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インタビュー

松下優也   (まつしたゆうや)

ミュージシャンとして活躍しながら、ミュージカル『黒執事』の主人公、セバスチャン・ミカエリス役を務めるなど、今注目のアーティスト松下優也。今回、4作目となる舞台『THE ALUCARD SHOW』(ジ・アルカード・ショー)で主演を務めることとなった松下に、作品の魅力と、自身の活動に対する熱い想いを訊いた。

撮影/京介 文/渡邊美樹 ヘアメイク/向井大輔(&'s management)

プロフィール 松下優也(まつしたゆうや)


1990年5月24日生まれ。兵庫出身。

2008年11月26日シングル『foolish foolish』でデビュー。ミュージシャンとして、これまでシングル11枚、アルバム2枚、ベストアルバム1枚を発表し、海外でもライブを行なうなど精力的に活動。また、俳優として映画、テレビドラマ、舞台などでも活躍。主な出演作に、映画『時をかける少女』、テレビドラマ『カルテット』主演、ミュージカル『音楽舞闘会 黒執事 〜その執事、友好〜』『ミュージカル黒執事 -The Most Beautiful DEATH in The World- 千の魂と堕ちた死神』『ドリームハイ』などでも主演を演じた。10月25日~11月4日には、出演舞台『私のホストちゃん』が上演予定。

――『THE ALUCARD SHOW』の稽古が始まってまだ日が浅いと聞きました。

「まだ、スタッフ、共演者の方との顔合わせしかしてなくて。振付とかダンスのところは少しずつ稽古が始まりましたけど、まだお芝居のところはまだやっていないんです」


――今回の舞台は、河原雅彦さんが演出を担当されますが、何かお話はされましたか?

「『自分の中で、役に対して何かある? 自分の中でのカリスマミュージシャンって誰?』って聞かれました。
そこでいくつか名前を挙げました。この、アルカードって、7人のグループなんで、そこのカリスマ性とかを出していく中で、どうすればいいのか、そこに関して少しアドバイスを頂きました。でも、具体的なお芝居の稽古はまだですね」


――振付師のMIKIKOさんは『黒執事』に続いて振付を担当される訳ですがいかがですか?

「実は、MIKIKOさんの振り付けはまだうけてないんです。出演者の岡本晋吾くんも、振り付けしてくれていて、彼は、役者さんではなくて、ダンサーなんですよ。三浦大地くんとかBoAちゃんの振付を担当されてて、基本的にはアーティストのバックダンサーをやられている方なので、こういう舞台は初めてみたいです」


――では、岡本さんの印象はどうですか? 年齢は上になると思いますが。

「そうですね。でも、僕みんなの年齢をあんまり知らないんです(笑)。なんとなく、25、6歳なんだろうなって思ってます。でも、(橋本)汰斗は去年、一緒に舞台をやっていて、僕のひとつ下だっていうのはわかってます。あと、(植原)卓也も、『黒執事』で一緒で、僕のふたつ上ですね。晋吾くんはよくわからない。(横尾)瑠尉くんは、若く見えて、意外と28、9とかだったと思います(笑)」


――では、稽古場の空気は固くならずにできている感じなのでしょうか?

「そうですね。」


――共演の真琴つばささんや酒井敏也さん達、ベテランの方々とは?

「まだ全然お話できてないです。この間、初めてご挨拶をしたくらいだったので。まだ、これからですね」


――では、振付で難しそうとか思う部分はありますか?

「そうですね、自分の役に対しては、まだ消化しきれていない部分っていうのは、正直ありますけど。そこはやっていきながら。ほかのアルカードメンバーもそうですけど、ベテランの3人の方々とのバランス感もあると思うんです。だから、やってみないとわからないですね」


――ここは、面白くなるのでは? と、思う部分はありますか?

「初めて本を読んでみて、お客さんが楽しめるものになるんじゃないかと思いました。一方的に見せるというのとは違って、演じる側もお客さんも体感できるような。非常に、色んなところにまでこだわって作られると思うので、アトラクション感覚で楽しんでもらえるような舞台になるんじゃないかと想像してます」


――音楽がメインの舞台ということですが・・・。

「そうですね。全曲ではないですが、大体は聞きました。ミュージカルとかにある音楽とはまた違う、割と最近っぽいロックテイストのものだったりダンスチューンとか、そういう曲が多いので、あんまり音楽自体がミュージカル的な音楽ではないですね」


――アーティストとしても俳優としても活躍されてますが、演じることと歌うことにおいての違いと共通点を教えてください。

「似ている部分は、気持ちの部分ですね。“松下優也”としてライブをやる時は、自分のああやりたい、こうやりたいという希望があって、それを形にしていく作業をみんなに手伝ってもらってやっていくんですけど。お芝居や舞台は、演出家の方がいて振付の方がいて、自分もその役になるから、もう松下優也ではないんですよ。演出家の方がこうしてほしいっていう意見は受け入れますが、ただ、そうであっても自分がどう表現したいかっていう気持ちの部分は一緒かもしれないですね。付けられたものだけやっていたら、それは表現することではないじゃないですか。それを超えることが大事だと思ってます。でも、それを超えることが目的なのではなくて、自然と、結果として超えていられればいいかなって。別に、それを超えてやろうと意気込んではないないですけど。そこが大事なんじゃないかと思います」


――逆に、音楽の面だと自分で作っていくというステージから、気づくこともあるんでしょうか?

「そうですね、全部自分で作る訳ではないですけど、ありますね。だから、どっちもあっていいんだなって今は、思いますね。舞台は、もちろん自分がどう表現したいっていうのもあるけど、みんなと一緒にやっていく訳で、決してひとりの意見が先行されるものではないから。でもその中にも楽しさはあるし。ただ、その中でやっていたらより、自分のこともやりたくなるんですよ。同時に反対のことがやりたくなるというか」


――これまで音楽をやられてきた松下さんが、舞台をやるに対して不安などあるのでしょうか?

「本番に対して不安はありません。自分がどこまでいったら本番でベストなものが出せるかってことを考えるから、それに関して不安はないですけど…。強いて言うなら、顔合わせが本当に嫌いで苦手です(笑)」


――シャイなんですか?

「本当に、ダメです! 人見知りなんです。顔合わせは本当に苦手です(苦笑)。緊張するでしょ、やっぱり。この間、顔合わせがあって、みんなそれぞれ紹介されるんですけど。僕は、『ブラド役の松下優也です』だけで、済ませたかったんですけど、キャスト紹介する前に、『みなさん一言ずつお願いします』って言われて。一言ってなに!? って思って(笑)。自分が主演だし、でも、何を言ったらいかわからないし…。それで、結局、『がんばります』って一言だけいました(笑)。僕、本当に苦手なんですよ」


――この作品に挑むにあたって、ここは重要だと思う部分はありますか?

「やっぱり、踊りの部分が大変だと思いますね。あと、音楽とか。やっぱり、ショーの中にお芝居があるので。だから、いかに、その歌、ダンスの部分でちゃんと表現できるかだと思います。やっぱり、お芝居もしっかりしなくちゃいけないけど。そこは、3人の先輩方もいいらっしゃいますし安心できます。自分たちは、どちらかというかショーの部分で魅せないといけないと思うので。それを本当に『凄い』って言ってもらえるような。世間離れしたような、凄いスタイリッシュで何でもできてしまうような、そういう風に見せなくちゃいけないって思います」


――では、結構アクロバティックな動きがあるんですか?

「人にもよりますね。みんな、ダンスによっても得意分野がありますし」


――では、体力面も舞台に合わせたりしてるのでしょうか?

「体力面に関しては、今までも、大変な舞台は経験してきてるので、あんまり心配していません。『黒執事』も大変でしたし。だから、そういう体力面の部分では大丈夫だと思うんですけど。“アルカード”として、ダンスをそろえないといけないと思ってます。気持ちもひとつの部分に向かってないといけないし。その意識をもっと合わせていけたらいいなと思います」


――今の時点で、自分が本番に気をつけたいと思っているところってありますか?

「まずは、しっかりと自分の役を理解して、このお芝居と歌、ダンスのバランス感を気にしてやりたいなと思いました。まだ、お芝居の稽古をやっていないんで、わからないんですけど。歌とか、ダンスは仕事としているものなので。前の『黒執事』は、踊るシーンって全然なかったんです。本番の中に、フォーエイト(8カウント ×4回)を一瞬踊っただけで。歌も『黒執事』のセバスチャンっていう役が歌っている歌なので、いつもとは歌い方も変えて歌っていました。でも、今回は、自分が今までやってきた歌や踊りを割と出せるんじゃないかなって思うんです。でも、あくまでもそれはブラドとして表現しなければならないんですけど。でも、自分のやっていることに近いことは確かなので。だから、これだけ稽古期間があるし、自分のスキルアップにも繋がるいい機会ですし、もっとレベルを上げたいと思います」


――ライブ活動もあると思いますが、役者とアーティスト両方をやるにあたって、切り替えに凄くエネルギーを使いそうだなと感じたんですが。

「面白いなと思うんですが、こういう舞台をやっていると、より自分がアーティストでありたいっていう気持ちが強くなってくるんです。だからより音楽に対するモチベーションが上がるというか。だから、バランスは取れていると思います。でも、“舞台もいいけど音楽ももっとやって”って思っているファンの方も多いと思うんです。だから、そういうファンの方には、ちょっと待っててほしいなと。色んなことを同時進行でやろうとしている最中なので、それがちゃんと出来るまで、もうちょっと待ってて欲しいなって思いますね。本当に、舞台をやっていると自分がアーティストでありたいっていう気持ちが凄く強くなってくるから、どんどんいろんなものに対してこだわりを持ってくるし、より音楽が好きになる。音楽と離れれば離れるほど、やっぱり音楽が好きなっていくし。面白いなって思いますね」


――俳優を経験してみないとわからない音楽のよさがあるんですね。

「もう、彼女ですよね。彼女。本当最近思うんですよ。音楽ってずっと好きですけど、でもモチベーションってずっと保っていけるかと言ったら、そうじゃないじゃないですか。その時にどう刺激を与えるのか。何年も付き合ってきたら当たり前の存在になるわけですよ絶対に。でも、歳をとってもずっと続いていく方たちもいるわけで。いかに、音楽への愛を途切れさせないようにするか。それはドンドン自分に刺激を与えていかないと、音楽に寄り添っていかないとだめだなって思うんです。音楽から寄り添って来るわけじゃないし。自分から寄り添っていかないと。だから、僕は常に音楽を聞いて、刺激を絶やさないようにしてます」


――これからも俳優、音楽の分野でも活躍されることと思いますが、今思い描いている目標はありますか?

「誰のようになりたいっていうのはないですが…。ただ、やっぱり音楽も、お芝居もそうだと思うんですけど、自分がアーティストなんだっていう意識を持ってやることが大事なんじゃないかと思います。それを勘違いして、自分はアーティストだからって、頭が固くなって何も受け入れないのも違うと思うんですが。僕は、アーティストだっていう意識を持っていろんなものを取り込まないと、ただ受け身になってしまうと思うし、その意識を持っている人って、見てわかると思うんです。感じるじゃないですか、“この人、凄い考えてるんだ”って。“深いな、アーティスティックだな”って。役を作るのは自分なので、そこの幅を広く持っている人ってわかりますよね」


――そうですね、そういうのは見ている観客もわかりますからね。

「だからやっぱりちゃんと自分がアーティストなんだっていう意識を持っていたいです。それは、俳優でもミューシャンとしても、ダンサーとしても言えることだと思うんですけど。でも、僕らは何を表現したいかだけじゃなくて、何を求められているのかっていうのも考えていかなければいけない訳じゃないですか。そこは人の数だけ人の意見があるから難しくもありますが。あれが違う、これが違うって言われることもあれば、自分がだめだと思ったのにいいと思われることもあるだろうし。そうなると、色んなことを経験したいなって思うようになってくるんです。例えば、あそこに行くのがめんどくさいなって思って行かないんじゃなくて、めんどくさくても行ってみるんです。そしたら、何か得るものがあると思うので。自分の私生活とか、自分が色んなもを見て、感じたものを表現して、音楽とかお芝居に還元できたりするので、本当にいろんなことを経験しないといけないなって思います。あれはしない、これはしないって決めつけが世界を狭くするし、同時に表現も狭くしちゃうから。だから、僕、食わず嫌いとかないんです。友達とご飯食べに行って、友達が毎回同じものを食べてたりすると、その気がしれないって思って(笑)。『なんで違うの頼まないの?』って思うんですよ。マック行っても、ダブルチーズバーガーしか頼まないとか。他においしいものあると思うけどな。みたいな(笑)。僕は損をしても経験しておきたいなって思うんですよね」


――その損したことも自分の経験になりますからね。

「そう思ってるんです。そしたら、言えるじゃないですか。おいしかったら『おいしかった』って、おいしくなかったら『おいしくなかった』って言えるけど、知らなかったら何も言えないし、何もわからないし。それは、食べ物だけじゃなくていろんな物事に対してですけど」


――そういう意識があるからこそ、いろんな役にもチャレンジできるんですかね?」

「そうですね。これまで特殊な役が多かったというのもありますが、そこは慣れちゃったのかもしれません(笑)。あんまり嫌だなって思う感覚がないのかも。逆にこだわりがあるところもあるけど、ないところもあるっていうか。こだわりがない時もある。やってみたら、何かに繋がるって思うんです。やってみたら、何か成長はあるし、得るものがあるしって。前回、『黒執事』では、悪魔の役だったので、やっぱりそれがみなさんの印象に強く残っているところもあると思うんですが、今回は今回で全然、違うものとしてちゃんと見せていきたいと思ってます。セバスチャンでもなく、松下優也でもなく、ちゃんとブラドとして」


『THE ALUCARD SHOW』(ジ・アルカード・ショー)

構成・演出/河原雅彦
振付/MIKIKO
出演/松下優也 平間壮一 植原卓也 橋本汰斗 加藤真央 岡本晋吾 横尾瑠尉/
酒井敏也 高田聖子 真琴つばさ ほか
会場/AiiA Theater Tokyo (アイア シアタートーキョー)
日程/8月2日(金)~25日(日)
公式HP/http://www.alucard-show.com/

公開予告映像/http://www.youtube.com/watch?v=5UJtbD_jfcI
(C)ALUCARD PROJECT 2013

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