“女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1”待望の映画化! ファンタジック・ラブストーリー『陽だまりの彼女』が、いよいよ10月12日に公開を控える。松本潤演じる浩介と上野樹里演じる真緒の淡く切ないラブストーリーに期待が高まるが、本作では中学時代の浩介&真緒も重要なシーンのひとつだ。中学時代の真緒を演じるのは、アイドルユニット「乙女新党」としても活躍する葵わかな。彼女に『陽だまりの彼女』の撮影話と、現在出演中のドラマ『たべるダケ』の話、これからの目標について話を聞いた。
撮影/中根佑子 文/池上愛
――『陽だまりの彼女』の出演が決まった時の感想は?
「面接の日は、千葉で別のお仕事をしていて。千葉から東京まで電車で移動して、面接が終わったらまた現場に戻ってお仕事をしていたんです。まさか決まるとは思っていなかったのでびっくりしました」
――真緒はどんな女の子だと思いましたか?
「凄くイメージするのが難しかったです。松本潤さん演じる浩介が主人公なので、浩介目線で台本は書いてあるんです。だから、真緒がどういう心情でいるのか想像が出来ませんでした。台本を読んで最初に思ったのは、“この子はなんなんだ!?”っていう印象で。撮影に入る前から色々と役を試していたんですけど、すっごく悩みました」
――どんなことを試したんですか?
「自分なりに、こうやればいいのかなというシチュエーションを何パターンか考えてみたり、役者の先輩に聞いてみたりしました。その上で監督とお会いしてリハーサルをやらせて頂きました。そしたら監督から『違うな』と言われてしまったんですが、リハーサルを重ねていくにつれて『あ、今のは少し真緒っぽかった!』『そこ、その部分!』と言ってもらって。リハーサルで、監督が真緒を引っ張り出してくれたんです」
――具体的に、どういう部分が真緒っぽいと言われたんですか?
「浩介が真緒に分数を教えているシーンです。『今のくねってした感じが真緒っぽかったよ』と話していました。自分の中では『え~どこの部分? わからないわからない!』と思っていたんですけど(笑)。真緒を表現するのって凄く難しいんですよ。それはある秘密を抱えているからなんですけど……。真緒を表すのにも抽象的な言葉しか出てこないんですが、“柔らかそう”とか“しなやかな感じ”とかっていうキーワードをもとに演じていました」
――リハーサルはどんな感じで?
「今年の2月から撮影が始まったんですけど、1月の前半はほぼリハーサルでした。大人時代の浩介と真緒を演じる松本潤さんと上野樹里さん、中学時代の浩介を演じる北村匠海君と私の4人で何度かリハーサルをして。松本さんと上野さんが中学時代の役を演じて、私達が大人になってからを演じるっていうこともやりました」
――役を入れ替えてやってたんですね。
「とっても貴重な体験でした! 中学時代の真緒と大人の真緒の共通点を探していたので、そういう部分を見つけることが出来た時間でした。あと、上野さんの演技を見させて頂く時に、上野さんの仕草の研究もしました。こういう動きをよくされるなと思ったら、メモを残して。ちょっとストーカーみたいなんですけど(笑)。あとは、上野さんの喋り方を真似してみたり…」
――上野さんの演技を見て感じたことはありますか?
「私の中の真緒は、しなやかで柔らかそうなイメージだったんです。でも上野さんの演技を見ていたら、“鋭さ”を感じました。のんびりしているけど、仕事はきちんと出来る。そのギャップみたいなものを真緒は持っているなと思いました」
――上野さんと真緒について話し合ったりはしたんですか?
「私が上野さんの癖を探したように、上野さんも私の癖を見つけていたみたいです。『わかなちゃんは手首を反らしてることが多かったから、ちょっと真似してみた』って言われました」
――映画では松本さん、上野さんと同じシーンはなかったですが、実際の撮影で大人の浩介と真緒の演技を見ることはありましたか?
「さきほど話した教室で分数を教わるシーンなんですけど、その撮影をする前に、松本さんと上野さんが同じ席に座って話すというシーンを撮影していて。その演技を見てから、自分のシーンを演じることが出来たので凄く参考になりました」
――映画では中学時代のシーンのあとに、大人のシーンが出てきますが、実際の撮影は逆だったんですね。教室にいる浩介と真緒のシーンは凄く素敵でした。
「ほんとですか? 凄く嬉しいです。物凄く悩んでいたので、そう思ってもらえて凄く嬉しいです」
――あと、真緒のふわふわした髪型が凄くかわいいなと思っていて。
「髪の色は上野さんと同じ茶色に染めました。前髪が長くてふわっとしてるんですけど、セットに40分もかかるんですよ! 毛先のハネ方とかも凄く拘っていて、ヘアメイクさんが撮影の合間は何度も整えて下さいました」
――映画の真緒と実際の葵さんの声って、ちょっと違いますね。真緒は声が少し高いけど、今の葵さんは意外と低いような…?
「そうなんです(笑)。地声は低いんですよ。監督も、『真緒の声は高いイメージなんだ』と話されていたし、上野さんの声も高かったので、そこは上野さんの声の出し方を参考にしました」
――浩介役の北村君とはお話したんですか?
「お互い人見知りだったのであまり…(笑)。北村君よりも、いじめっ子の潮田役の女の子とたくさん話しました。学校のシーンが多かったので、同年代の女の子と話せたので楽しかったです」
――潮田役の子も、かなりインパクトありましたね。大人になった潮田も相変わらず嫌な感じでした(笑)。
「中学時代の潮田役の子も、大人の潮田さんとの共通点を探してるって言ってました。いじめっ子の演技、とってもうざくてよかったですよね(笑)」
――素晴らしかったです(笑)。ちなみに原作小説は読まれましたか?
「読みました。台本では真緒の心情がわからなかったので、原作小説にある情報から、色々イメージを膨らませていきました。久しぶりに昨日台本を見返したんですけど、結構メモをとっていたんですよね。あれ、私こんな絵描いたっけ? というのもありました(笑)」
――上野さんの癖以外には、どんなメモをとっていたんですか?
「監督が真緒について説明して下さったことに対して、自分なりにやってみて、『そうそう!』って監督が言って下さった部分を書き込んでいました」
――真緒が持っている秘密って、映画の最後までわからないじゃないですか。でも真緒自身は自分の秘密を知ってる訳だから…その上での演技って凄く難しいですよね。
「そうなんです! 秘密を抱えているからこその演技だったので…。真緒はちょっとバカっぽいところがあるんですけど、なんでバカっぽいのかには理由があるんです。最後まで悩んだのは、真緒は“好き”という感情を理解しているのかということ。大人の真緒は恋愛感情を持ってると思うんですけど、果たして中学時代の真緒は、浩介に恋愛の“好き”だったのかと…。その気持ちに関しては、監督からアドバイスを頂けば頂くほど、訳がわからなくなってしまいました」
――葵さん的には、どう思っていましたか?
「私は、真緒は恋愛の“好き”なのかなって思っていました。だけど、監督は『この時の真緒は、“好き”の意味をわかってないんだ』と仰っていたので、すっごく悩みましたね」
――かなり監督とお話しされたんですね。
「そうですね。監督がたくさん引き出してくれたと思います。リハーサルも何度もやったので、いざ本番ってなった時、台本を見返さなくても全部セリフを覚えていました!」
――悩みながら演じた作品を、映画として観た感想はどうでしたか?
「やってる時は、本当に大丈夫かな? と心配してたんです。私だけ、はみ出してないかな? って。でも出来上がりを観てからは、はみ出してはなかったかなと思いました(笑)。でもちょっと待てよ? とも思って。果たして私と上野樹里さんは似ていたか? と。それは自分では判断できなかったので、公開後、みなさんに判断して頂ければと思います。ちょっとドキドキですけど」
――『陽だまりの彼女』に出演して、新たな目標は出来ましたか?
「人間って、建前と本音を使い分けてるじゃないですか。しかも、本音の中にも色々な感情があると思うんです。そういう人間の心理にも気を付けたいなと思いました。そうしたら、今よりももっと違う世界が見えるのかなって」
――現在放送中のドラマ『たべるダケ』にも童門和沙役で出演されてますが、ここでは本音と建前を意識している感じ?
「監督とそういう話をしたんですよ。これは和沙の本当の気持ちなのかな? それとも気をつかってるのかな? って。そういう話を監督と出来たことも、進歩出来たかなと思います」
――8月30日に放送される第8話の見どころを教えて下さい。
「8話は、和沙と和沙のお父さん(新井浩文)とお出かけをするお話です。和沙の両親は離婚しているから、お父さんとは一緒に住んでなくて、なんとなくわだかまりがあるんです。その微妙な距離が、一緒にお出かけすることによって変わっていきます。凄くいい話になってると思います!」
――謎の女を演じる後藤まり子さん、父親役の新井浩文さんとの共演はどうでした?
「後藤さんは、TIF(TOKYO IDOL FESTIVAL)に出演するよねっていう話をしました。あと、撮影時期が、ちょうどテスト期間中だったので、撮影の合間に勉強してたんです。そしたら『こんなの全然わからないよ~』とおっしゃっていました(笑)。新井さんからは、おすすめの映画を教えてもらいました」
――来年の春には、『瀬戸内海賊物語』も公開ですね。
「これは私が中学2年生の時に撮影したんですけど、小学6年生の役だったんですよ」
――小学生と中学生は大きい年齢差だったのでは?
「はい(笑)。演技の練習をする時は、妹にセリフを言ってもらって反応を観察してました。おもちゃをもらった時どんな反応するんだ? とか。あとは、妹の友達が家に遊びに来たら、その友達をじーっと見ていたり(笑)。私を含めて4人の小学生が登場するんですけど、私が最年長で身長も高かったから、撮影中は若返った気分でした(笑)」
――こちらの公開も楽しみです! 女優だけでなく乙女新党というアイドルユニットでも活動していますが、歌と演技の両方をやることでのメリットはありますか?
「乙女新党で歌を歌ってる時は、曲に合わせて表情を変える時に、お芝居が役に立つなと思います。お芝居をしている時は、歌を歌ってるぶん声が出やすいので、そこは役立ってます。どっちも比べられないくらい大好きなので、頭が活性化されます!」
――もともと、歌は好きだったんですか?
「歌は小学6年生のころから習っていました。大好きなので、自転車に乗ってる時はずっと歌ってます。学校から家に帰る時も歌ってます(笑)」
――通りすがりの人からびっくりされない?(笑)
「日が沈んで暗くなると、人とすれ違っても口元は見えないから、適当にごまかします(笑)。まだ明るい時は、人が近づいてくると小さい声になって、離れると普通に歌いだすみたいな。たまに、曲がり角で人に遭遇するとびっくりしますけど(笑)」
――将来は、歌もお芝居も両方やっていきたい?
「はい! 将来は柴咲コウさんみたいになりたいんです。歌手も女優もって大変だと思うんですけど、どっちもやり続けたいですね」
――では、今の目標をあげるとすると何がありますか?
「これまでは暗い役や秘密がある役が多かったので、明るい役をやってみたいです。役のイメージなのか、会う人に『わかなちゃんってイメージと違うね』って言われることが多いんですよ。そんなに私、冷たいイメージだったのかな(笑)」
――(笑)。葵さんの性格は明るいほうなの?
「明るいと思います!」
――でも、人見知りなんですね。
「はい(笑)。でも、ソロ充してるので人見知りでも大丈夫です」
――ソロ充って?
「ソロ=ひとりで充実しているって意味です」
――え~、そんな言葉あるんですか(笑)。
「はい! ひとりでも楽しめるんですよ。ひとりで歌うのも好きだし、ひとりでマンガを読むのも好きだし。あと、ダジャレを考えるのも好きです。電車では歌を歌えないので、その時はダジャレを考えてます! 渋谷に向かってたら、“しぶやしぶや…”って色々考えてますね」
――まさに、ひとりの時間を楽しんでる!
「そうです(笑)」
――では、最後に『陽だまりの彼女』の見どころを教えて下さい!
「映画は、中学時代と大人の浩介と真緒がリンクしていく物語です。ある秘密を真緒は持ってるんですけど、その秘密が凄く素敵なんです。原作を読んで知っている方は、その秘密がどう隠されているのか楽しんでほしいですし、映画が初めての方は、ラストまで観て頂いて、そのあとに、あのシーンはこういう意味だったのか! と気づいてもらえればと思います!」
監督/三木孝浩
原作/越谷オサム『陽だまりの彼女』(新潮文庫刊)
出演/松本潤 上野樹里 玉山鉄二 大倉孝二 谷村美月 菅田将暉・北村匠海 葵わかな・小藪千豊 西田尚美 とよた真帆・木内みどり 塩見三省・夏木マリ ほか
配給/東宝=アスミック・エース
新人営業マンの浩介(松本潤)は、仕事の取引先で中学時代の幼なじみ・真緒(上野樹里)と出会う。かつて冴えないイジメられっ子だった彼女を浩介が助けたことがきっかけで、ふたりは生まれて初めての恋をした。10年ぶりの運命的な再会。浩介と真緒は、再び恋に落ち、やがて結婚を決心する。しかし真緒には、誰にも知られてはいけない“不思議な秘密”があって・・・。
10月12日(土)全国東宝系ロードショー
http://www.hidamari-movie.com/
©2013『陽だまりの彼女』製作委員会