな怒られないようにってするけど…。

「怒られるのはもちろん嫌いですけど、お芝居に関しては。常にピリッとしたところに1カ月、2カ月投げ込まれてみたいなっていう願望があります」


――確かに、そこから成長できることもありますもんね。

「はい。とにかく、稽古が楽しみです! 『仮面ライダー』をやっていた時は、1年という長い期間を終えてから、振り返ってみて、“あ、みんな成長したな”とか、“ここが変わったな”とか、感じたんですが。舞台の場合、1カ月間、稽古で一緒にいたら、最初は、こういう言い回しだったのにこう変わったんだ、そこにはこういう感情があるからこうなんだって、そういう先輩の演技を見ることができるっていうのが、すごい楽しみです」


――なるほど。そして、実際に観客を前に演じるということも初めてですもんね。

「度胸がないと無理じゃないですか。声も震えるだろうし、セリフも飛ぶだろうし。度胸、集中力、忍耐力、お芝居のやり方、いっぱいいろんなものが学べると思うので、すっごく楽しみです」


――では、最後に舞台をやるにあたっての意気込みを聞かせてください。

「先程も課題があるとか、勉強になるとか言いましたが、何より、先輩の足を引っ張らないように、そして、負けないように。かつ、みんなで作品を作るということに集中して、お客さんが物語に入り込めるような作品を作れればと。それは、やっぱり集中力を必要とされるので、いかに稽古に集中していいものを見せれるか。そして、久保田さんも主演が初めてで、すごく意気込んでいらっしゃるようなので、同じ気持ちで、全身全霊尽くしたいと思います。絶対楽しいと思うので、見に来てください!」


舞台版『心霊探偵八雲 いつわりの樹』

原作/神永 学 「心霊探偵八雲」シリーズ(角川書店刊)
脚本・演出/神永 学、丸茂 周
演出/伊藤マサミ(bpm/進戯団 夢命クラッシックス)
出演/久保田秀敏 清水富美加/佐野大樹 平田裕香 寿里 野村真由美 菅野勇城/三浦力 東地宏樹

神社の境内にある木の前で刺殺体が発見された。被害者は、担当刑事の石井をかつていじめていた望月だった。石井は、上司の後藤と共に容疑者を特定するが、その証言内容と目撃者であり被害者の恋人でもある女性の証言はまったく食い違っていた。同じころ、友人から心霊現象についての相談を受けた晴香は八雲に助けを求める。迷走するふたつの事件に隠された真実とは?

公演期間 8月21日(水)~28日(水) こどもの城 青山円形劇場
http://www.kaminagamanabu.com/mk/spsite/stage_ykm_itsuwari/

≪ご好評につき 8月28日(水)13:00 追加公演決定!!≫
チケットは各プレイガイドにて7月28日(日)10:00より販売開始します。
詳しくはオフィシャルブログ(http://yaplog.jp/yakumo_stage/)をご覧ください。

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